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二周年記念閑話

作者:「メリークリスマース。皆さん、聖なる夜を如何お過ごしですか?家族と?恋人と?それとも作者と?因みに俺は二周年でテンション上げながらmmoをソロプレイだよ」


レン:「独りじゃん」


作者:「そうだけど何か?世間はクリスマスでも俺は二周年記念日だから」


ジン:「そうなのか」


作者:「まあ、今日はばばっと総集編して、駄べって、弄って終わりかな?」


レン:「でもアレだね、僕らがちゃんと前書きにいるって言うのも不思議な感じだね」


作者:「まあ今日は普通に閑話を書くよ。あっ本編には一切関与しません」

はい、突然ですが聖夜がやって来ました。


二人は聖夜だしって買い出しに行きました。

それっぽい物を買ってきてくれと頼んだのは俺だが…


そして俺は何をしてるのかって?


ちょっぱやでクリスマスイベント攻略の準備だよ?


幾つかのイベントアイテムを組み合わせる事で転移石を作成できて、それを使うことでイベントボスのザ クリスマス オブ レッドクロス Ⅲ なる所謂サンタ型のボスモンスターの討伐に参加できるようになる。


その転移石の準備が終わったから、各種消耗品の補充と武器強化と依頼の処理を行っていた。

ついでに香草焼きの香草とクリスマスケーキも用意してたりして…


「ふふふふっ、俺の最高傑作でサンタの服を真っ赤に染めてやる」


「サンタは既に赤いよ」


「はあ、お前は参加不可。詰まらなくなる」


「えー、じゃあこう言うのはどう?」


レンはウインドウをこっちに向ける。

そこにはマップが表示されている。


「これどーこだ?」


「ん?見覚えがない地図だな。インスタントマップか?」


「よく見てみなよ」


「あれ?鬼人の森?」


「あー、そうやって呼ばれてるの?長いこと細かい事情には触れてないからさ」


「まさかこのイベントを仕込んだのって…」


「そう僕だよ。どうせなら皆でワイワイしたいじゃん。で継なる門に直接関係した人は直接エリアスに転移するようにして、それ以外は僕が作ったそっくり空間のサンタを討伐することになるって言う仕組みね」


「つ・ま・り?」


「うーん、流石にアリシアからは見えないと思うよ?でもー、結界とか特に張ってないから進攻始めちゃうかもね。まあ、クリスマスイブの日の入りからクリスマスの日の出までの限定召喚だから対して被害は出ないでしょ」


