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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
作者の手抜きの閑話編
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ソフィアと瞬撃の隼

作者:「遅刻してほんとにすいませんでした」

ジン:「四時間の遅刻って…お前何考えてんだ?」

作者:「土曜日だと思って、他の作家さんの小説を読んでました…」

レン:「あるある、長期休暇になると曜日の感覚がわからなくなるあれ」

作者:「楽しみにしてくださってる皆さん本当にご迷惑をお掛けしました」

翌朝、フウカはいつも通りに家を出た。

そして月光の竹林亭のスタッフルームで着替える。


「フウカさん?大丈夫ですか?隈ができてますけど」


「大丈夫ですよ二日徹夜したぐらいで倒れるほど人間柔じゃありませんよ…」


「大丈夫ならいいんですけど」


そしていつも通りに仕事をこなして休憩に入る。


「フウカさん、ホントに大丈夫ですか?」


「あはは、大丈夫ですよ。倒れるなんてまずあり得ないですよ」


フウカはこの後使う予定の空中浮遊の水晶球を取り出す。

すると水晶球が緑色に光り魔法が発動する。

そしてフウカの靴が浮かび上がり、急に足下が不安定になったフウカは転倒した。

フウカは受け身をとることもできずに床に倒れた。

普段なら転倒するどころかふらつくこともなかっただろうが今のフウカは目で見てわかる程度に疲れていた。


「フウカさん?大丈夫ですか?」


返事はない


「フウカさん!?起きてください!」


返事はない


呼吸は安定している


脈もある


「とりあえず何ともなさそうですね」


ソフィアは自分より五つか六つ年下の少女を抱えて自室に運びベッドに寝かせる


「お疲れ様です。ゆっくり休んでください」


そして仕事に戻った。


そして太陽が真上に昇って、西に傾きはじめて、沈み始める


「フウカさん起きてください。もう日が暮れますよ?」


返事はない


「もしかしてこれって危ない奴かな?どうしよう…」


フウカが起きる気配はない


「一先ずケイトさんに事情を話して引き取って貰おう」


ソフィアはフウカの荷物をトランクに放り込んで、フウカを抱える。


「うっ、重い…」


意識のない人間は重いというのは聞いたことがあったけどここまで重いとは思ってなかった。


それでもどうにか瞬撃の隼のパーティーハウスまでたどり着いた。


何とかドアをノックする。


返事はない…


あれ?誰もいないとか言わないよね?


『はーい、今出まーす』


男性の声がして


ドアが開く


「はい、どちら様?」


出てきたのは黒髪の少年


「ケイトさんは居ますか?」


「ちょっと今は出られないと言うか出すとマズイので上がって直接話してください」


「出すとマズイ?」


「日頃の鬱憤からだと思いますが樽酒を開けまして…今現在、色魔に豹変してまして…」


『ソウジくーん、あそびましょー』


「一先ず上がってください。フウカさんが倒れるのは何となく予想出来てたので、そこの部屋のベッドにでも寝かせておいて下さい。じゃあ俺は逃げるんで後のことお願いします」


