難しい時期
作者:「今回、文が拙いかもしれません」
レン:「それ、いつもでしょ?」
作者:「そうですね、未熟者ですいませんでした…」
レン:「ホントにそう思ってる?」
作者:「ん?エイプリルフールだけど?」
ジン:「ちょっと待て、どこが嘘なんだ?」
翌日、私は無人島の上空を飛行している
「秋なのにかなり暑いですね」
「お主、一ついいか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「ここは何処じゃ?」
「無人島ですよ」
「それは見れば解るんだが、聞いてた話と違ったのでな」
「ああ、ここはエネシスの沖合い30kmぐらいですよ。暇潰しに沖まで遊びに来たんです」
「海は羽がベタつくからあまり好きではないんじゃがな」
「ここなら人目につかないので、リンに海を見せてあげられるかなって」
「それはいいんじゃが、ワシが出てくる必要あったか?」
「エルの為の魔法が完成したんですよ」
「ワシの為の魔法じゃと?」
「結構苦労したんですよ。水晶球に記録したのでもう問題なしですが」
「待て、お主何を作った?」
「やっぱり今のままだと何かと不便じゃないですか」
「そうか?ワシは不便だと思ったことはないがの…」
◇◆◇◆◇◆◇◆
作者:「不便だね。エル君に縮尺合わせると他が豆粒になるし、他に縮尺合わせるとエル君がはみ出すし…」
レン:「そんな作者に今日は取って置きの商品がございます。その名もスモ~ルラ◯ト~、コレを使えばどんな物も一瞬で小さくできる」
ジン:「それダメだろ」
作者:「そうだそうだ、スモールだけじゃ戻れないだろ?どうせならビッグもつけろ」
レン:「でも元に戻したくなったりしたら大変だし~大きくしたいものもあるし~そんなお声にお応えしまして、特別に物を大きくするビッグ◯イトもお付けしましてお値段そのまま!398,000,000¥!398,000,000¥でのご提供!!」
ジン:「高いな…」
レン:「更に更に今から三十分以内にお電話頂いた方には特別にお腹にポケットのついた青い穀潰しタヌキもお付けしましてお値段そのまま!398,000,000¥です。今すぐお電話下さい」
作者:「30分待つか」
ジン:「タヌキも買ってやれよ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「まあ、一先ず使ってみて下さい」
私は件の水晶球に魔力を流す。
最近はこの作業もなれた物だ。
前は杖とか槍に装着してから流していたが、壱なる門の一件で魔力の制御を感覚と意思で行えるようになったお陰で私は杖無しかつ無詠唱での魔法の使用と装備していない状態の水晶球を触れずに発動させる事が出来るようになっている。
空に二枚の大きさの違う魔法陣が展開される。
「まあ、通ってみて下さい」
「通る?片方がかなり小さいから無理じゃ」
「まあそう言わずに」
私は魔法陣を動かしてエルを無理矢理通した。
反対側の小さい魔法陣から白い鳥が一羽出てくる。
「なんともない?なっ!?」
「どうですか、私が作った魔法陣『拡張転移陣』は?ホントは小さい方から本を入れてエルの大きさにするための魔法ですが、逆から通すと小さくなる事が解ったのでこっちのが楽かな?って思って」
「元に戻れるか?」
「小さい方から入れば大きくなりますよ」
「ならいいが、なぜこんな魔法が必要だと思ったんじゃ?」
「エルとリンってかなり体格差あるじゃないですか?やっぱりコミュニケーションが取りづらそうに思えたんですよ、やっぱり同じ高さで教えた方が効率がいいと思いますし」
「まあ、そういう効果も無いとは言わないが今更必要かは甚だ疑問だな」
「そう言えば今日はまだリンを見てませんが、何かあったんですか?」
「うむ、難しい時期なんじゃ」
「反抗期には早すぎると思うのは私だけですか?」
「ワシもそう思う。まあお主が滅多に顔出さんのも原因の一つじゃからな?」
「…………そうですね」
「おいおい、そこまで思い詰めることはないと思うが…」
「いえ、リンはまだ生後一ヶ月なのに顔を出すとか出さないとかって話すのがおかしいんですよ。付きっきりで世話をするべきだったんです」
