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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
作者の手抜きの閑話編
118/260

行け、急いで、配達者達よ

作者:「次回かその次かはわからないけどコラボをやるっぽい」

レン:「彼方さんが休載気味なのに?」

作者:「俺はやるつもりだから、あとは高宮先生次第って感じ」

レン:「因みにどっちが提案したの?」

作者:「それはもちろん俺だよ。ウインド(新生)も更新しました。こっちもよろしくお願いします」

URL:http://ncode.syosetu.com/n9888dz/

戸締まりをして家を出たソフィアさんと私は、朱雀通りからハウ〇方式(あのの動く城でハウ〇とソ〇ィーがやってたフワフワと屋根の上を歩くやつ)で白虎門まで来た。

そして、白虎門の警備兵に補導されている。

 

「着地地点に人が居たらどうなるとおもってるんだ!次からはそういうことも考えて行動してもらいたいね。もう二度と町中で飛ばないように!次からは罰金を取るからね!」

 

「でも私は自由に飛べるので人の上に堕ちるなんてことは起こり得ませんよ」

 

「でもじゃない!そういう過信が事故を起こすんだ、何事も過信は良くない、少し謙虚なぐらいが調度いい」

 

「はい、ごもっともですね。次回以降は注意します」

 

「注意じゃなくて無いようにしてくれ」

 

「はい…」

 

「怒られちゃいましたね」

 

「はぁ、アリシアでならもしかしたらもしかするかもと思ったんですが、やっぱりダメですか」 

 

「まあ、おかげで配達競争の参加登録が締め切られる前に到着できましたね」

 

「それにしても結構選ぶ余地があるんですね。あの中で一番高額なのはどれですか?」

 

私は積み上げられた野菜の山を見て言う。

 

「そうですね~、あの中ならジャルかナーシですね」

 

「梨?」

 

「ナーシですよ」

 

「ナーシって言うと?」

 

「この黄色っぽくてジャルに似た形でザラザラしたやつがナーシです」


と言ってユリが手にとって見せたのは梨そっくりの果実っていうか梨だった。

 

「あっそう言うことですね。はい、理解しました。で、どっちかって言ったらどっちが高いですか?」

 

「そうですね、微妙な所です。ここら辺で一番ジャルを生産しているケルビンは例のアトラス騒動の後始末に追われてジャルの生産量が例年の数分の一に低下しているので流通量が少なくなっているのですが、元からその見た目故にナーシは王都近郊でしか生産されて居らず流通量も少ないため、アリシアでは高級品とされています。今年はどちらも似たり寄ったりの価格になっているのでなんとも言い難いですが、地理的な問題でナーシの方が運搬に費用が掛かるのでナーシの方が高くなると思います」


「じゃあナーシを全部運べばいいですね」


「ぜ全部っ!?フウカさん、あの量ですよ?それも競争しながら、もっと軽くしておきましょうよ?頑張って運んでも勝てなかったら金貨は貰えないんですから」

 

「この競争で勝つのは容易なのでどうせなら一儲けしようと思ったのですが、それに私には荷物の重量は有って無いような物なので」

 

フウカは掌に藤色の魔法陣を作り出す

 

「あっそうでしたね、ならナーシ全部で」

 

「ちょっと頑張りますか」

 

そんな二人の会話は賑わう人々の会話で掻き消されてしまった。



そして十数分後、白虎門の前にはたくさんの馬車や荷車がところ狭しと並んでいた。

 

フウカたちは最後尾に居た。


「フウカさん、やっぱり前に居た方がいいんじゃ」

 

「大丈夫ですよ、前を走る人も馬も関係ないですから。問題はあのテイマーの人」

 

フウカが指差した先には、ハクセキレイを身長2mぐらいに引き伸ばしたような鳥を連れた男がいる。

 

「勝てますか?」

 

「勝ちます」

 

フウカはコートのポケットに入れてある三つの水晶球を確認する。


風の加護、加速、疾風の翼、

 

この三つが籠められた水晶球をポケットのなかで弄ぶ。

 

「フウカさん、そろそろスタートですよ」

 

「スタートの合図はどんななんですか?」

 

「魔道花火です」

 

「魔道花火…なんでも魔法でどうにかなっちゃう世界ですもんね」

 

「どうかしましたか?」

 

「なんでもないですよ」

 

その直後、白虎門から白い光弾が打ち上げられ、軽い爆発音と共に白い閃光を発生させる。

 

「スタートですよ」

 

「しばらく箱の中で大人しくしててくださいね」

 

「はい」

 

藤色の魔法陣出現してソフィアを囲んで宙に浮く。

 

先に浮かべて置いた積み荷を確認して、いつも通り飛び立つ。

 

宙に浮いた箱二つはフウカの後ろについて移動してくる。

 

一分も掛からずに先頭に追い付いたのは言うまでもない。

 

先頭に居るのはやはり先のハクセキレイの男だ。

 

意外なことにハクセキレイは飛ぶのではなく走っていた。

 

レン:「ハクセキレイって意外と足速いもんね」

 

次点は馬四頭に馬車を引かせて走る貴族

 

そこから荷車がズラズラと続いていく。

 

先頭はだいたい時速60kmそこそこで町の円周を移動している。

 

「道を開けろー!俺は貴族だぞー!道を開けろ!」

 

貴族の男は情けない事を叫びながらハクセキレイを追いかける。

 

「貴族が庶民の祭りに参加するなよな!みっともねぇぞ」

 

「俺は貴族だからいいんだ!なぜなら、貴族だからだ!!」

 

「貴族である事を主張しすぎてて、みっともないを通り越してむしろ清々しいですね」

 

「フウカさん、貴族様相手にそんなこと言ったら…」

 

