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ウインド─第一章、改稿作業予定─  作者: 水無月 蒼次
作者の手抜きの閑話編
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ソウジとケイトと戦場の華 続その二

ソウジ達一行は森を抜けて平原を歩いている。


かなり広い平原(と言うより平野とかって言ったがいい感じ)だから遠くに幾つもの壁が見える


「歩いてアリシアまであと6時間って所ですかね」


「確かに…そのぐらいね」


日は既に真上から30°ほど西に傾いている

今から頑張れば多少どうにかなるのか?とも思ったがここが異世界だと言うことを思い出す。

生きてた頃に読んだラノベとかと同じなら早ければ夕方5時、遅くとも7時頃には門がしまる筈だ。

そして平野故にモンスターからも狙われやすい、戦闘を回避するのは不可能だろう。

こうして二つの要素と現状を踏まえて思考するが今晩、野宿するのは避けられないようだ。


「今日はあと4時間ほど進んだら夜営しましょう」


「そうね…ちょっと不安は残るけどそれしかないか」


「壁の近くで夜営するよりは安全ですしね」


「壁の近くで夜営した方が安全なのでは?」


「ここは平野だからいい意味でも悪い意味でも壁は目立つのよ。明らかに人工物だしね。そうなると多少頭のいい魔物は壁に寄ってくるのよ。普段はそれを上から弓で射て対処してるから死体が多く集まるわけで時々アンデットとかが出たり、|死喰い蟻とか死追狼(スカベンジャー)とかが出るわけで、そこにさっき言った通り目立つ壁を目指してきた豚人(オーク)とか人喰い鬼(オーガ)とか飢犬人(コボルト)とかってこの辺にいる主な魔物が来る訳で」


「結果的に町からある程度離れた場所の方が危険は少ない訳です。それに町の壁の裏側は魔物の死体の腐敗臭とか血とか蟻酸ので酷いらしいですし」


「前々から大規模な清掃が考案されてはいるんだけどね、やっぱりメリットがないは、掛かるコストは莫大だは、で領主も手が出せないのも事実だしね」


「そうですよね、アリシアは他の領地に比べて大きいし壁も高いから」


「それにチーターとかシーフのこともあるし」


「チーター?」


「チーターね、正式には無所属冒険者のことね」


「無所属冒険者?」


「無所属冒険者って言うのは特定の町に居住せずに壁の外に勝手に小規模な集落を作って暮らしている冒険者のことね」


「そんな事をして何の意味が?」


「やっぱり町の中に住むということで第三者に縛られることを嫌うからでしょうね。町に住むとやっぱり税金は取られる訳でしょ?」


「アリシアでは酒税、地税、住民税の三つと所得税が掛けられてますね」


「そう、酒税は酒を買ったときに取られる。地税は月末に警備兵が受け取りに来る、住民税もその時一緒にね。そして所得税に関しては殆どの人は関係ないのよ、所得税を取られるのは冒険者だけ」


「それで?」


「簡単な話よ、壁の外に自分たちの集落を作ってその集落が単体で活動できるなら態々町に高い税金払って住まなくても言い訳でしょ?実際は国の法律で禁止されてるんだけど…」


「町に住まなければ地税と住民税はかからないと」


「それに町への出入りは多少お金が取られるけどそこまで高額じゃない、それに町の壁の裏側に魔物は無数に居るとすれば、複数人のソロ冒険者の集団を作って壁の裏側で狩れる魔物の討伐依頼を受けて、生活必需品を買い占めて荷馬車に乗せて門を出て集落に荷物を下ろしてから、壁の裏側で魔物を狩ってついでに死者の遺物とかも奪って町に入ってそれらを換金、依頼達成で報酬が入って生活雑貨を買うという循環ができる。そうすればかなりお金は貯まるし警備兵の監視も無いから別の商売が出来るようになるの」


「別の商売?」


「聞いたこと無いですか?白夢草ビャクムソウって」


「白夢草?」


「依存性の高い薬草で少量で極度の興奮作用と極めて高い強壮効果をもたらす希少な植物なんだそうですよ」


「別名『墓咲きハカサキバナ』とも言うんだけど、文字通り墓地に生える植物なんだよ。生前栄えた人の墓に咲くってことである方面では縁起物とされたりするんだけど、この辺の殆どの国では白夢草の使用及び採集を禁止してるの」