「いや、ロック鳥はそんなに過保護に育てないぞ?飛べるようになって、狩りを覚えたらほぼ自立だから、リンも慣習で行けば既に自立しても大丈夫なんじゃが」
「ダメですよ、まだまだ子供ですし」
「確かにな…とりあえずお主は今から一ヶ月は休暇なんじゃろ?」
「そうですね、その間は小まめに会いに行くようにします」
「いや待て、逆に出てこんくなるかもな…」
「どうかしたんですか?」
「いや、リンは今特殊な術を練習中でな…それが完成するまではお主には会わないと言い張っておるんじゃ」
「私が手助けできない感じですか?」
「いや、実際にはあった方がいいんじゃろうが…なにせ当の本人が頑なに拒むもんでな」
「じゃあ、会わずに手伝う方法はありませんか?」
「そうじゃな…考えておく」
「そうですか…じゃあとりあえず毎日鮮魚を持っていきますね?」
「鮮魚か…ワシは肉のが好きなんじゃがなにせ魚は食った気にならん」
「あ、大きくするので確り食べられると思いますよ?」
「そうじゃったな…その魔法何気に便利じゃな。それさえあれば金銭問題も解決するじゃろ?」
「へ?」
エルがガクッと崩れ落ちる
「お主、それの有用性に気づいてないのか?」
「はい、さっぱりわかりません」
「それを使えば稀少な物はより大きくなる、それを売って、同質の物を買って、大きくして、売ってを繰り返せばあっという間に一財産できるぞ?まあ、バレれば悪用しようとする輩に狙われるのは確実だが」
「じゃあ、秘匿します」
「だがそれさえあれば何時でも金貨の山が作れるぞ」
「そうですね…考えときます」
「さてと、ワシは戻るかの」
「戻っちゃうんですか?せっかく南の島に来てるのに?」
「そうだの…お主、この魔法のトンネル効果だけを適応できるかの?」
「できますが?」
「なら、ここにトンネルを設置したらどうじゃ?」
「確かにそうすれば移動は楽になりますが、夜になったら魔物がトンネルを越えてくるとか嫌ですよ?」
「トンネルの周りをお主の魔法で囲ってしまえばいい。そうすれば色々都合のいい場所ができると思うんじゃ」
「確かにそうですね。そうと決まればさっそく設置しますよ。もう片方は…水晶球に入れちゃいますか」
私はポケットから空の水晶球を取り出して魔法陣を水晶球の中に写していく
ドルクス曰く「才能がないと難しい作業」であるこの作業も私にとってはいつもの事なので数秒と掛からなかった。
「分かっていたことだが魔法というのは実に便利な物じゃな」
「そうですね」
エルは門の向こうへ帰っていった。
私も門を回収したら一度戻ろう、そのあとは…後で考えます
私は本を片手にエネシスに向かった。
▲▽▲▽▲▽▲▽
時は遡ること半日程
ケルビンの方はダンジョンを進んでいた。
長い長い螺旋階段を経て三層目に降りると、そこには森林が広がっていた。
地下なのに木が育つというのはどういう事なのだろうか…
それに何故か、見た感じは夜みたいになっている。
ダメ押しに本物ではないと思うが星が見えている。
「謎が深いですね、仕組みが全く理解できない」
「だからダンジョンなんですよ」
「まさか急にこんな風になるとは予想してなかったわ…しかし困ったわね灯りをつければ魔物の的になるし…かといって灯りがないと進めないし」
「朝まで待つのはどうでしょう?」
「待つんですか?たぶん朝になるまでもう何時間かありますよ?」
「そうですね、ここで簡単な安全地帯を作って朝が来るのを待ちましょう」
「安全地帯ね~ダンジョンの中で安全地帯なんて初めて聞いたわ」
「そうですか?とりあえずやっちゃいますね」
ソウジは詠唱し始める
『氷よ、我らを護る壁となれ アイスバリア』
彼を中心に半径5メートル程の魔法陣が地面に描かれて、陣の縁から氷の壁が生えてきてあっという間に半球状の薄氷の壁が完成した。
「よしと、時間停めたのでコレで大丈夫です」
「ちょっと寒くない?」
「そのうち温かくなりますよ、あっ焚き火は危険なので止めといて下さい。一酸化炭素中毒で全滅なんて笑えませんからね?」
「いっさんかたんなんて?」
「一酸化炭素です、有害で焚き火とかでの不完全燃焼で発生する物質です。大量に吸うと呼吸に影響を及ぼします。場合に寄っては命に関わる場合もありますね」
