ソフィアとフウカと愛娘
作者:「すいませーん、どうしても一話で纏められませんでした」
レン:「ちょっと話が突飛すぎて理解できないよ」
作者:「結果から言うと閑話編が終わらない・・・ホントはそろそろ第四章入りたいんだけど」
ジン:「さっさと切り上げろ!」
作者:「はい…なるべく早く話を切り上げれるように頑張ります…」
翌朝、私はフウカさんの様子を見にフウカさんの部屋のドアを開ける
「フウカさん?まだ寝てますか?」
そこには、昨日の昼と同じように規則的な寝息を立てる少女もいつもの仕事仲間の姿もなく、代わりに薄ら笑いを浮かべながら身だしなみを整えるフウカの姿があった。
それは普段の真面目で愛想がよくて頼りになる年下の少女とは似ても似つかない雰囲気を纏ってそこにあった。
「フウカ…さん?」
それはソフィアを一瞥して口を開く
「ウフフ、私の半身がお世話になってるようね」
「半身?」
「私が表に出ていられる時間は短いから余り話せないけど…これからもフウカの事をよろしくね……」
そして床に倒れた。
「あれっ私どうしたんだっけ…ソフィアさん?」
「ほんとにフウカさん…ですか?」
「ほんとにって…フウカですけど…何がどうなって」
そして私は衝動的にフウカさんに抱きついた。
「そっソフィアさん?どうしたんですか?」
「フウカさんは昨日の昼頃に倒れたんです。それで全然目を覚まさないし、目が覚めたら別人みたいになってて…私不安で…」
「ご心配をお掛けしました。仕事はどうなりましたか…」
「私がやっておきました」
「ご迷惑をお掛けしました。この借りは…」
「借り」…その一言が私に現実を突きつける。
その一言が、フウカさんと特別な関係になれると思ってしまっていた自分に、私とフウカさんがただの仕事仲間であり、フウカさんとは売買契約での繋りしかない事を知らしめる。
「……言わないで下さい」
「えっと、どうかしましたか?」
「借りなんて言わないで下さい!私達、借りなんて言葉を使うような仲なんですか?それじゃあ…私の一人よがりみたいじゃないですか…」
「それは…」
「少なくとも私はフウカさんの事を頼れる後輩のように思っていました。だから借りなんて言わないで下さい…もっと私やケイトさん…仲間を頼って下さい…」
コンコンコンッ
開け放たれているドアがノックされる。
「フウカさん?取り込み中に悪いんですが…娘さんが来てますよ」
「えっ、娘!?」
「あっ、ここ数日会いに行ってないから…」
「エルが手に負えないからそっちでなんとかしてくれとさ」
「じゃあ、対応してくるからソフィアさんとソウジ君は朝ごはんの仕度でもしておいて」
フウカは地下に降りていく
私もついていく事にする。
「あっ、そっちに行ったらダメですよ!面倒に巻き込まれるかもしれませんよ!」
ソウジの忠告を無視して地下に降りる。
そこは物置きの様だった。
だけど色んな物が壁際にすごい風圧で押し付けられた様になっている。
そして部屋の中央に白い巨鳥を宥めるフウカの姿があった。
「だって…だって…さみしかったんだもん」
「ごめんね、仕事が忙しくて全然そっちに行けなくて…」
「おかあさんはおしごとがいそがしいってエルおじさんも言ってた」
エルおじさんって言う人が普段はあの巨鳥の面倒を見ているらしい。
「でもね、おかあさんはいそがしいってわかってるけどね。やっぱりさみしかったの…」
これは痛い、心に刺さる。
この五日間フウカさんから時間を奪っていたことから罪悪感が…
「でね、エルおじさんのいいつけをやぶって、もんをこえてきたの」
フウカさんが柄にもなくおどおどしている。
「じゃあ今日はリンと一緒に居ようかな」
「やったー、おかあさんだいすき」
そしてフウカは魔法陣を通り抜けていった
そして私は厨房に顔を出す
「ソウジさん?あの向こう側ってどうなってるんですか?」
「関係者以外立ち入り禁止です」
「フウカさんが娘さんと一緒に行っちゃったんですけど」
「大丈夫ですよ。帰ってきたら死んだ様に眠るんだろうな…」
「フウカさんは行っちゃいましたが、私はどうしようか…そういえばフウカさんに昨日の分の報酬渡しそびれてるんですよね」
「よければ俺が渡しておきましょうか?」
「いえ大丈夫です。これは私の手で渡したいので」
「それがいいですね。渡しに行くならついでにこれも持っていって下さい」
ソウジはバスケットにパンと茹で玉子とスープの入った氷の筒を入れる
「わかりました」
「二人で食べて来て下さいね」
「はい。何から何まですいません。このお礼は近いうちに必ずします」
ソウジは無言でこっちに手を振ってくれた。
そして私は地下の魔法陣の向こう側へと一歩踏み出した。
▲▽▲▽▲▽▲▽
「今日もご機嫌斜めですね」
「別にそんなことはないわ。ただ朝起きてきたらフウカの部屋の扉が開いてて中からソフィアちゃんの声が聞こえてきただけだし…」
「もしかしてケイトさん、焼きもちやいてるんですか?」
