2の案で行きましょう
2の案で行きましょう
では、現代恋愛を軸に、ごく淡い幻想的な要素が混じる長編として始めます。幻想は物語を動かす便利な力ではなく、二人の関係を少しだけ揺らし、意味を増やすものにします。
第一話「雨のあとに残る声」
地方都市の図書館で働く二十七歳の浅井直人は、閉館後の返却棚に、貸出記録のない一冊の本を見つける。
古びた短編集で、奥付にも蔵書印にも異常はないが、館内の検索には登録されていなかった。
本の余白には、鉛筆で短い文章が書き込まれている。
「雨の日だけ、知らない人のことを思い出す」
翌日、利用者の女性、水野紗季がその本を探していると申し出る。
紗季は近所の古い写真館で働いており、物静かだが、質問すると言葉を慎重に選ぶ人だった。
直人が本を渡すと、彼女は安堵する一方、余白の文章を見て顔色を変える。
それは自分の字ではない、と紗季は言う。しかしその本は、亡くなった祖母の遺品だった。
窓の外では、朝から降っていた雨がやみ、雲の切れ間から遅い光が差していた。
帰り際、紗季は直人に尋ねる。「昨日、誰かに名前を呼ばれませんでしたか」
この時点では、直人と紗季はまだ互いを特別には思っていません。
ただし直人は昨夜、誰もいない返却口の方から、自分の名前を呼ぶ女の声を聞いています。
次の展開候補
1.声の正体を追う
直人は紗季に昨夜のことを話す。紗季は祖母の遺品の中に、同じ筆跡の書き込みがある本が複数存在すると明かす。二人は本を調べるため、自然に会うようになる。
2.写真館で再会する
直人は声のことを伏せる。数日後、身分証明写真を撮るために偶然紗季の写真館を訪れ、彼女が現像した写真の中に、撮影時にはいなかった人物の影を見つける。
3.本を失う
紗季に返したはずの本が、翌朝ふたたび図書館の返却棚に置かれている。紗季に確認すると、本は確かに自宅にあるという。二冊の同じ本が存在することになり、直人は彼女の家を訪れることになる。




