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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
作者の手抜きの閑話編
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完成 ういんどばーすと

ソウジが向こうで高みの見物をしている頃、壱なる門では暴風が吹き荒れていた。

その上空でフウカとエルが暴風の塊を地上に落としつつ、論議を繰り広げている所に、リンとソフィアが手助けとは名ばかりの思い付いた事を喋っている。


「だからこれはこう撃つんじゃて」

 

「それを強化するとこうなるんですよ!」

 

「むやみに表面土壌を吹き飛ばしてどうする、物事は過不足なくが一番なんじゃ」

 

「大は小を兼ねるとも言いますよ。むしろこういう、身を守るための技はより高威力の方が安心では?」

 

「だからって周りまで吹き飛ばすのはどうかと思います。もっとピンポイントに狙って撃てればいいんですが」

 

「もっとピンポイントに点で狙うですか」

 

「もしくは威力を落とすか」

 

「こんな感じですね」

 

フウカは杖を構える

 

「いや、待て待て待てちょっと待てお前は撃つな。下手したら金魚鉢の底面をぶち抜きそうだ」


「金魚鉢?」

 

「この空間の底面の事だ」

 

「やってみます?」

 

『いや、遠慮する。洒落にならんからな』

 

「どう?リン、上手くいきそう?」


「みんなの言うことはちょっとよく解らなかったんだけど、なんか出来そうな気がしてきて」


「うんうん、やるだけやってみよ」


「まずは真空を作って魔力の殻で覆う…次に魔力のを中心に空気を圧縮して魔力の殻で覆う…」

 

「なんか複雑な構造のソレを作ってますけど」

 

「リンの好きな様にやらせてみましょう。別に表面土壌なんかもう残ってないのでどうなっても大丈夫ですよ」

 

「ういんどばーすとー」

 

リンのいまいち締まらない声と共に打ち出された球体は僅かに放物線を描いて落下した。

ソレはほとんど真下に落下して着弾した。

 

地面に落ちた衝撃で魔力の殻に亀裂が走り、そこから空気が抜け始める。

 

「うーん、ちょっと考えてたのと違ったけど、比較的上手くいってる」

 

すると魔力の殻の亀裂が埋まり、から事態が巨大化を始めた。

 

そしてそれがある大きさに到達した途端、殻が砕けて殻の内側に吸い寄せられた。

殻だけ出なくその辺り一帯の岩石や土砂や魔水晶といった物も吸い寄せられて塊を作り上げた。


「うむ、わしや母とは毛色の違うそれになったな」

 

「そうですね、真空を作り出して弾きつつ真空でなくなる時に流れ込む空気と一緒に吸い寄せられるなんやかんやで圧殺するですか、リンがどんどん成長して嬉しいけど純粋に発想で負けた所がなんと言うか…」


「ふむ、子を育てるとはそう言う事だと婆ちゃんが母ちゃんに言ってたな」

 

「うーん?それは現状に当てはまることですか?ちょっと微妙な所だと思います」

 

「まあ、なにはともあれ一応成功しましたね」

 

「一応な。実戦で使用するにはまだまだ修練が足らんよ」

 

「実戦に出ることがあるのか甚だ疑問ですが」

 

「まあ、我らも血を絶やさぬ為の努力が必要なのだ。適者生存の世界で生きていく為にな」

 

「あの一ついいですか?」

 

「なんだ?言ってみよ、何でも答えてやろう」

 

「この場合はフウカさんとエルさんの関係はどう言語化されるのでしょうか?」

 

場が凍りついた。

 

「そう言えば、トリッ〇〇(ピー)とフウカ君は育て親と子供の関係になるんだよね?でエル君もトリッ〇〇(ピー)の育て親なんだよね?だとしたらフウカ君とエル君は夫婦と言うことになるのかな?」


唐突に現れたレンがソフィアの質問に対して細々と考察を述べた 

 

「げっ死神科だ、何しに来た!何でもいいからさっさと帰れ!」 

 

「まあ、そう言わなくても別にローストチキンにしたりしないって。今日はフウカ君が面白そうなことしてたから遊びに来ただけだっ─かっ─らっ─。ねぇ話の最中に人の喉を槍で抉るの止めてくれない!?喋りにくいんだけど!」


「なら帰ったらどうですか?」

 

