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天星の宇宙 銀河の三英傑の一人は別の銀河の高校生  作者: 咲良喜玖
第一章 銀河の三英傑の邂逅

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第8話 全体会議直前 顔合わせ

 本日は、会議。

 参加しなければならない俺は、正真正銘の少佐らしい。

 

 まあそこは、皆から少佐と呼ばれることで覚悟はしていた。

 でもここで、まさかの事実が発覚した。

 それが、一つの戦闘艦の艦長さんだけでなく、アルトゥールさんは一個艦隊を指揮している人だったんだ。

 調べ物の情報が簡易的だったから、俺もそこまで彼を詳しく調べられなかったが。

 どうやら俺は二千の数まで指揮が取れるらしい。

 この戦争で、どこまでの権限が、俺に存在しているか分からないが、俺はいきなり二千もの艦の皆さんの命を預かる役職についてしまったのだ。

 戦争の緊張と、思った以上の役職の重責で、自分の呼吸がままならない。

 戦争が近づいている事も分かり始めているので、益々止まらないんだ。

 息切れを起こしそうだ。

 


 そんな俺は、カタリナさんと一緒に、この戦争の最高指揮官がいる巨大母艦の中の会議室へと向かっている。

 ここには、自分の戦闘艦のアーヴァデルチェだけでやってきた。

 ここの格納庫に収容させてもらって、艦の皆とは、そこで別れて、カタリナさんと二人で会議に参加することになった。

 そう、今は彼女と二人っきりだ。

 ここが幸いで辛いポイントだ。

 美人がそばにいるなんて、前世の自分じゃありえない。彼女は部下なんだと意識して、緊張感を取り除こうとしても、彼女が女神過ぎて勝手に緊張状態になる。


 

 カタリナさんの役職は中尉。

 その階級とほぼ同等の少尉とか大尉の主な仕事は、現場長みたいな人が多いみたいで、通信長、整備長、宙空機隊長などの役職に就くのが普通の出世ルート。


 だから、彼女は自分の部下の中では待遇がいいみたいだ。

 もしかしたら、彼女はエリートなのかもしれないぞ。

 少佐のそば付きという仕事名目は、基本秘書と同じ役割みたいで、俺が移動する所に全部ついていく義務があるらしく、今もピッタリ離れない形でいる。

 それと俺が指示を出す時の補助もするみたいで、中継係のような感じで、テキパキ連絡を出してくれているみたいだ。

 俺が何らかの指示を出さずとも、彼女が艦の細かい部分を回しているようだ。

 

 だから、彼女は出世コースのど真ん中にいるのかもしれない。

 まあ、肩書きが少佐の秘書だもんな。ここから、どんどん上位の階級に行くのかも。

 すげえエリートかもしれない。

 あんなに天然な人なのにさ!?



 俺の三歩後ろを歩く彼女が言う。


 「少佐。そちらじゃありませんよ。こちらの道です」


 色々考えていたら、ついつい本当の自分で答えてしまう。


 「あ。ごめん」


 道を間違えた・・・んじゃない。俺は、そもそも会議室がどこにあるか知りません。この母艦にも見覚えがありませんから、どこに何があるのかも知りません。それと、この母艦、チラッと見る限り、一つの街みたいに見える。どれくらい大きいのだろう。でも機動力がないんじゃないか。戦争の際に被弾しやすいんじゃ?

 俺は色々考えていた。

 

 あと、それにさ。あの~、教えてください。アルトゥールさん。

 俺ってさ。あなたの魂を受け継ぐつもりなんですけど、記憶は受け継げなかったみたいなんですよ。

 もうさ。道くらいはさ。受け継いでいたらよかったのにさ。

 そしたら、いちいち、周りの人に助けてもらわなくても良かったんだわ。

 ああ、面倒だ。後でカタリナさんとかにする言い訳も面倒だ。


 「カタリナ君。私は、どうやら会議室の場所を忘れているようだ。以前に君に知らせた時の・・・・そ。そうだ。そう。例の問題だよ。ほら、頭を強く打ったと言っただろ。まさか、こんな事まで思い出せなくなっているとは・・・信じられん」


 本当に信じられない。こんなしょうもない嘘なんかじゃ、人が騙されるわけがねえ。

 さすがに無理があるよな。

 苦しい言い訳にしか聞こえないわ。

 ほら、カタリナさんも難しい顔になっている。眉間にしわが寄ってさ。

 今のが学校とかの遅刻の言い訳に近いからさ。

 自分で言ってなんだけど、俺だったら絶対に信じないよ。駄目な生徒だってレッテル張られるもん。


 「え。本当ですか。少佐、今も頭が痛かったりしてます。もし痛かったら教えてください。頭痛薬持ってますから」

 

 信じたぁ!