「はあ、また俺はお前の尻拭いか…」


「それとさアオイちゃん達も継なる門に関わってたりするからちょっと危ないかもね?まあ、そうそう問題ないと思うけど」


「はあ、お前の狙いは判った…俺とアオイさんを巻き込んだ上でフウカさん達を動かして反応を見ようって事だな」


「ご明察、僕は参加しないからね?僕が参加したらフウカ君が露骨に嫌がるから」


「いや、端からお前が片付ければ良いだろ?」


「それはヤダ、それじゃあ健闘を祈るよ」


レンは青い結晶を掲げて転移した。


「チッ、逃げやがった…、急いで戻って香草焼きの準備しないと」


俺は本を開いた。


そしてキッチンに戻った俺は鶏肉がまるごと置かれてるのを確認すると急いで下拵えを終えて、オーブンをガンガン燃やす。

幸いな事に家のオーブンは魔導オーブン(市販の魔導オーブンをフウカさんの水晶球と俺の魔導回路で改造してレンが安定させた物)だ。

魔力で火がつく。


タイムブーストで時間をショートカットして七面鳥の丸焼きを瞬時に作る。


「よし、じゃあ次はサンタ!フウカさん、ケイトさーん、イチャコラしてるとこ悪いんですが問題発生です!」


『ええーー、それ私達いないとダメなやつ?』


ケイトが不満そうな声で言う


「鬼人の森にサンタ擬きだそうです。それだけなら放置するんですが、あの駄神が用意したらしいので…」


『サタン?って何?』


『聖夜に赤い服着てプレゼントを配る不審者ですよ』


『それたぶんギルドか宗教の回し者よ』


「ケイトさーん、今回のはギルドでも宗教でもなくて駄神の回し者ですよ」


『どうせそろそろ降りなきゃですし、ついでに不審者を独り血祭りに上げるだけですし』


『でも寒いわよ?』


『帰ったらお風呂入りませんか?』


「じゃあサクッと終わらせて帰ってくるわよ。七面鳥もあるし!」


「じゃあ行きはコレで行きましょうか」


「何ソレ?」


「レンが細工して置いてった転移結晶です。ホントは俺が楽するために作ったんですけどね…アイツが態々用意してくって事は何か意味があるんでしょう。例えば森に入れないように結界が張ってあるとか…出られるのに入れないとか狡い性能ですよね」


「じゃあケイトは温かい格好してきて、流石にその格好じゃ風邪引いちゃいますよ」


「大丈夫、断熱魔法掛けてあるから」


「そんな便利な物が有るんですね」


「私もその水晶球は持ってますよ?使いませんが」


「あると便利よね」


「まあ、俺には必要ありませんね。じゃあ行きますよ」


俺は転移石を掲げる。


『メリ~クリスマ~ス!』


と言う声と赤と緑の光が放たれるとそこは既に森の中だった。


冬になって雪の積もった森は月明かりを反射して少し明るかった。


そして俺達の前には凍り付いた池とその上に佇む身長5m近い赤い巨人がいた。


「大きいわね」


「まあ、驚くような大きさでも無いですね」


「直ぐ死にますよ。急所をスパッてやれば」


フウカはそう言いながら掌を巨人に向ける。


巨人の首に魔法陣が出現して、白い線を残して消える。


巨人の首元に赤い筋がついた。


だが、それだけだ。


巨人は物ともせずに動き出した。


「あれ?おかしいですね。確かに切れてる筈なのに首が落ちません」


『メリークリスマース!!』


巨人が吼える。


巨人の上にThe Christmas of Red cloth Ⅲと言う文字と緑のバーが六本現れる。


「えーっと?ザックリスマスオブレッドクロス3?長い名前ですね。シンプルにサンタでいいですね」


「じゃあさっさと終わらせます。七面鳥が待ってるので」


俺は刀を抜いて、左手をレッドクロスに向ける。


『氷よ、汝我が刀となりて、我に仇なす物に制裁を加える手助けとなれ 氷刀精製』


俺の左手に青白い光が集まって細長く伸びて透き通る氷の刀となる。


『我、時を繰る者、我が剣の時を止めよ タイムストップ』


そして、刀に白銀の光が纏わりついて消える。


何を言うでもなく、サンタの足を切り刻む。


「二式逆車」


ソウジは刀を振り下ろしてサンタの足を深々と斬りつけて、刀を支えにしてサンタを登っていく。


「よいしょっと!」


俺はサンタの腰まで登って、一番軟らかい所に刀を振り下ろした。


「あれ?やっぱり臓物出ないな…ん?待てよ?コレ、レンが関わったからリアルに噛んでるけどクリスマスイベントだよな?なら簡単じゃないか、HPバーを削り切ればいいだけだ。コンバート:ソウジ!」


