ケイトの隠し事とアリシアの領主ヴィンス
私達は馬車に揺られて依頼主の元へと向かっていた。
「この馬車、明らかに中央に向かってますね」私はケイトに話を振る
「そうね」ケイトは不機嫌だ
「どうかしたんですか?」
「何も」
馬車の中の空気はさらに重くなりつつ依頼主の元へと向かっていた。
「到着です」ギルド職員が言う、私達は馬車を降りる
「ケイト、ここって領主の屋敷ですよね?」
「そうよ」
私達に向かってメイドが歩いてくる
「ケイト様とフウカ様ですね。領主様の元へご案内します」
私達はメイドの案内に沿って移動する。
「こちらです」
案内されたのはとても豪華な扉の部屋、メイドがノックする
「領主様、ケイト様とフウカ様をお連れしました」
『入ってくれ』中から渋い声が響く
メイドが扉を開け、私達は部屋に入る
「まぁ、立ち話もなんだ取り敢えず掛けてくれ」領主らしき金髪の四十代の男が部屋の中央のソファーに座っている
私達は反対側のソファーに座る
「私はヴィンス=アリシア。辺境都市アリシアの領主だ。今日は指名依頼の説明のために来てもらった。早速だが依頼の説明を初めていいかな?」
「はい、大丈夫です」私は答える、ケイトは黙り込んでいる
「では、始めよう。まず今回、君たちに頼みたいのは私の護衛だ。一週間後、私が王都へ行く際に私が王都に着くまでの道のりを護衛してもらいたい。報酬は金貨1500枚、働きにより追加で金貨を出そうと考えている。水と食料と道中の宿代と馬車はこちらで用意する。ここまでで質問は?」ケイトが口を開く
「この依頼を受けない、という選択はありですか?」
「あぁ、別に無理して受けなくてもいい。私自身、嫌がる娘に無理やり何かをさせるようなことはせんよ。例え家出して三年も帰ってこない娘だとしてもな」
「娘?」
「ああ、その反応からすると、ケイトは君に自分のことを話していないね?」ケイトの顔に絶望が浮かぶ
「ケイトは私の娘だ。三年前にエネシスの次期領主のところに嫁がせようとしたら。物凄く怒って家を飛び出してしまって。私は必死に探して、王都で見つけたが見つけたときには既に冒険者になっていた。そこまで嫌がる娘を無理やり連れ帰って嫁がせるのは、気が引けたから、そのまま好きなようにさせることにした」
「へぇ~そうだったんですか」
ケイトはフウカがアリシアに残ることを決めてから話すつもりだっただけにうなだれている。
「その様子からするともうしばらく話さない気だったな。残念ながら私が話してしまった。で、受けてくれるかね?」
「お断「引き受けさせてもらいます」
「ちょっとフウカっ「引き受けてくれて嬉しく思う。一週間後の朝9:00青龍門から出発だ」
「このクソ親父何勝手に「わかりました、では私達はこれで失礼します」
私はケイトを連れて部屋を出る