「だいたい解りました。密売買ですね」


「ご名答、そうある方面の人種と依存患者に高値で売り付けられるからね」


「そして壁の裏側にしょっちゅう行ってる奴等なら白夢草の入手も容易い」


「?」


「白夢草が生える条件はもう解明されてるの、生前保有していた魔力量の多かった人の墓に生えるのよ」


「つまり?魔力を大量に含んだ豊かな土壌だと生えるんですか?」


「そう言うこと、死体が人かどうかは関係ないのよ。ただ人の保有する魔力量がそこらの動物や魔物に比べてちょっぴり多いってことで人の墓に生えるって言われてるだけよ。魔力量の多い魔物、例えばゴーレムとか精霊とか竜種の死骸に生えてたって事例も結構あるし、死骸は一つじゃなくてもいいって話だからね。そんな場所に通い詰めてるんだからそりゃたくさん取れるでしょうね」


「そう言うことですか」


「そのチーターの財を狙う盗賊シーフもまたそこに通う訳で、死骸は更に増えて白夢草も更に生えてお金が町から出ていっちゃうから壁の清掃も出来ないわけで」


「悪循環ってことですね。所でなんでチーターって言うんですか?」


「確か、ズルをする人を古代語で『チーター』って言うのよ。それとアイツら稼ぐのがどの職種よりも速いから、伝説に伝えられるこの世で最も速く地を駆ける獅子『チーター』を掛けてチーターって呼んでるらしいわよ」


▲▽▲▽▲▽▲▽


その頃フウカはと言うと


「今日は時間が余ったので廊下の窓拭きです」


フウカは空中を滑る魔法で上の方の窓をソフィアは下の方の窓を雑巾で拭いていた。


「これからは毎日余りますよ」


「そうなんですよね、何か固定の仕事をここに入れないと」


「そうですね~、厨房の手伝いにしたらどうでしょうか」


「それしかないですか…料理苦手なんですよ」


「多少上手くなりますよ」


「窓拭きが終わったら洗濯物を取り込みに行きましょう」


「今日は風が強いので飛ばされてないといいですけど」


「そうなんですよね、飛ばないように縛るとなるとそれはそれで手間なんですよね」


「飛んでたら洗い直さないといけないですからね(洗濯機に乾燥機に洗濯バサミとモップと・・・欲しいものが多いな)」


「なんかこう簡単に貼って剥がせる糊とか無いですかね」


「糊は無いですね」


「無いですか…フウカさんなら知ってるんじゃないかと思ったんですが」


「力になれなくてすいません」


「いえいえ、大丈夫です。こちらこそ変なこと聞いてしまってすいませんでした」


「では、さっさと窓を拭いて洗濯物を見に行きましょう」


「そうですね」


二人は作業を続けた

因みに今日はシーツが二枚飛んでいったらしい。


そして黄昏時に至る


『もしもしフウカさん?ソウジですけど今電話大丈夫ですか?』


「大丈夫ですよ」


『色々問題があって閉門までに戻れそうにありません』


「そっちは大丈夫なの?」


『戦力面では充実してますが、移動速度に少々問題がありまして、明日の昼にはアリシアに戻るので心配しないで下さい』


「わかりました、気をつけて帰ってきて下さい」


フウカは通話を切ってスリープモードにしてスマホをポケットに入れる。


「さてと、今日は外食にしようかな」


「どうかしましたか?」


「ケイト達が閉門までに戻れそうにないようなので今日は外食にしてしまおうかと」


「ケイトさんが閉門までに戻ってこないのは珍しいですね」


「そうなんですか?」


「ええ、私の知る限りでは数える程しかありませんね。ケイトさんが今晩は帰ってこないと言うことは今晩暇ですか?」


「空いてはいますけど」


「じゃあ今晩付き合って下さい」


「いいですよ」


「では、さっさと着替えて飲みに行きましょう」



作者:「会話が中年臭い」


レン:「まあ、異世界だしね」


作者:「そこらの帰りがけのサラリーマンみたいな会話だったよ?」


レン:「仕事上がりにやることはどこの世界でも同じなんだよ」


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