俺はコンバートして、下りながら切り刻む。


「頭上の緑のやつを削り切ればいいんですよ!」


「だいたい解ったわ、とりあえず切り刻めば良いのね?」


「魔法も良さそうだし、なんとかなりそうですね。でもまだ別の姿を持ってたんですね」


「まあ、この空間でしか使えませんがね。フウカさん、大きい魔法の準備をお願いします。ケイトさん、前線を支えますよ」


「わかった、フウカよろしくね」


「じゃあ最新作のテストもしちゃいますね」


フウカは上昇していった。


ケイトも翼を使用して、サンタの顔の回りをグルグル回りながら斬り始める。


俺は足下をスキルで乱打する


「アッパースラッシュ、エリアルキャリバー、蒼飛刃、エアロサーキュレーション、羅刹、アース・スパイク、ホーリーバースト、シャドウ・ピラー…」


赤、青、緑、黄、白、黒


色取り取りの光が、斬撃や衝撃破と共に炸裂する。


それ幻想的とまで思うほど綺羅びやかにサンタの命を散らしていた。


「コンバート:リアル!MPとSPの完全回復まで300秒その間にこっちで斬りまくる!」


俺も飛び始めて、腰辺りを斬りまくる。


さっきまで意図的にスキルでスタンさせられていたサンタが自由を取り戻して、袋から緑の箱を取り出した。


緑の箱が光となってサンタに纏わりつくとHPバーが回復した。


サンタは更に金色の包装の箱を取り出す


「なんだ?」


金色の包装の箱は金色の光となって形を変化させて重厚な斧を作り出す。


「コイツ、プレゼントで攻撃するのか」


サンタは斧をブンブン振り回す。


ケイトはヒラヒラと斧を躱す。

俺は振り下ろされる斧の刃に対して垂直に刀の刃を立てて切り上げる。


振り下ろされた刃は止まらずに地面に沈み、割れる。


『メリッ!?』


「甘かったな、この刀は特別製なんだ」


俺はサンタの右目を思いっきり斬りつける。


血が勢いよく吹き出して、眼球はポリゴンとなって消える。


『メリィィィッ!』


サンタは更に咆哮する。


すると空を虹色に光るソリが通りかかって、二頭のトナカイが降りてくる。


Christmas of reindeer man


クリスマスのトナカイ男?


「トナカイって人型だっけ?」


「トナカイって何?」


「頭に立派な角が生えてて、寒冷地に生息する鹿の仲間です」


「シカ…?」


「アレを四つん這いににして小さくした感じの動物です」


「へー、不思議な動物もいるのね」


『二人とも避けて!』


声が降ってきて、直後数え切れない数の氷の粒と空気圧が降ってきてトナカイの片方の頭に直撃した。


頭だけでなく体中に氷の粒がめり込んでトナカイは見るも無惨な姿になると思われたが、次に控えていた空気圧により潰すとも割るとも言えない形でバラバラに四散して、見ることすら出来なくなった。