「ケイトさん、昔から言うじゃないですか『家の中では火を焚くな』って」
「言うかしら?私、実家は貴族だからよくわからないわ」
「そうでしょうね、私が持ってきた魔道暖房を使いましょう」
「お二人にタイムコントロールを掛けときますね?朝までの時間を短縮します」
「わかりました」
「だいぶゆっくりにするので朝が直ぐに来ますよ、俺は今からちょっとやることがあるのでトランクに潜ります。何かあっても返事できないのでなんとかして俺を呼んでください」
彼は手の上で水晶球を弄んでから魔力を流した。
直後、世界が目に見える程の速さで変化し始めた。
木々のさざめきがかなり速い、星は動かないが月明りの変化が忙しない、数秒と経たない内に月明りは薄れ初めて星が赤く光り初めて三層全体が赤く染まる。
夜明けだ。
そして赤い光りは徐々に青く変わっていき、数秒で朝が来た。
森に朝霧が立ち込めている。
なぜここまで再現するのだろうか、謎だ。
そして、世界が元の速度を取り戻した。
「おはようございます」
ソウジ君がトランクから這い出てきた。
「さてと出発しましょう」
「でも不思議な物ね、日光が無いのにこんなに明るくなるなんてね」
「あの結晶が光源ですね」
天井には太陽のような役割をする大きな結晶が一つと、壁についてるのと同じ小振りな結晶が無数についている。
「星の役割を果たしていたのと同じですね」
「問題は無いでしょう。次行きますよ」
ソウジが薄氷を爪先で蹴ると薄氷全体にひびが入って粉々に散った。
不思議な事に破片も空中で霧散するように消滅した。
「じゃあ道沿いに歩いていって、階段と同業者を探します」
「そうね、お父さんの情報も欲しいし、同業者は信用ならないけどいざとなったら殺しても許されるからね」
「そうですね、この際だからサクッと冒険者の方捕まえて情報を引き出してしまいましょう。幸いここはダンジョンなので死体の処理に困りませんし」
(はあ、黒いな~フウカさん、俺じゃフウカさんの代わりは務まりそうにないです…)
私たちは森の中を進んでいった。
…で数十分後
「人、いませんね」
「そうね」
私は生返事で返す
「階段も見当たらないですね」
「そうね」
そんな解りきった事実を言ってどうするつもりなのかしら
「どうしますか?」
全く建設的じゃない質問に答えようと考えるも現状を打開する名案は出てこない。
「そうね…」
「ケイトさん!ちゃんと考えてますか?さっきからそうねしか言ってませんけど!」
エレナが声を荒らげた
「考えてるわよ、ただ思い付かないだけで…」
「お二人共、少し落ち着いたらどうでしょうか?お茶入れましたから、コレ飲んで落ち着きましょう」
ソウジ君は緑色のお茶?が入ったカップを二人に渡した。
ちょっと苦いけどこう言うときには調度いいお茶だ。
どこで仕入れたのかが気になるところ
「ソウジ君、よくそんなに落ち着いていられるわね」
「そうですね、俺は凄く落ち着いてますよ?むしろ慌てたらダメなんですよ」
「変化のない森を数十分も歩いたのに?」
「はい、元から一週間は探索する予定でしたのでそこまで気にすることではないと思いますよ」
「いえ、物資も有限ですので余裕という訳でも無いですよ」
エレナが真面目に反論してる、やっぱりあのお茶いいわね
「確かにそうですね、でもまあそこまで逼迫してる訳でも無いですよ。俺が持ち込んだ分はまだ手付かずですし」
そう言えばなんであんなに焦ったんだろう…
「!魔法の気配がします、これは…攪乱魔法ですか」
あー、よく考えてみればそんな兆候が何ヵ所かあった気がするのになんで気づけなかったんだろう…
「そうらしいです。俺達はまんまと同業者の罠に掛かったわけで…ガッツリ迷ってます」
「どうしますか?」
「まあ、相手をするしかないんだけどね」
「とりあえずこの魔法を解除しますか…」
エレナは本を開いた。
「ではケイトさん、エレナの護衛はお願いしますね」
「え、ソウジ君はどうするの?」
「敵の数を減らしてイニシアチブを奪還します、俺達はその為の手段を持っていますからね」
ソウジは笑みを浮かべつつ上を指差した。