「いいし、僕も暇じゃないから」


「そうだな、お前は暇じゃないから執務室に籠らなきゃならないんだよな?なんで出てきてるんだよ!」


ジンは何の前兆もなくレンの後ろに姿を現し、鎌でレンの後頭部を殴り、刃でレンの首を絡めとって拘束する。

 

「うちのアホが迷惑掛けたな」

 

そして二人は姿を消した。

 

「あいつらは本当に唐突に姿を現すな」

 

「それに関してはどう意見です」

 

「あの人達知り合いですか?詠唱もなしで出たり消えたり…」

 

「おじさん、あれ誰?」

 

「知らない人ですよ」


「知らない奴だ」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽


そして二人は地上に戻って来た。

 

「なんか凄く疲れました」

 

「私も早くコートを洗いたいですね」

 

「あー、さっきの人をいたぶった時の」

 

「うっかり返り血がかかってしまって」

 

「私が洗っておきましょうか?汚れ物の洗濯は得意ですよ?」

 

「大丈夫ですよ。このコートは特別性なのでどんな汚れも水で洗えば落ちるんです」

 

「そうなんですか」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、なんでもないです。ではフウカさん明日もいつも通りでお願いします」

 

「え?」

 

「まだ一日残ってますよ。依頼」

 

「あっそうでしたね。私倒れたんでしたね」

 

「では今日はこれ以上無理しないで休んで下さい。明日も無理だったら契約切りますからね」

 

こう言った時、ソフィアの目は笑っていなかった。 


「はい」

 

「あとソウジ君にお礼を言っておいて下さい。色々ありがとうございましたって」

 

「はい、言っておきますね。ではソフィアさんおやすみなさい」

 

「フウカさんこそちゃんと寝てくださいね?また徹夜とかしたら減額しますから」

 

「今日は寝ますよ、たぶん…」

 

「では私は失礼します。また明日会いましょう」

 

私は昼に戻って来るときに来た道を戻る。

昨日の今頃にフウカさんを抱えて走った事が懐かしく思えてくる。

 

そのぐらい濃密な一日だった。

 

この五日間で私はかなり成長できたと思う。 

それもこれもフウカさんのお陰であると言うことも判っている。

 

瞬撃の隼とはパーティー結成以前からの付き合いで、それなりに深い関係を築いてきたつもりだったが、彼女たちは私が思ってたよりも数倍いや数十倍の速度で成長していて、私は取り残されていた事に気づくことができた。

 

実力を付け、新たに人を入れて、彼女たちは更に速度を上げて成長していくだろう。その名の通り隼の様に、出きることなら私も彼女たちと共にありたいと思う。

 

私はこの気持ちを彼女たちに伝える事ができるだろうか?

 

たぶん上手く言えないだろうな。

 

でも例え明日言えないとしても

 

いつか、いつかきっと、何かの機械に伝えられたらいいな…と私は思う。

 

そして私は少し冷たい夜の秋風を受けながら魔導証明と蝋燭で照らされ、仕事上がりの人々と稼ぎ時の商人の声で賑わう朱雀通りを歩いて行った。

ジン:「知らない人は酷くないか?」

 

作者:「えっそう?君とフウカ君は何度か会ったぐらいでそんなに面識ないでしょ?」

 

ジン:「結構会ってるぞ?主にレンの回収の時だが」

 

作者:「えっでも、会ったって言っても二三分が何回かでしょ。別に特別会話が多い組み合わせじゃないって言うか特別会話が少ない組み合わせだよね?」

 

ジン:「ん?メールでのやり取りが多少あったりするぞ?」

 

作者:「それもレン君の回収用の連絡でしょ?」

 

ジン:「まあそうなんだが、時々相談も来る」

 

作者:「どんな?」

 

ジン:「『レンの薬作りを止められないか?』とか『レンを徹底的に痛め付けられる部位って何処だと思います?』とか『性転換の薬とか媚薬とか作れないのかしら』とか」


作者:「後ろ二人のソレは対応しなくていいと思う。悪用しかしないだろうから」

 

ジン:「二人目にはもう首がいいだろうって言ってしまった。三人目は俺の寛闊外だからなんとも言えないが」

 

作者:「君のアドバイスはしっかり活かされてるみたいだよ」

 

ジン:「だな」


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