「あはは、コレは依頼のときは使えませんね。後片付け大変ですし」


「そうね、でもこう言うときにはいいんじゃない?」


「発想は凄いと思います」


「ハイル・ダウンバーストって言って、文字通り雹と下降気流を掛け合わせて作った魔法です。では第二波の準備をしてきますね」


フウカは再び上昇していく。


もう片方のトナカイが何処からか用意した大鎚を振り上げる


が最高点まで上がると大鎚の先端が自由落下を始めた。


「残念でした。青髪の異名は伊達じゃないんですね」


俺は会話の最中に簡易タイムブーストで加速して、奴の鎚に切れ込みを入れていた。


それは俺の思惑通りに働いて、トナカイの頭に当たる。片方の角が折れて落下する。


「お前ごときに苦戦する俺じゃない」


俺はトナカイの頭から尻の先端まで真っ直ぐに刀を落として、トナカイを割った。


トナカイは左右に別れて地面に倒れポリゴンとなって消えた。


「さてとさっさと殺りますか、アオイさん達が来る前に終わらせたいしってまた全快してるし…」


サンタは袋から虹色のキラキラした包装の箱を取り出す。


それは斧に変化して藤色の光を発し始める。


空間魔法か?だとしたら厄介だ。

奴は最強の盾にして最強の矛を手に入れた事になる。


「どうするソウジ君?」


「とりあえずあの斧を壊します。俺の魔法ならアレを打ち破れるかも知れませんしね」


「じゃあ前衛は任せて、ソウジ君は魔法の準備を」


「了解です」


ケイトは再びサンタを撹乱し始める。


鈍重なサンタの斧は一向に当たる気配はない


『我、時を繰る者、彼物の時を戻し再び流したまえ リ・ドゥ』


ソウジの左手(正確には左手の袖口)から銀色の光の玉が飛び出して、サンタの斧に当たる。


すると斧は姿を変えて元の箱に戻った。


透かさずケイトはそれを切り捨てる。


真っ二つになった箱は地面でポリゴンとなって砕け散った。


サンタは新たな箱を取り出す、赤だ。


「次は何が来る?」


赤い箱は真っ赤に燃え上がって飛び散って地面で激しく燃えて此処彼処で火柱を上げる。


「だからどうした!」


俺は叫んでサンタの右手の親指を斬り落とした。


『メッメリィイ!!』


サンタは左手で袋の中身を掴み緑の箱を取り出す。


「させるかよ!」


俺は箱が光に変わる前に切り捨てる。


地面で真っ二つになった箱は光に変わって俺を包み込む。


「へえ、奪えるんだ~」


サンタは地面に手を着く。


『メーリィィークリスマース!』


サンタの咆哮の直後、地面がボコボコと盛り上がって、二十数体のサンタと同じぐらいの大きさの雪だるまが現れる。


「数だけ揃えた感じね」


「これは相当面倒ですよ」


Christmas of snow golem:Lv89


Lv89って言ったら俺より高いぞ…


サンタがソリに乗ると、雪だるまが氷の棘を掃射し始める。


『氷よ、汝は絶対なる盾なり。その身をもって我に仇なす矛を防げ アブソリュートシェル』


俺の前に丸い氷の盾が地面から生える。


『時を止めろ タイムストップ』


俺はケイトさんを掴んで盾の後ろに放り込む


俺は飛び来る氷の中をコートと自作のカッコいい盾で棘防ぎながら抜ける。


そして雪だるまの一体を縦に真っ二つにする。


が切った所から接合して元に戻ってしまった。


「切りがないか」


『ダウンバースト!』


声に続いて空気の塊が俺の真上から降りてきて地面にぶつかり四方八方へと突風を引き起こして俺と雪だるまをその場から弾き飛ばした。


翼のお陰で地面に叩きつけられはしなかったが、もう一度食らいたいかと言われたら否だ。


「大丈夫?」


「一応無事ですがおかわりは遠慮したいですね」


「ソウジ君、良かったね援軍が来るよ?」


フウカさんはしれっと現れたレンの頭を槍で小突く。


「アレ?明日は雨かな?フウカ君の攻撃が致命傷じゃない…」


「マジで?間に合わなかった?」


「うん、と言うか君が呼びに行ってた」


「相当ヤバイって事か…」


「じゃあとりあえずあのサンタの動きを止めましょう。私があのサンタの周りの空間を指定します。ソウジ君はその空間の時間の流れを遅延させてください」


「フウカさんの方の魔力は…大丈夫そうですね」


『我、空間を繰る資格を持つ者、我が資格の下に彼の空間を区別せよ バンダリー』

『我、時を繰る者、我が意思に沿いて彼の空間の時間の流れを操作せよ タイムコントロール』


サンタの周りを囲うように藤色の光の球体がうっすらと現れ、そこに銀色の光球が飛んで行き、球体の内側がうっすらと銀色に光って球体自体が鈍色に染まる。


俺は時の流れを意識して、空間内の時間の流れをどんどん遅くする。


ここがエリアスであることもあって、俺は魔力残量を気にせずに時間を遅延させられた。


『やっと巡ってきたソウジ君を出し抜いて先にイベント攻略するチャンスだし、張り切ってサンタ殺すよ!』


「どうやら援軍も来たみたいだし、サクッと雪だるま片付けてあのサンタを血祭りにあげますか…」


「ねぇフウカ、アレって例の貿易の相手方じゃない?」


「あー、そういえばそうですね。なんでこんな所に?」


「貿易?なんの事ですか?」


「あー、ソウジ君は知らなかったね。レンと相手の神が勝手に結んだ貿易ですよ。その時に地上への流通を促進するために私達、正確にはお義父さんとそのパイプとして私達も招集されて、その時の相手方の付き添いが彼のアオイさん達ですね」


