遭遇 死神科
私は加速した身体と思考で引き伸ばされた一秒を走っていた。
前を走る黒いスーツの男との距離が一向に縮まらない。
前の男が路地裏に入る
私はそのまま追う。
「俺に追い付くとは、貴様何者だ?」
「そう言う貴方は死神科の所属ですね?」
「ほう…俺の正体を見抜くとはお前この世界の住人じゃないな?」
「いいえ、この世界の住人です。つい二週間前にこの世界に来ただけですが」
「貴様、転生者だな?」
「だとしたら?」
「だとしたら、俺は立場上お前に手を出すことができない」
「じゃあ、教えてもらいましょう。私に元いた世界での記憶がないのはなぜ?」
「さあな、今までにそんな事例はない。いや待て……そんなわけないな……イレギュラーの特性なのか……まぁ、俺は知らないし知っていても教えない」
「イレギュラー?なんだそれは?」私は死神科の男に槍を突きつける
「ふっさあな、今の貴様には知る権利がない。次に会ったら教えるかもな」死神科の男はどこからか取り出した大鎌で槍を弾き姿を消した。
「はぁはぁっ、フウカどうしたの?急用って何?」
「用事済みました、帰りましょう。」
「ねえ、教えてよ」
「いいえ、ダメです。いつかこの問題が解決したら教えます」
「えーー、今教えてよ」
「ダメです」
「いいでしょ?」
「ダメです」
こうして二人は宿へと戻っていった