 この人、俺の言う事を百パー信じるよ。おいおい、だ、大丈夫なのか?

 この人、詐欺師とかに騙されてたりしてないかな。

 俺ってここに来て不安ばかりだったけどさ。

 俺、どっちかというと、自分の事よりも彼女の方が心配になってきたよ。

 

 「薬はいらない。ただ所々で記憶がないみたいなんだ。だからカタリナ君。私の後ろじゃなく、隣を歩いてもらえるかな」


 俺が後ろを振り向いて指示を出すと、カタリナさんの眉間のしわが消えて、眉が下がった。目が潤んできた。なぜだ? 酷い言葉じゃないよね。


 「え・・・少佐。もしかしてプロポーズをしてくれたんですか」

 「は?」 


 なんでそうなるの?

 道案内してって意味で言ったんだよ。

 誰がこのタイミングで結婚してくれって言うんだよ。

 ロマンチックの欠片もないでしょ。

 仕事現場に行く途中で、結婚してください!

 って、それは女性が憧れるプロポーズとは全然ちげえでしょ。

 俺は道を教えて欲しいんだってば。


 「少佐、今、これからも一緒に、ずっと隣を歩こうって・・・だから結婚ですか」


 この人、耳腐ってんのか。

 言葉が都合よく展開して、勝手に解釈されてる!?

 カタリナさんは、ヤバい人なのか。美人なのに、地雷女なのか!?


 「いや違うよ。今は隣にいてもらって、どっちの道を進めばいいかの指示をして欲しいんだ。ごめん。言い方を間違えた。道案内をお願いするよ」


 俺は、ハッキリ意思を伝えるために言い直すことにした。


 でもさ。これくらい想像できるよね。

 普通、あの文脈で話が続いてるなら、俺が言いたい事くらいわかってくれるよね。

 この人、スーパー天然なの? 美人で天然ボケをかましてくる感じの人なの?

 掴めないわ。

 この人の性格。カタリナさんは要観察だ。監視対象に入れよう。


 「あ。そういうことですか。すみません。勘違いしました」 

 

 こんな道端で、人を口説いていたら、セクハラでしょ。

 あなたが部下だからパワハラにもなりそうだ。

 ほら、昨今の上司の人たちって、そういうことを気にしてるんだって、俺ニュースとかで聞いたことあるよ。

 あ、それと、気まぐれ探偵の当主の青菜さんも、管理職だから、部下と話す時は気をつけてるって言ってたのを思い出したよ。

 大人って大変だわ。

 あの時は、自分には関係ない話だなって思ってたけど、こうなると難しい問題だって思うね。

 うちの当主。お仕事頑張ってたんだな。

 良い人なのに、苦労してたんだな。

 

 「どの世界も。大人は大変なんだな」

 

 ぼそっと独り言が出てしまった。


 「少佐。何かおっしゃいました?」

 「いや。なんでもない」

 「そうですか。でも、具合が悪くなったら、遠慮なくいってくださいね。私、薬持っていますから」

 「え?」


 隣を歩き始めてくれたカタリナさんが、小さなセカンドバッグの中身を見せてきた。

 頭痛薬。解熱剤。痛み止め。胃薬。解熱剤。絆創膏。消毒液。体温計。などなど。

 ありとあらゆる症状に対応しようと、準備をしていた。


 「く。薬屋みたいだね」

 「はい。よく言われます」

 