「はー、なんだ既に関係者だったなら俺が急いで動かなくても良かったのか…」


「もしかして知り合いだったりする?」


「お得意様ですね。よく攻略最前線で顔を会わせるんですよ」


「まあ、相手方もそれなりにやるみたいだし私はサンタ用に魔法練ってくるね」


フウカはそうだけ言ってまた上昇する


「フウカさん、どんどん魔職になってきますね」


「まあ、才能はあるし天職だと思うわ」


「とりあえずあの雪だるまを片付けますか」


俺は刀を地面に刺してコンバートして腰の刀の片方を抜く


「じゃあ各自雪だるまのHPバーを削りきると言うことで」


とりあえず目の前の雪だるまを切り刻む。


「時間掛かるな…よし!銀次郎を呼ぶか」


「これが欲しいんだろ?」


俺の後ろに白いコートの少年が現れただろう、たぶん古ぼけた本を持っている


「話が早くていいな」


「19時43分だ。後は自分で頑張れ」


後ろから放り投げられてきた本を受け取って開いて、手早くページを捲る。


『展開』


本から写し取られた魔法陣が空中に浮かびあがって穴が開く。

穴の向こうにも森が広がっており、そのど真ん中に全身鎧がいる


「銀次郎、ちょいちょい」


走ってきた全身鎧は穴を越えてこちら側に入ってくる。


「雪だるまを蹴散らすのを手伝ってくれ」


銀次郎は敬礼して雪だるまの群れの中に突っ込んでいく。


「我ながらぶっ壊れた性能の使い魔を作ったな…」


そんな事を考えながら俺は目の前の雪だるまを切りつけた。


▲▽▲▽▲▽▲▽


時を遡ること数分

ベイグルのギルドにて


「呼び止めてすいません」


「ソウジさん、コレ作って頂いたと聞きました。ありがとうございました」


「お礼なら俺じゃなくてレンとアオイさんに言ってください。俺は話を聞いて、レンに話を振って、横から口出ししただけなので」


「今日はどうしたんですか?」


「わかっちゃいます?」


「まあ、一部でオーパーツと囁かれる青髪武器の作者が態態呼び止めたって事は何かあると考えただけですよ」


「あー、そっかこないだのでレイさんにもバレちゃったのか。今日はとある事に関するお詫びと協力をお願いしに来ました」


「へ?何かありましたっけ?」


「えーと、今開催中のクリスマスイベントで専用アイテムを揃えて組み立てると転移石が完成してイベントボスを討伐できるのはご存知ですか?」


「あー、このクリスマスツリーね。この後行くつもりだったから勿論知ってます」


「では、この転移石で転移する先が俺とレンと皆さんだけ違うことは?」


「違うんですか?」


「見ためは同じですが、違う場所に転移するようになってます。エリアスの鬼人の森の奥の池に転移します。そこにはThe Christmas of Red cloth Ⅲって言う巨大サンタが一体とChristmas of snow golemって言う雪だるまが十数体います。良ければ攻略を手伝って欲しいんです」


「でも何故あちらの世界に?」


「それはこのイベントを仕込んだのがレンだからです」


「でも運営の公式イベントですよ?」


「ハッキングですよ」


「はっハッキング!?」


「まあ、あいつには朝めし前だろうし…で、レンのお遊びに巻き込んでしまった事のお詫びとサンタ討伐を手伝って欲しいって言うのが協力のお願いです。そうですね~お礼はサンタのドロッブアイテムと俺が近々売り出す予定の商品を分けるって事でどうですか?お金が欲しいならお金でもいいですよ?」


