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いさ、南へ行かん

模試で遅刻しました。

すいませんでした。

ギルドに報告に行ってから二日ちょいが過ぎた。

 

八つ目の鐘がなった頃。

 

ソウジはお馴染みのスマホを使って時間を見る。

08:02:46:03


「2分46秒ずれてますね」


「まあ、人力だし仕方ないでしょ」

 

「そうですね。神力のスマホと比べちゃダメですよね」

 

「それにしても、フウカ遅いわね。忘れ物取りに行くにしては遅くない?」

 

「ふー、お待たせしました」

 

フウカは肩で息をしながら走ってきた。

 

「飛べば良かったのでは?」

 

「前に飛んでかなり怒られたので…」

 

「で?何を取りに行ってたの?」

 

フウカの手には表面が空間魔法でコーティングされた木箱が握られている。


「これはケイトとソウジ君にもしもの事があった時のために作った物です。ホントにどうしようもなくなった時に使ってください」

 

「いつ使ったらいいの?」

 

「どうしても必要になったときに使ってください。きっと私の作品が力になってくれるので」

 

「てことは中身は水晶球ね」

 

「その中身についても中に入ってるメモを読めば解る筈です」


「フウカさん、そろそろ…」

 

声を掛けたのはバックパックを背負って背中に羽を生やしたアリアだ。


「そうですね。そろそろ出発しましょうか」

 

フウカの言葉に呼応したように背中に翼が現れる。


「ケイト、ちょっとだけ目を瞑っててくれませんか」


「う、うん…」


ケイトは言われた通り目を瞑る。

  

フウカはそっとケイトの後頭部に手を回して、額に口付けをした。


ケイトは顔を赤くして硬直した。

 

「行ってきます」

 

フウカは紅潮した顔でそう言って上昇して、アリアと南へ飛び去っていった。

 

「最近のフウカさん、すごく積極的ですよね」


ケイトは未だに固まっている。 

 

「ケイトさんも乙女ですね~」

 

ギャルゲーにおける知識とオンラインでの知識のみで語るこの世界で乙女に近いようで最も遠い少年は硬直したケイトを見て染々そう思い、そう言った。


▲▽▲▽▲▽▲▽


そして三十分後

 

「アリアさん、大丈夫ですか?顔色があまり良くないようですが」

 

「大丈夫です、少し寒いだけなので」

 

「まだ、先は長いけど…動けなくなるよりはいいか…」

 

フウカは代替品の杖を取り出す。

 

『我、空間を繰る者、我が意思に沿いて我と我が友の居場所を外界から切り離し我らを運べ イソレイト』

 

フウカを中心に半径3m程の魔法陣が展開される

 

「乗ってください。こんな上空で倒れて墜落したら大変ですし」

 

「すいません」


アリアは魔法陣の端に降り立つ。

   

「外側から二本目の線の内側に入ってください。はみ出てるとスッパリ切れちゃうかも知れませんから」

 

アリアはすごすごと魔法陣の内側に入ってきた。

 

『構築します』

 

魔法陣の外縁からぐるっと囲むように藤色の壁がせり上がり、上にも藤色の魔法陣が張られる。

 

「じゃあ荷物下ろして楽にしてていいですよ。制御は私がやるので」

 

「私は何をすれば?」

 

「まだ顔色が悪いので、体力の回復に努めてください」

 

私は藤色の箱を前進させる。

 

箱はゆっくりと動きだし徐々に速度を上げていく。

 

『じゃあこのままの速度で直進です』大丈夫ですよ、ちゃんと面の上に乗ってれば手を切ることもなければこけて擦りむく事もないので、そんなに緊張しないでください」

 

「は、はい!」

 

「ダメですね…仕方ないですね」

 

フウカはそっとアリアを抱き寄せる。


◇◆◇◆◇◆◇◆

 

作者:「?何良いところで顔出してんだ!って?そりゃ顔出しますよ。良いところだから」

 

ジン:「気になったんだが、最近フウカのキャラ変わってないか?」

 

レン:「確かに急に大人びたような気もしなくもない?」

 

作者:「単に色魔になっただけじゃない?」

 

レン:「・・・・・」

 

ジン:「 ̄─ ̄」

 

作者:「なんか問題あった?」

 

レン:「まあ、いいんじゃない?」


◇◆◇◆◇◆◇◆ 


ソウジとケイトは急がず焦らず、北に向かっていた。

 

実際、今の速度で移動していけば昼過ぎにはケルビンに着ける筈だ。


まあ、この速度で飛び続けられる魔物も殆どいない。

 

唯一「フェイ」と言うちっさい燕みたいなのだけが居るが、攻撃性は低く大人しい気質の為、並んで飛ぶぐらいならなんの問題もない。

まあ、もしも相手にしても軽くあしらえるだろう。

 

「これで半分って所かしら」

 

既に太陽は殆ど真上に上がっていて正午近いのがわかる。

 

「まあ、あと二時間もかかりませんね。でも不思議ですよね、アリシアの南にはすぐ隣に町があるのに北にはずっと平原が続いてるなんて」

 

「昔はここがゼレゼスにおける所謂辺境だったんでしょうね。まあこれだけ広くて、森が多くて、魔物だらけの土地だから開拓するのも一苦労なんでしょ」

 

「あり?君達運がないね。まさかこんなところをウロウロしてるなんて思ってなかったから…」

 

突如現れたレンは珍しく鎌を持っている。

 

「今は君達に構ってる暇はないんだ。だからソウジ君?ケイトちゃん連れてこの場から立ち去って。今すぐ…」

 

「何をそんな藪から棒に…」

 

「ハイハイ、僕もアイツらも超絶藪からスティックだから行った行った」

 

「じゃあケイトさん、飛ばしますよ」

 

ソウジとケイトは全速力でその場から離脱した。

 

「さてと、僕もお仕事するかな…不手際(メンドウ)の処理をするのが僕のお仕事だからね」

 

レンの足下から八本の紅炎が噴き出して、鎌が燃え上がる。

 

「ジン君、誘導して」

 

『了解』

 

直後白いフードを被った集団が出現する。

まあ言うまでもない、白フードだ。

わからない方は三章を読み直して下さい。

 

「はあ、今日も随分と大勢で来てくれたもんで」

 

「ふっ、すぐ帰るさお前を叩き潰してな」

 

「キラ君、君暇なんでしょ?毎日毎日飽きもせずよくやってられるよね」 

 

「仕事だ、悪く思うな。総員突撃」

 

集団は鍵剣を抜き、隊列を組んで押し寄せる。

 

「仕事?私事の間違いでしょ」

 

レンの足下から伸びる八本の炎が変化して八人のレンが現れる。

 

「さあ、僕の力をキラ君に見せつけておいで」

 

八人のレンは無言で宙を滑って、向こうとは逆に隊列などとは無縁に無秩序に飛び回り、フードを翻弄する。

 

「たかが分身に惑わされるな!」

 

キラは分身は鍵で切り捨てる。

切られた分身は燃えて消滅した。 

 

「そうだよ、そんなのは子供騙しに過ぎないよ」


レンは警戒を強める白フードを眺めて笑みを浮かべながら、両手に抱えたM134を空中の集団に向けた。

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