 心配性の人なのかな。それとも世話焼きの人か。

 この薬の量だと、自分の分だけじゃなくて、誰かの分の量も込みだよ。 


 「まあそこはいいでしょう。会議室までお願いするよ」

 「はい。こちらです。少佐」


 とびきりの笑顔で、カタリナさんは道案内をしてくれた。



 ◇


 会議室が見える所に来ると、さっきまで明るかったカタリナさんの表情が急に硬くなった。ここに来て一気に緊張したようだ。


 「カタリナ君? 大丈夫かい」

 「はい。大丈夫です。気合いを入れてます」

 「そうか」


 俺も彼女と一緒に気合いを入れよう。

 アルトゥールさんの日誌の感じだと、これから行う会議の中で俺の階級は下のクラスだと思う。要は、俺はここから下っ端だと思うんだ。

 今までの艦長の立場だと、俺が一番上の上司だったから、多少の無礼は許されるのだろうけど、今回は失礼のないように、気をつけないといけない。

 さすがに、俺が悪態をつくことはないけど、俺の行動のどれが、その人達にとっての失礼に当たるかが、わからないんだ。

 俺、社会人になったこともないし・・・。

 うん。言葉遣いとか気をつけていこう。

  


 俺とカタリナさん。

 気持ちだけじゃなく、顔にも気合いが入った二人で会議室に入る。



 ◇


 扉を開ける直前で。 

 

 「少佐。生体チェックをしてませんよ」

 「ん? 生体チェック?」

 「はい。こちらに指を」


 扉の横の壁に、小さなモニターがあった。


 「ああ。そうだったね」


 と誤魔化した俺は、このシステムに感心した。これは、偽物の入室を許さないためのものだよな。スパイとかを防ぐんだろうな。

 

 モニターに指を置くと、下からスキャンの光が上へと移動。俺の手の全てをチェックしたようだ。指紋や血管の位置とかもチェックしてるかもしれない。モニターの上部に波線があるから、脈も測ってるのかも。健康チェックかな?

 

 青いランプがつく。


 【プシュ】


 と同時に扉が開いた。


 「すご・・・」


 カタリナさんに聞こえないように呟いた。

 扉を開けるだけでもテクノロジーを使うのかと感心したが、部屋に入ってみると見慣れた光景だ。


 入口は、部屋の後ろ。

 俺の視線は部屋の前を見ている。


 「ここ、まるで教室だ・・・ほとんど同じだ」


 学校の教室と形状が一緒。俺が入った扉は、教室の後ろ側だった。それで俺が今見てるのは先生が現れる教卓の位置だ。

 あそこには豪華な椅子と机があるので、おそらく一番偉い人が座る席だろう。あそこが上座だ。今は誰も座っていない。

 

 次に自分の席を探す。廊下側と窓側に沿って並べてある長い机がある。会議用の長い机は、学校の会議室とほぼ同じだ。

 そして、その上には、ネームプレートが置いてあるので、それらを確認しようと、教室の真ん中まで歩いたら、部屋の右側の席で待機している人が叫んだ。


 「おい。アル!」

 「え」


 ヒャッハーモヒカンがレインボー柄で染まっている。

 大きめの軍服でも、それがピッツンパッツン状態にある大柄筋肉男性が、俺を呼んできた。

 教室の中でその人だけが異質だ。

 彼だけが世紀末覇者のヒャッハーさんたちの姿をしているのだ。


 「遅いじゃねえか。遅刻なんて珍しいな」

 「まだ十分前じゃ・・・」


 社会人になると、時間ピッタリは危険。五分前でも黄色信号。でも三十分前などの大幅な行動も禁止だと、気まぐれ探偵の当主は言っていた。

 じゃあ、何分前に行動すればいいんですか?

 って何気なく聞いてみたら、大体十分前ならば、どっちのタイプの人にも対応できるぞ。

 と丁寧に教えてくれて、続きにはこう言えばいいと教えてくれた。


 十分前で相手方が早いと感じていそうだったら、『今日は道が空いていたみたいで、たまたま早く着ちゃいました』

 十分前で相手方に遅いと思われたら、『ごめんなさい。三十分前に間に合いませんでした。ちゃんと間に合うように出たんですがね』


 と言えば何とかなるんだって、難しいね。大人ってさ。 

 このようにしないと、あんただけ遅いと騒ぐ人や、こっちが遅刻みたいじゃないかと言いがかりをつける人がたまに現れるそうだよ。

 社会には、色々な人間がいるみたいで、そういう細かい所でも気を遣うのが大人なのだそう。

 大人って大変だね。

 ってその時の俺は思った。


 「いや、アルはよ。誰よりも早く行動するのが当たり前だからな。先に三人も待ってる状況が珍しかったんだ。オレにとってな! ガハハハ」


 そうか。アルトゥールさんって、生真面目タイプで、周りの事を気にしないタイプと見た。

 自分が時間に間に合っていれば、他に何を言われようとも気にしない人だ。

 たぶん!