「まあ、願ったり叶ったりなので当然受けさせて貰いますが。ソウジ君も来るんですよね?」


「俺の転移石はもう使っちゃいました。まあ、向こうにはまだ居るし二人も動いてくれてるので直ぐ終わりますよ」


そしてアオイは手に持ったクリスマスツリーから出てきたウインドウをタップした。


そこは森の中、全てが白銀に染まっていて、所々赤で彩られていて顫動音が鳴り響いている。

既にサンタのHPはそれなりに削られており、雪だるまも既に戦闘を始めている。


「やっと巡ってきたソウジ君を出し抜いて先にイベント攻略するチャンスだし、張り切ってサンタ殺すよ!」


「アレって貿易の時にレンさんを槍でいたぶってた、フウカさんだよね?」


「ねえアオイ、ライバル出現かもね」


レイの指差す先にはフウカさんと親しげに話すソウジ君が居た。

するとフウカさんは飛んで!?上昇していった。


そこまで見たところで、急にこっちに向かって氷の棘が飛んできた。


その先には雪だるまがいた。


「じゃあ片付けるよ」


私はそう言いながら雪だるまに急速接近して真っ二つにする。


「ちゃっちゃとやるよ!サンタのラストアタック取りに行くよ」


私達は雪だるまを無視してサンタの相手に回る。


▲▽▲▽▲▽▲▽


「あーあ、入っちゃった…」


俺がアオイさん達と合流しようとした矢先アオイさん達は鈍色の球体に入って一気にスローになった。


まあ、遅くする分には問題ないか。


その間に雪だるまを片付けるかな


しばらくだいたい十二分ぐらい雪だるまをひたすら切った。

だいぶなれてきて、一体にかかる時間も短くなってきた。


俺が次の雪だるまに狙いを定めると、突如として周りの雪だるまが消し飛んだ。


『うむ、だいぶ良くなったな。塵の片付けに使えそうじゃ』


『それホントに良くなってるの?おじさんの言うことってよくわかんない』


ロック鳥二羽も出てきたみたいだし、そろそろ終わりだろう。


俺は雪だるまを追うのを止めてサンタに目を向ける。


既に雪だるまも数少ないし、残りはケイトさんと二羽に任せても大丈夫だろう。


「よし、終わらせるぞー」


俺は鈍色の球体に入って、時間の流れを少し速めて、サンタを切りつける。


「さっさと終わらせて七面鳥の香草焼きを食べるから、さっさと死んでくれ」


俺はサンタの脇を抜けて袋を切り裂く、中からボトボトと箱が出てきて光になって消えていく。


そんな事には見向きもせずに俺はサンタの耳を切り捨てる。


「アオイさん!スイッチ!」


「えっ!?はい!」


俺はそう叫びつつ、サンタがいつの間にか取り出した斧を右手で切断、左手でスタンを取って下がる。

下がる時にアオイさんとすれ違った

当たり前だけど、ちゃんと動いてくれて助かったと思いながら空を見る。


フウカさんが風の大弓と幾枚もの魔法陣でサンタに狙いを定めている。

大弓につがえてるのは…槍?


