理屈は解ってる
作者:「イチャラブ苦手~」
レン:「見てて楽しいよ?」
作者:「書いてて苦痛。恋?なにそれ美味しいの?って感じ」
ジン:「発育環境次第では美味しいらしいぞ?」
レン:「ジン君、恋食べたことあるの?」
ジン:「前にどうしても時間が無かったときにな」
レン:「どんな味なの?」
ジン:「俺が食べたのは鯵じゃなくて鯉だ」
レン:「?」
ジン:「?」
「───と言うことで解りにくい持論の魔法理論は置いといてですね、私が作成した魔法なら元々の魔力量の少ない人でも複雑な挙動の魔法の行使及びその効果の維持を容易に行う事が出来るのでアリアさんもこんな風に飛べるようになるのです」
私は翼解除して降り立つ
「はい、きっかし180秒」
「えーと、なんかスゴイですね」
アリアさんも苦笑いだ。
ソウジはストップウォッチの代わりにしていたスマホをコートのポケットにしまった。
「でも、山脈はどうするんですか?」
「飛び越えます。別段大した事ではないので」
「飛び越えるですか」
「ほんの数週間でワイバーンが復活してるとも思えませんしね」
「そうでしたね。山脈のワイバーンの処理をお願いしたんでしたね」
「と言うことなので、冬用の暖かい服装だけ用意していただければ大丈夫です」
「はい、わかりました。用意しておきますね」
「忙しい所お時間頂いてしまってすいませんでした。三日後はよろしくお願いします」
私達は昼になって賑わい始めた酒場を横目にギルドを出た。
「お昼どうします?」
「そうですねー、ここ最近はハンバーグを扱うお店も増えてきてハンバーガーモドキも出回って食べ歩きが楽になりましたし」
「ソウジ君?最近のファストフードの事情じゃなくてお昼ご飯の話」
「やっぱりこうパンと米しかないと麺が恋しくなってくるんですよね~」
「私は特別そう言ったことはありませんね。記憶がないからでしょうか」
「そうなんですよね~この世界ではラーメンとかゲームとかで語り合える相手が少ないんですよ、それこそレンぐらいしか居ないし…」
「呼んだ?」
レンは路地からひょっこり顔を出す
「呼んでません」
「ラーメンのスープって何が好き?」
「僕は豚骨かな…味噌も捨てがたいけど」
「豚骨か~、醤油ラーメン食べたいな~」
ズズズッ
「何?お腹減ったから豚骨ラーメン食べてるんだけど?」
「お前の能力って便利だよな~」
「まあね」
「よし!醤油ラーメンを作る!って事でさっそく準備に取りかかるんで先に戻りますね」
ソウジは颯爽と駆けていった。
「行っちゃいましたね」
「僕も茶々いれてくるから」
レンも姿を消した
「ケイトはお昼何がいいですか?」
「何でも」
「急に無口になってどうしたんですか?」
「別になんでもないけど?」
「もしかしてアリアさんを誘ったことで拗ねてるんですか?あれはああした方が効率がいいと考えたからしただけで…」
「解ってる!大丈夫、解ってるから…」
「しょうがないですね、今日だけですよ?」
私はケイトを抱き寄せる
「ちょっフウカ?ここ外…」
「大丈夫ですよ。もう衆知の事なので皆さん驚きませんから、ケイトが落ち着くまでこうしてますよ」
「でも、風体が…」
「では止めましょうか」
「やっぱりもう少しだけそうしてて…直ぐ立ち直るから」
私は特に何も考えずにケイトの頭を撫でる。
そのまま、短く切り揃えられた黒髪にそっと触れながら手を下ろして、通りの向こうでニヤニヤしている黒いヤツに狙いを定める
指鉄砲(で通じると思いたい)の形を取る。
指先に緑色の魔法陣が展開して空気と緑色に発光する魔力が集まって弾丸を形作り、黒いヤツのビデオカメラに…
『ニャーッ!!まだ録り途中なのにーー!!』
「どうかした?」
「いいえ、やっぱりケイトが一番ですよ」
▲▽▲▽▲▽▲▽
「はぁ…せっかくイチャラブシーンが撮れそうだったのにな~」
レンは継なる門の広野に出来た建物に来ていた。
広野には新たに氷の城が立っていた。
いや、城と言うよりは工場に近い感じか。
「またそういう悪趣味なことを…」
「で?ソウジ君はラーメンのスープはどれが好きなの?」
「俺はストレートに醤油だな」
「で?この樽は?」
「ああ、アッチで拾ってきた大豆っぽい豆を入れる樽だ」
「で、この麹はどこで仕入れてきたの?」
「紳士諸君に手伝って貰ってなんとか作成に成功した」
「紳士諸君て…」
「醤油の完成はもうすぐだ」
「君、こういう事になると強いよね」
「リアルとアンリアルは反比例するのだ」
「君の場合、混同してる節が幾つもあるけどね」
「気にしちゃいけない」
ソウジは樽の中に酵母と塩水を混ぜた物を放り込み、蓋をして、魔法をかける
「何倍速?」
「2920倍速、約三時間後には醤油の出来上がりだな」
「じゃあ一旦小屋の方も確認したら?屍体袋背負った全身鎧のサンタさんが待ってるかもよ」
「最近、死に損ないも多いからやんなるよ」
「始末しちゃえばいいじゃん」
「それがNPCばっかりだから嫌なんだろ?あのゲーム、NPCはユニーク設定だから下手するとヤバイんだよ」
「だから銀次郎君には殺すなって命令してあるんでしょ?」
「まあな」
「因みにこの工場のコンセプトは?」
「何をしても壊れない、漏れない、美しい町工場だ」
「ここで何する気なの?」
「そりゃ色んな作業をする予定だな。醤油制作もそうだし、二振り目の制作もそうだし、チート武器とか便利道具とか、ちょっとした宿泊施設と大浴場も兼ねたり…」
「でも透け透けだよ?」
「その辺は大丈夫だ。あの辺の壁見たいに細かい空気の粒を含ませる事で光を屈折、乱反射させることで向う側を見えなくするとかも出来るし俺以外にここに泊まる人はたぶんいないから」
「あっそう?何だかんだで君が一番この本を活用してるんだよね…」
「ん?まあ、プレイしてる人間が殆どいない現状じゃ俺が一番使う頻度も高いだろうな」
俺は氷の机の上に置いといた本を手に取りページを捲り、とあるページの挿し絵に触れた。
足下に魔法陣が展開して周りの景色が一瞬にして切り替わった。
そこは見慣れたログハウスだ。
ジッシーズオンラインにおける俺の隠れ家にして青髪の野良猫の店舗兼作業場だ。
「さてと今日の収穫は?」
そこには死骸いや素材からなる小さい山があった。
そして、なるべく見ないようにしている簡易ベッドに目を向けると、ちょっと見知った顔がそこに転がっていた。
「あーあ、申し訳ない限りです」
「彼女、そこに横たわってるってことは銀次郎君にやられたのかな?」
「たぶんな」
「銀次郎君、見境なしだね」
「そうだな」
俺はサクッと回復薬を作ってサイドテーブルに置いて再び本を開く
「ちょっとどこに行く気かな?知り合いが重症で倒れてるのにポーション置いて放置!?」
「ん?ちょっと注射器作ってくる。出血が多いし意識が無いのは不味いからな。あんまり無茶な事は出来ないけど多少回復力を上げる薬を血中投与することは出来るし」
「あっそういうこと…」
「その間ちゃんと看とけよ?」
俺はページを捲って転移した。