 「おい。アル。ここ座れよ。オレの隣!」


 豪快な男性は、自分の席の隣の席を指差す。

 

 「・・・いえ、結構です。席はこっちのようなので」


 彼が指差す席のネームを見る。

 そこにある名前が自分のものじゃなかった。

 

 「ちぇ。いいじゃんか別に。オレの隣に来たってよ」

 「・・・いえ、こちららしいので」


 何この人。でかい図体で、拗ね始めたぞ。

 なんか、一緒に便所に行こうぜって言ったけど、相手にあっさり断られた人みたいになってる。

 高校生の日常みたいな事をしてきたよ。この人。

 怖い顔つきの人なのに、やってるの男子高校生だよ。


 「私の席はあちらですから」


 と俺は見つけた席に座ろうとした。

 


 ◇


 席を引いて、座ろうとすると。

 左隣の人から話しかけられた。


 「これはこれは、アルトゥール少佐ではありませんか」

 「は、はい。なんでしょう?」


 話し方が嫌味っぽい。なんとなくだが、この人。

 アルトゥールさんが気に入らないみたいだ。

 話す前から、そう最初から顔つきが宜しくない。


 「君。どういうことかね」

 「ど、どういうこととは?」


 出っ歯おっさんが謎かけをしてきた。

 俺が答えないでいると、顔が曇る。曇天の空だ。

 

 「アルマダンの英雄ともなると、私どもには挨拶もしないという事かね!」

 「いえ。そんな事は」

 「私は中佐。あなたは少佐。あなたから挨拶をするのが筋というものでは」

 「す。すみませんでした。申し訳ありません。アルトゥール少佐であります。隣、失礼します」

 

 座ってから挨拶をしようと思ったら、それが大間違いだったみたいだ。

 立ったままで、ここに来てすぐに挨拶すればよかった。嫌味おっさんに付け入る口実を与えてしまったよ。


 「ええ、ええ。そうですか。早く出世した方は傲慢で困りますな・・・・・・」


 すげえ嫌味だ。俺とは二回りくらい歳が離れているのに、このおっさん。

 寛大な心をお持ちにならなかったらしい。

 狭いお心である。


 「そうですよね。ケインズ中佐。私にも挨拶がないんです。これはこれは、銀河連邦にもてはやされた。あの! 英雄ともなるとね。あっという間に傲慢になるようで。まったく。失礼な奴であるとは。もてはやしぎた結果じゃないのか。これは連邦政府の責任問題では」


 右隣のハゲのおっさんが、出っ歯おっさんケインズと同様に責めたててきた。

 これは、ハゲと出っ歯のダブルパンチ。サンドイッチの具である俺は、固めのパンに苦しむってわけだ。正直、おっさんの小言はしんどい。

 

 「も、申し訳ありません」

 「ええ。ええ。失礼極まりない小僧だ。まったく・・・・・・」


 あのね。俺はね。高校生なんだよ。

 アルトゥールさんみたいなね。

 立派な軍人じゃないの。社会人でもないの。

 出来るだけ頑張るけど、もうちょっと広い心で見てよ。

 本当にさ。器の小さなおっさんたちだな。

 

 だったらさ。

 向かいにいる筋肉もりもり世紀末おっさんが良いよ。

 席違うのに俺の隣に来いって言ってた人の方が、良い人だわ。

 馬鹿っぽいけど、明るく素敵な人っぽい。

 

 「「ガミガミガミガミ」」

 「・・・・・・」


 この後、暫し愚痴を聞かされた俺は無言を貫いた。

 こういう場合は、余計なことを言わない方がいい。

 学校の先生だってね。説教モードの時に話を挟むと余計に説教パワーが上がるからさ。

 こういう時は、真剣に話を聞いているふりをして、聞かないのが一番だ。

 

 俺はコンコンと詰めるように話してくるおっさんらの声に反応はするけど、中身を全く聞かなかった。

 何を言ってんだろう? まあいいや。実りある会話じゃないし。

 