サンタのパンチとアオイさんの刀が撃ち合った。


刀はあっさりとサンタの拳に沈んだ。


そして、サンタは刀が刺さったままの拳を引く


「くっ、抜けない!」


結局、アオイさんの刀はサンタの拳に持っていかれてしまった。

そして、俺もバカなのか咄嗟に叫んで支給品の刀をアオイさんの方に投げてしまった。


「アオイさん、コレを使ってください!」


投げられた刀はアオイさんの真横に突き立った。


「コレって…」


「ヤツが回復するのを阻止して下さい」


サンタは袋の穴に引っ掛かっていた緑の箱を手に取る。

アオイさんは支給品の刀で拳ごと箱を切る。


箱は光に変わりアオイさんに纏わりつき、拳は地面に落ちて砕け散り、役目を終えた袋もまた砕け散った。


「あとは削りきるだけね」


レイは例の片手剣を振り回しながら言う


「げっ、退避してください!」


「え?何が?」


次の瞬間にはサンタ以外の全てが暴風により吹き飛ばされていた。


そんな中俺は翼でなんとか体勢を安定させながら、空から降ってくる青緑色の光を見た。


それは氷の棘を幾本も引き連れて、緑色の刃のような風をなびかせながら墜ちてきて、サンタの脳、脛椎、心臓、肝臓、その他もろもろの臓器の類いを破壊しながら貫通して、四方になびく風の刃でもって四肢を切断、その魔力で急速に腐蝕、風化、浸食させていき、サンタを亡き者にした。


残ったのは一振りの刀と一本の槍だけだ。


「ふぅー終わったー」


地面に降りてきたフウカさんは大きく伸びをして、槍を引き抜く。


そのあとはそう長くなかった。


何せ手元にキレイに包装されたプレゼントが現れた直後に強制転移させられて、俺はいつもの小屋、フウカさんとケイトさんは家らしい、エルとリンは壱なる門に、アオイさん達はランフォート武具店にそれぞれ転移した。


アオイさんの刀もちゃんと腰に戻ってたらしい。

何故か俺の刀はアオイさんの所に行ってたが…


そんなこんなで俺は瓶詰めにした醤油を持っていつもより人の少ないベイグルのランフォート武具店にやって来た。


「どうも家の刀がお邪魔してます」


「あっソウジさん、いらっしゃいませ」


「これ、報酬の新商品の醤油です」


「醤油?醤油風調味料じゃなくて?」


「醤油です」


「でも、今回私達『被・害・者』ですよ?もうちょっと色付けてくれてもいいんじゃない?」


「そうですね~、これでどうですか?俺が使いそびれたトリニティシュレッダーの改良型のハンドレッドリーパーです。一回で当たり判定が百個出ます」


「冗談よじょ・う・だ・ん、私とランでまだ少し準備しなきゃいけないし、その間アオイと散歩でもしてきて、あっついでになんか飲み物買ってきて」


「アオイさん、二人もそう言ってますし行きましょう」


「飲み物、何買ってくる?」


「酒以外」


「わかった」


俺とアオイさんは期間限定で白銀に染まった町を歩く。


「飲み物何処に買いに行きます?」


「そうですね、商業区に行ってみましょう」


そして商業区で


「あの、このジュース幾らですか?」


「一瓶10ネルロです」


「へぇ?利益率50%は高過ぎじゃないか」


「げっ、なんで青髪さんが?」


「なんでってクリスマスに町に買い出しに来てもおかしくないだろ?しかも見る限りケチな商売してるな。アオイさん、あっちの店にしましょう」


俺はアオイさんを引っ張ってく


来たのは確りした店構えの雑貨屋


「なあ、会長さん?最近この辺ぼったくり露店が多くない?」


「仕方ないだろ?そんなに気になるなら店に入って買えばいい」


「それもそうだけどさ町の雰囲気が悪いからさ」


「仕方ないだろ?世はクリスマスで、ここはプレイヤーが減って、外に居るのは宿なしの残念賞とお前みたいなリア充だけだからな」


「ああ、こちらはアオイさん。今回のイベント攻略のヘルプを依頼したんだ。家のお得意様でもある。こちらはゼネル、この当たりのブロックを取り仕切る商工会の会長さんです」