「お義父さんの好意で領有が認められてるだけの貴族の筈なのに、それを鼻に掛けて威張り倒して、よく人前に出られますよね」

 

「ストップストップ、フウカさん一回落ち着いて」

 

「バカにしよってからに」

 

貴族は顔を真っ赤にして怒っている。

まるで不味そうなプチトマト、いや梅干しだ。

 

貴族は小弓を引き絞り、放ってきた。

 

小弓程度の威力の攻撃が私に通る訳もなく飛んできた矢はナーシが入った箱に防がれてあらぬ方向に飛んでいった。

 

「その程度ですか、今度はこっちからいきますよ」

 

フウカは藤色の魔法陣を展開し、馬車の長柄とブレーキを切断した。

 

解放された馬たちはそのままの速度で走り、馬車は横転して回転しながら城壁に突っ込んだ。

 

貴族の男は満身創痍だが一応生きているようだ。

 

と言うことで貴族の男はその場に放置してハクセキレイとフウカの一騎討ちになる。

 

「あんた速いな」

 

「そちらこそ、私の知り合いのなかでは上位の速さですよ(ケイトには遠く及びませんが)」

 

「お褒めに預かり光栄だよ。なあ、ここは協力しないか?同着なら両方が優勝となるらしい、だから二人でゴール出来れば会場も沸くし、金も貰える。な?そのがお互い得じゃないか?無闇に張り合っても疲れるだけだろ?」

 

「お断りします。早くこれを届けて次の競技に行くので」

 

フウカは残りの水晶球を発動させて、一気に加速していった。

 

「速っ。ティムっ急ぐぞ」

 

ハクセキレイも速度を上げ始めた。

 

私は白虎門まで戻ってきていったん視認できる程度まで速度を落としてからまた加速して白虎通りを突き進む。 

 

「あっケイト達だ」

 

フウカは一旦止まってケイト達の近くに降り立つ。

 

「こんなところでなにやってるんですか?」

 

「フウカさんがその格好でそれを言うんですか?」

 

「私は今、配達中です」

 

「あー、そう言えばそろそろ通る頃だったわね」

 

「フウカさん、後方から巨大ハクセキレイ接近です」

 

「じゃあ、私達は配達があるので行きますね」

 

フウカは再び飛び上がる。

 

「慌ただしいわね」

 

そう言った直後、巨大ハクセキレイが飛び去っていった。

 

「ホントに慌ただしいですね」

 

「さっ、私達も行きましょ」

 

ケイト達も再び歩き出した。

 

 

そしてフウカたちはハクセキレイと並列飛行していた。

 

「絶対に勝ってやる」

 

「では私達は館で待ってますね」

 

フウカは再び水晶球を使用して加速する。

 

「そうは行くか!ティムっソニックブースト」

 

ティムと呼ばれたハクセキレイは両足で空気を蹴って、急加速する。

 

その刹那、轟音と衝撃波が辺りを襲う。

 

「へー、音速を超えますか。なら私もちょっと本気を出そうかな」

 

フウカはコートの魔法陣を展開してそこから予備の杖を引き出す

 

『我は空間を繰る者、我が資格の下に我が意思に沿いて彼の地と此の地の狭間を縮めよ 縮地』

 

藤色の光が炸裂し、道のように伸びる光が消えると既にそこにフウカは居らず、既に藤色の道の先を飛んでいた。

 

「フウカさん、なんか頭がぐらぐらします…」

 

「暫く待ってくださいね、もうちょっとで着きますから」

 

そしてフウカたちはハクセキレイを置き去りにして優勝をかっ拐ったのであった。

 

「やはり今年の優勝者はフウカ君か」 

 

「あはは、ちょっと頑張ってみました」

 

「君はまたこんなにナーシの身を持ってきて…。今年の秋は大寒波が来るな」

 

「そうなんですか?」

 

「私の財布に」

 

「賞金ってお義父さんのお財布から出てたんですね…知っていればもう少し遠慮したんですけど」

 

「いやいいんだ、一年に一度の収穫祭だ。ここで使わずにどこで使うんだ」

 

「あの、フウカさん。さっきから領主様をお義父さんって呼んでますがどういうご関係で?」

 

「ああ、これは前に依頼を受けたときの名残で」

 

「なんだ、てっきり嫁に来てくれるのかと思ったんだがなー」

 

「嫁ってことはセイ様のですか?」

 

「いや、セイがフウカ君を寝盗ったらケイトが黙ってないじゃろうて」

 

「そう言うことですか…」

 

「いえ、私はまだ結婚とか考えてないので」

 

「えっ、そうなんですか?一緒に住んでるのに?」

 

「ソフィアさん、その理屈で行くとソウジ君も入っちゃいますよ」

 

「あっそうでしたね」

  

すると轟音が響いて空から巨大ハクセキレイが落ちてくる。

 

「配達でーす」


「宣言通り館で待ってましたよ」

 

「完敗だよ。全力を出しきって負けたんだ、何も言うことはないさ」

 

ハクセキレイから降りた男はどこか清清しい顔をしていた。


「そうでもないですよ?『来年こそは勝ってやる』ぐらいはことは言っておくべきかと」

 

ソフィアは男を励ました。のか?

 

「まあ、来年も負けるつもりはありませんが」

 

「うむ、男としてはちと情けないが、熱い物を感じるのもまた事実じゃな。愉快愉快、これでこそ祭りじゃな」

 

「青春だね~」

 

通りすがりの(レン)は一言呟いて歩き去って行った。 

 

「ほんとあの人何者なんですか?」

 

「ただの通りすがりの神さまだよ」

 

歩き去って行った筈の通りすがりの神さまは、歩いて行った方向とは真逆から現れてそう言うと、今度こそ立ち去った、いや姿を消した。

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