「別にフウカが誰と交際するかはフウカの自由だし…それにフウカがソフィアちゃんのがいいって言うなら別にそれでも構わないけど…」
「ほんとにいいんですか?それなら俺がフウカさんを寝取っちゃおうかな~」
「それはダメっ」
「冗談ですよ。でもここ数日フウカさんが別行動してるから三人で一緒に居ることってあんまりないんですよね…フウカさんがいない日が続くに連れてケイトさんの機嫌が悪くなって、空いた酒瓶の本数が増えてくのでそろそろ別行動をやめてほしいですね」
「別に私の機嫌と空き瓶が増えたのは別にフウカには関係ないからね」
「じゃあ俺は肉のお届けがてら温泉でも入ってきますか…」
「えっ!ソウジ君もあっち行くの?」
「はい、温泉に浸かりに。ケイトさんも一緒に行きますか?」
「私も…やっぱり遠慮しとくわ」
「そうですか…残念です」
ソウジはさっさと食堂から出ていった。
「ほんとにフウカがそれを望んでたら…私は諦められるのかな…」
ケイトは紅茶を一気に飲み干した。
「これはスゴい…」
私の前には広大な荒野が広がっていた
そして空にはさっきの巨鳥とは比べ物にならない大きさ、それこそさっきの巨鳥を蟻としたらそれは象に例えるのが妥当だと思うぐらい大きな白い巨鳥が飛んでいた。
私はフウカさんを探し始める。
勾配が無く地平線まで平坦な荒野に人影は無い。
とりあえず近くに見える間欠泉の方に行ってみることにする。
間欠泉は今は静まっている。
この辺にも人影はない。
「フウカさんはどこに行ったんでしょうか」
近くに粗末だが小屋のような物があるからそっちも見に行くが人影はない。
「どこまで行っちゃったんでしょうか…」
空では巨鳥が旋回している。
私は再び間欠泉まで戻ってくる。
すると黒髪の少年が温泉に浸かっているではないか。
「あっ、ソウジさん。なんでこんな所に?」
「俺はちょっと運動して戻る前に温泉に浸かっておこうかと思って。風呂からソフィアさんの方はどうですか?フウカさんには会えましたか?」
「それがまだ…何処にも見当たらなくて」
「フウカさんなら上に居ますよ?」
「上、ですか?」
ソウジは空を見上げて言う
「たぶんあの黒いのがそうだと思います」
「え~と、どの辺ですか?」
「エル…巨鳥のすぐ近くです」
ソウジの言った通り巨鳥のすぐ近くを凝視する。
すると黒い点と白い点が有ることが解った。
「あれは結構高い所に居ますね。どうします?」
「私が飛べれば簡単なんですけど…」
「飛べればいいんですね?ではこれを貸してあげます」
ソウジは近くに置いておいたコートのポケットから一つの水晶球を取り出した。
「これがあればあそこまでいける筈なので後は頑張ってください」
ソウジは濁ったお湯に肩まで浸かったまま広い温泉を移動していった。
「やっぱりソウジ君って読んだ方がいいのかな?(まあ、まだ子供の範疇ですし…)」
そしてソウジから受け取った水晶球に魔力を流す。
すると周囲の魔力と風が私の背中に集り、翼を形作っていく。
私の感覚が拡張されて翼が私の体の一部、いや脳の一部となる。
思う通りに翼が動く、この翼なら自由に大空を飛べる気がしてくる。
あの日飛ばされていった白いシーツのように…
そして私の体は私の考えてた通りに浮き上がった…
そのときソウジは温泉に浸かりながらスマホを弄っていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
作者:「水没したらどうするんだよ~!」
レン:「大丈夫、防水機能付いてるから」
作者:「なら良かった…」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「さてソフィアさんも昇ってったし、メールもしたし、俺も肉の準備してアレコレしないとな」
ソウジは八方丸く納めるために歩き出した。
レン:「最近ジン君は怒ってばっかりだよね。それに作者に対する当たりがだんだん強くなってるし」
ジン:「これだけ長いことこんな役回りやってたらストレス溜まって当然だ!」
レン:「だから有給は勝手に取っていいって、それに僕は君にお小遣い程度のそれは渡してるけど別に給料とか渡した覚えないし、家は死神科に属する世界ってことで実行班として君がいるけど別に収穫した魂を売ってどうこうとかしてないから企業って言うよりも研究団体なんだよね」
作者:「確かに企業の理念からは外れるよね」
ジン:「は?じゃあここの維持費とか消えた大量の魂魄はどうなったんだよ」
レン:「消えた大量の魂魄に関しては全部ハニーの研究材料になってて、その研究成果を上に提出しないで方々に売り付けたり、世界の成長過程の観察結果を色んな神に売ったりして維持費を作りつつ、君のお小遣いを稼いでた(*^-^*)」
ジン:「じゃあ追加の魂はどうやって作ってたんだよ」
レン:「僕が創造神の力でちゃちゃっと作ってちょっとずつ改変して地上に落としてた」
作者:「まあ今回はこの辺にしとこうか。また来週~」