ソウジと呼ばれた少年は走って地下に降りていった。


そして廊下のの突き当たりからケイトさんがフラフラと出てきた。


「そこまで必死に逃げなくてもいいんじゃないのかな~」


あれはダメだ。

あれに関わるのは危険だ。

関わったら最後元には戻れない。

と私の直感が叫ぶ。


「あれ?ソフィアじゃないこんな遅くにどうしたの?」


捕捉されました。


「フウカさんを送って着たんですけど」


「じゃあフウカは部屋に寝かせといて、私と良いことしない?」


「今日は遠慮させて頂きます」


「まあまあ、そう言わずに。ソウジ君?そこに居るのは解ってるからフウカを寝かせておいて」


「バレてましたか」


ソウジが二階から降りてくる。


「じゃあフウカさんの事はやっておくので」


ソウジはフウカさんを抱え直してフウカさんの部屋に入っていった。


そして私はケイトさんに奥の部屋に押し込まれた。


そして、それから約一時間全身隈無く弄ばれ、色魔が眠りに付いた所で解放された。


「もうお嫁に行けない…」


コンコン


ドアがノックされて開かれる


「無事ですか?」


そう言ったのはさっきの少年だ。


「あ~あ、またぐちゃぐちゃにヤっちゃって…自己紹介が遅れましたね。俺はソウジ、ミナヅキ ソウジ、ソウジ・ミナヅキです。瞬撃の隼の三人目で、この家の居候ですね」


「ソフィア・アリシアです。住み込みで月光の竹林亭で働いてます」


「ソフィアさんは夕食まだですよね?」


「はっはい」


「簡単な物しか作れてないんですけど良かったらどうですか?」


「でも貰ってばかりじゃ…」


「じゃあ感想教えてください」


「じゃあ、ご馳走になります」


そして私は食堂に通される。


「今から焼くので少し待っていて下さい」


そして数分もかからずに厨房からソウジがパンとバターとサラダを乗せた盆を持って出てきた。


「一先ず前菜とパンです。これからメインを持って来るので前菜食べながら待ってて下さい」


月光の竹林のシェフが盛り付けたサラダには遠く及ばないが鮮度ではどっこいどっこいのサラダを口にする。


「んっ!なにこのソース、美味しい」


「お口に有って良かったです」


「これ何を使ってるんですか?」


「玉ねぎとガーリックと植物油と米酢と塩と胡椒ですね」


「手作りですか?」


「はい、そうです。この辺りでは食べられてないので少し不安だったんですが味覚の基準が同じな様で安心しました」


「ソウジさんはどちらから来られたのですか?」


「アンダル帝国の東から仲間と旅をしながらここまで」


「お仲間はどうなさっているんですか?」


「死にました。平原でアンデットの餌食になりました。生き残った仲間とは北で別れてここまでは臨時パーティーで来てここの近くを彷徨いてたのをフウカさんに拾われた次第です」


「そうなんですか…」


「ではメインディッシュの『ハンバーグ』です」


「ハンバーグですか、パッと見はちょっと焼きすぎた丸いステーキにソースをかけた物の様ですが」


「ステーキではないんですね。まあ食べてみて下さい」


切ってみると中から透明な汁が溢れ出してくる


「うんうん、うまくいった」


ステーキ肉よりも筋っぽくなく切りやすい。

そして口に運ぶ、とても柔らかく、肉には付き物の臭みがなく、だからといって香辛料が大量に使われているわけでもなく、むしろ甘味がある。


「美味しいです。食べやすくていいですね」


「固くなかったですか?」


「はい、特に固いと言うことはありませんでした」


「じゃあパン粉の量はこんなもんでいいと…他に何処かこう気になった事とかありましたか?」


「そうですねちょっと焦げが気になります」


「そうですか、じゃあ次からは全てを鉄板ではなく最初の内は網で焼くとして…肉の臭みとかは気になりませんでしたか?」


「全然気になりませんでした」


「はい、感想ありがとうございました」


「これ何のお肉なんですか?」


「主に牛ですね。四割ほどは猪ですが」


「猪って言うと固いイメージがあるんですが…」


「そこは熟成とブッチャーに物を言わせて柔らかくします」


「熟成とブッチャー?」


「熟成に関しては高度な技術が必要なので省きますが、ブッチャーは俺が魔法で作った調理器具で、あっという間に肉を細切れにしてくれます」


「魔法で?」


「氷の魔法が得意なので」


「珍しいですね、最近は殆んどの人が定型魔法は使えるんですけどね」


「なぜか氷だけに特化していて…」


「定型魔法は練習すればそれなりに使える様になるので練習してみてはどうですか?」


「そうなんですか、てっきり自分の属性のそれしか使えないのかと思ってました」


「自分の属性と言うと?」


「個性みたいな物ですよ。その人が得意な属性って言うのが幾つか存在する筈なんですよ。体内に魔力が全くない人は別として…俺の故郷では村の中心に置いてある水晶を使って自分の属性を調べる儀式を行っているので俺は自分の属性を知っていますが、あれがどういう原理で動いているのかはよくわかりません」


「そうなんですか…」


「魔法の事は置いておいて、この料理の改良版で収穫祭の料理対決に参加しようと思ってるんですけどどうでしょうか」


「それなりの結果は残せると思います」


「感想ありがとうございました」


「ご馳走さまでした」


「もうすぐ日が変わりますね。今日はもう遅いので開いている部屋に泊まって行ったらどうでしょう」


「そう…ですね。じゃあお言葉に甘えて…」


「お風呂も沸いているので入っちゃって下さい。俺はキッチンを片付けるので。部屋は二階の奥の浴室の向かい側の部屋を使って下さい」


「はい、ありがとうございます」


そしてソウジはキッチンに戻っていった。


また泊まることになるとは思ってなかった


そしてこのとき、これから私が彼らの秘密にそっと触れていくことになるとは微塵も思ってなかった。

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