「はじめまして」


「はじめまして死神殿、あんたの噂はかねがねから聞いてますよ。そこのご隠居に比べたら数倍聞いてます」


「確かにご隠居だけどさ…」


「ああ、二つ名変えたんでしたね、高速ロードローラーさん?」


「その二つ名止めてくれませんか?」


「なら止めるように言って置きましょう」


「で、なんか飲み物買いに来たんだけどあるか?」


「ん?そこの棚にあるのは全部一律10ネルロだ」


「高くないか?」


「いや、適正価格だ」


「なら、貸しがあったはずだ負けてくれよ」


「じゃあ一本オマケしてやる」


「なら、コレと瓶10本で交換でどうだ?」


俺はストレージにしまっておいた醤油を取り出す。


「そいつは?」


「豆と麹を寝かせて圧搾して作った汁だ」


「それってまさか」


「そう、醤油だ。これが有れば刺身に醤油風調味料とか言うなんちゃってドレッシングを使わなくて良くなるな~」


「まさかそれを卸してくれるのか?」


「まさか、卸してほしかったら家の小屋まで来いそしたら卸してやる。まあこれはお試しだ」


「うむ…仕方ない負けた…持ってけ泥坊!」


「よし、交渉成立だな。来店お待ちしてます」


俺はジュースを四本買って、計十本持って店を出た。


「さてと、戻りますか…」


「ちょっとだけ家に寄ってもいいですか?」


「いいですよ」


「どうせだし荷物持ちしますよ」


「じゃあお願いしようかな」


そして居住区に来て


「いや、皆にクリスマスプレゼントを用意したんだけどストレージに入れ忘れちゃって」


「俺も良くやりますよ」


「ホントに散らかってて悪いね」


「大丈夫ですよ、俺の小屋はもっと酷いので」


そしてアオイさんが戻ってきた。


「忘れ物はありませんか?」


「ちょっとだけ…時間いいかな?」


「大丈夫ですけど…どうかしましたか?」


「さっき、戦闘始める時についついあんなこと口走っちゃって、嫌いになりました?」


「いや、むしろ嬉しかったかな。競争は相手が居るから面白い、オンラインゲームも同じで仲間が、敵が、そして競う相手が居るから面白いんだと思うんですよ。俺を競う相手だと思ってくれて、それで自分も誰かの目標になれるまでになったんだって解って嬉しいと感じました」


「ふふ、ソウジ君って不思議な人ですよね。そんな事言う割りに隠居してるし…」


「よく言われます」


「ライバルの記念にクリスマスプレゼント、交換しませんか?」


「討伐報酬のプレゼントボックスですよね?いいですよ。まあレンが弄ったので何が出るのか全く見当つきませんが」


俺は自分の白いプレゼントボックスを取り出す。


アオイさんのは青だ。


「何が入ってるんでしょうね」


「振っても音なんてしませんよ」


俺は振ってみる。


カタカタと軽い音がする。


「開けてみませんか?」


「いいですね。中が気になりますし」


俺は青い箱を開ける。


開けたら強魔法とかないよな?


とか考えながら開けると、中には青い毛並みの猫耳が入っていた。


「猫耳?」


「猫耳ですね」


アオイさんは白い方を開ける。


「黒い猫耳?」


「レンめ…もしもを想定して俺が交換しうる所全てに猫耳を仕込んだな」


「お揃いですね」


「そうですね」


まあ、そのあとは特筆することもなくランフォート武具店にジュースの瓶とアオイさんを届けて俺は少し過去に遡って家に戻った。


「ソウジ君、香草焼きって、どうするの?」


「えーと、足を千切って…」


俺は二人と一柱と食卓を囲んでリアルでの聖夜を楽しむのだった。

作者:「遅刻したけど頑張りました」


レン:「そうだね。ソウジ君とアオイちゃんの仲に進展はあるの?」


作者:「予定はない」


ジン:「最近主人公交代したのか?」


フウ:「してないよ?」


作者:「でも自然な感じで奪われつつあるよね」


レン:「確かに」


フウ:「いや、私は普通に主人公してるし」


作者:「お気づきの方もいらっしゃると思いますがここは主人公禁制ですよ?」


フウ:「いや、私直ぐ帰りますから。まだ主人公ですし!」


ソウ:「別に主人公とか要らない…」


作者:「ではメリークリスマース、良い夜を!Have a nice night !」

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