表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/16

1メインでちょっとだけ2を混ぜる感じでできます?

1メインでちょっとだけ2を混ぜる感じでできます?

はい、それが自然だと思います。


祭りそのものを主役にして、写真館の人たちが少しだけ顔を出す程度にします。紗季の世界が広がり、同時に町全体も生きて見えるはずです。



第十一話「夏祭りの夜」


八月最初の土曜日。


町の商店街には朝から提灯が吊るされ、夕方になる頃には屋台の準備が始まっていた。


図書館は普段より一時間早く閉館する。


「祭りだからね。」


館長はそう言って笑い、入口の案内板を片付けた。


直人も施錠を終え、制服のまま帰宅する。


着替えるか少し迷ったが、結局、普段着に着替えて祭りへ向かった。


毎年行くわけではない。


今年は、何となく歩いてみようと思っただけだった。



写真館は祭りの日でも営業していた。


浴衣姿の家族が記念写真を撮りに来る。


幼い兄妹が落ち着かず、母親が何度も笑いながら並ばせる。


店長は慣れた様子でシャッターを切った。


「十年後に見返したら、今日の騒がしさまで思い出しますよ。」


父親が照れくさそうに笑う。


撮影を終えた家族を見送りながら、店長は紗季へ声を掛けた。


「もう上がっていいよ。」


「まだ少し残ってます。」


「祭りは逃げない。」


少し考えたあと、紗季は仕事を切り上げることにした。


店を出ると、空には花火を待つような夕焼けが広がっていた。



祭りの通りは人で賑わっていた。


焼きそばの匂い。


金魚すくい。


子どもたちの笑い声。


直人は屋台で冷たいラムネを一本買い、人混みをゆっくり歩く。


特に目的はない。


祭りの空気を眺めるだけで十分だった。



その頃、紗季は商店街の端で写真館の常連たちに呼び止められていた。


「水野さん!」


振り向くと、先日、古い写真の修復を依頼した年配の女性だった。


隣にはその娘夫婦と、小学生くらいの孫がいる。


「この前はありがとうね。」


「いえ、こちらこそ。」


「昔の写真がきれいになって、本当に嬉しかったの。」


孫が照れながら聞く。


「お姉さん、写真屋さんなの?」


紗季は少し笑う。


「そう。毎日写真をきれいにしてるの。」


「じゃあ僕も撮ってもらいたい!」


祖母も娘も笑った。


ほんの数分の立ち話だったが、紗季は帰り際に何度も頭を下げられた。


店長が言っていた。


「写真は忘れるために撮る人もいる。」


その言葉とは別に、誰かが大切な時間を取り戻すために写真を残すこともあるのだと、紗季は改めて思う。



花火が始まる。


川沿いには大勢の人が集まり、夜空へ大輪の光が開く。


直人は少し離れた橋の上から見上げていた。


紗季は商店街の外れで立ち止まり、同じ花火を見ていた。


人波の向こうに、一瞬だけ見覚えのある横顔が見えた気がした。


図書館の人だっただろうか。


いや、違ったかもしれない。


花火がもう一つ開く。


その光の中で人影はすぐに紛れてしまった。


二人とも確かめようとはしなかった。


同じ町で、同じ夏を見上げている。


それだけで、その夜は十分だった。



次の展開候補


1.祭りの翌日おすすめ

祭りが終わると町は急に静かになる。図書館と写真館、それぞれに「祭りの余韻」が残るだけで、二人は特にその話をしない。静かな余韻を描く回。


2.写真館の一日

店長や常連客との会話をさらに描きます。紗季の仕事への向き合い方や、写真館という場所が町で果たしている役割を掘り下げる回です。


3.図書館の読書会

直人が読書会の手伝いを担当し、利用者や職員との交流を描きます。紗季は参加しませんが、「町の居場所」としての図書館がより立体的になります。



今回は、「二人が会わないこと」を選びました。


定番なら花火の下で再会する場面ですが、この物語ではあえて避けました。同じ夜空を見ていても、人生は必ずしも交わらない。その距離感があるからこそ、もし今後二人が再び言葉を交わす場面が来れば、その一言に意味が宿ると思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