 とこのかんに一つの疑問が浮かんだ。

 そう。こっちのおっさんの名前が分からない事である。

 ハゲおっさんの名前だけ知らん。

 さっきの自分の名前を探している時に見ておけば良かった。

 ああ、どうしよう。

 先に見ておけばよかった。 

 何とかさんって言えないや。いやあ、失敗したよ。

 対人で会話するにも名前は重要だ。


 と、怒られている事に後悔はしないけど、名前の確認を怠ったことに後悔した俺であった。



 ◇


 「あらぁ。お待たせしたみたいねぇ」


 扉が開いた。

 それと同時に甘い声が聞こえてきた。

 そちらの方向を見た俺の目はある意味で釘付けになった。


 「あれ。トリスタンちゃん。早いわね。珍しい」

 

 会議室に似つかわしくない。軍人とも思えない。

 豊満ボディの女性が部屋に入って来た。

 軍服を破壊するかの勢いがある胸は、上から二番目までのボタンまでをも吹き飛ばしている。あのお尻も服の中で窮屈そうにしているくらいに大きいんだ。

 スタイル抜群すぎる美女は、筋肉もりもりおっさんに話しかけていた。

 でも、筋肉おっさんが返事をしないので、困り顔になる。


 「ん? トリスタンちゃん? なんで会議も始まっていないのにそんなにがっかりしてるのぉ」


 ここで俺も気付いた。彼は、俺が隣に行かなかった事がショックだったらしい。


 「……あ? なんだフローシアか。そこにいんなよ。お前、俺の隣だぞ」


 美女はフローシア。筋肉おっさんはトリスタン。

 階級は分からないけど、二人は同期くらいに見える。


 「いつものことじゃない。あなた失礼よ。私が隣に来るのが嫌みたいな言い方だわぁ」

 「べつに、いつものことだからいいだろ。でも、たまには俺たちはセットじゃなくてもいいだろ」 

 「だからそれだと不満があるじゃない。全く正直に言ってくれるわね。あ。この子が例の子ねぇ」


 フローシアさんが俺の顔を見て、近づいてきた。

 机を挟んだ先で、俺を見下ろしてきた。


 甘いのは声だけじゃない。彼女の香りも甘かった。

 爽やかな柑橘系の匂いに近い。


 「この子が、あのアルマダンの英雄ね。イイ男じゃない。私は、フローシア大佐ですよぉ」


 大佐と聞いて、慌てて立つ。

 二階級も上の人だった。


 「は、はい。フローシア大佐。よろしくお願いします。アルトゥール少佐です」


 彼女の目を見て挨拶が出来なかった。

 それと、目以外だと胸を見そうになりそうだから、そっぽ向いたみたいになってしまう。

 失礼だろうけど、仕方ない。免疫がないってことで勘弁を。


 「あらぁ。シャイボーイのようね。可愛い子ねぇ」


 いいえ。シャイじゃありません。

 陰キャ過ぎて女性と会話をして来なかっただけなんです。

 正直に言うと、普通に女性と話したいです。


 『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』


 なんか、聞こえてきた。

 地響きみたいにゴゴゴゴゴって、後ろで鳴っている。

 だからちょっとだけ振り返った。


 「んんんんん」


 カタリナさんがタブレットを両手に抱きしめて、俺とフローシア大佐を睨んでいた。

 おいおいおい。

 俺たち、君の上官だよ。

 なんで睨んでいるのこの子!?


 「席につけ。フローシア。何をしておる。そんなところで」


 いつの間にか、小さなお爺さんが会議室に入って来ていた。一番偉い人らしい。上座の席に座っている。

 フローシア大佐に座れと命令が出来るのならば、あの人は大佐よりも偉い人だ。


 「あら、ロル爺……もう来たのね。いつもながら、タイミング悪いわね」


 彼女はぼそっと言った。


 「可愛い坊やにはあとでお礼をしてあげるわぁ」

 「は、はい」


 どんなお礼なんでしょうか!?

 そのスタイルと声の出し方から言って、エロいお礼をしてくれるのでしょうか!?

 というか、なにかお礼をもらうことを自分がしてないんですけども。



 席に向かうフローシア大佐が、俺の事を見ながら親指と残り四本の指を何回も合わせて、バイバイってやってきた。

 よく見たら、妖艶な感じのこの人もめっちゃ美人だ。

 この世界、美人しかいないのか?

 いや、違うな。俺の心の友の食堂のおばちゃんがいたわ。

 母ちゃんみたいで安心する感じの人がいて、よかったぁ。


 「全員そろったな。会議を始めるぞい」


 色んなことが起きた会議前だったが、ようやく会議は始まったのだ。

 



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