表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天星の宇宙 銀河の三英傑の一人は別の銀河の高校生  作者: 咲良喜玖
第一章 銀河の三英傑の邂逅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/26

第19話 デルタアングル宙域戦 英雄の共鳴

 一番最初に俺たちの艦が、敵の最後列をぶち抜いた。

 

 「少佐。抜けました」


 イネスさんが叫んだ。


 「わかってる!」


 作戦成功の第一声は、安堵の声じゃない。

 全体の気を引き締める。俺の声は、警戒の声だった。


 「ウーゴ。後方の艦の予測を」

 「はい・・・・フローシア大佐の艦隊の後方とトリスタン大佐の艦隊の後方・・・・ほぼ同時に突破する予定です」

 「時間は!」

 「予測は7分です」

 「了解だ。じゃあ、すでに敵の中間は抜け切っているな」

 「はい。今の段階でもそうです」


 よし来た。

 これなら例のもので、狙い撃つぞ。


 「イネス。ララーナに繋げ」

 「はい」


 艦内連絡網が開く。


 「大将。出番か」

 「そうだ。ララーナ。砲撃準備は」

 「いける。今すぐでもいいぞ」

 「よし。六分後。敵の最後列に向かって、特殊閃光弾を放つ。ララーナが照準を」

 「任しとけ」

 「頼んだ」


 彼女の端的な答えが安心感を生む。

 なんだか、何でもやってくれそうな気持ちになるんだよ。

 彼女の受け答えがね。

 

 「皆。ここが最後の正念場だ。俺たちがやるべきことの全てを、やりきるぞ」

 「「「はい!」」」


 仲間の犠牲を乗り越えて、俺たちの作戦は最終段階へ。



 ◇

 

 六分後。


 「特殊弾を放つ。その連絡を両大佐にしてくれ。イネス。目に注意をしてくださいと連絡を。あとそうだ。タイミングを合わせて視界は前方だけにしてくださいとも、連絡をして欲しい」

 「了解です。連絡します」

 

 俺は内部連絡のスイッチを押す。

 

 「ララーナ! 出番だ」

 「おう。準備は出来てるぜ。いつでもいい」

 「わかった。特殊弾。発射だ」

 「ほいよ。大将出すぜ。おいバッカス。やっちまえ」


 ララーナは自分の部下に指示を出した。こっちの通信連絡にもその声が乗っている。


 アーヴァデルチェから放たれた一つのミサイルは、自分たちの艦隊列を超えて、トリスタン・フローシア両軍の艦隊列をすり抜けた。


 全ての味方艦隊を通り抜けた後。

 特殊閃光弾は敵陣の最後列で輝く。

 彼らは、俺たちが放った特殊弾を見てしまう。

 なぜなら、俺たちの命懸けの突破を見ているからである。

 艦の船首を艦隊後方に向けてしまっているから、これを免れることが出来ない。

 そして肉眼で光を見ずとも、この光をモニターでは確認するだろう。

 そうなれば、予測として正しいのは・・・。


 「一瞬だけでもいいんだ。これで目が焼かれてしまえ。そのわずかな時間を使いたいんだよ」

 

 視力を一瞬奪う。閃光弾の威力説明の時にあったのは、完全に奪う時間が一分くらいで、徐々に見えてくる時間が五分だと思う。

 しかし、この僅かな時間が勝敗を左右すると思うんだ。


 「カタリナ、閃光弾の行方は! どうなった」

 「爆発位置は完璧です。後は向こうの艦隊の動きを見ます」

 「頼む」 


 天然ボケ女神のカタリナさんは、情報分析の天才っぽい。

 俺たちにチャンスをくれた二人の艦長に対しても、完璧な受け答えをしていた。

 だから、俺は閃光弾の動きに関するもの全てをカタリナさんに託していた。


 「少佐。敵の動きが鈍っています。特に我々が通り抜けた場所の近くの敵は動きが遅いです。これは、敵艦隊の目を潰せていますね。旋回行動も遅れています」

 「おお。思った通りだ。今のうちだ」


 これで、敵が足並みを揃えて、俺たちを攻撃する事が難しくなったはずだ。

 目を潰せていない艦隊が動くことはない。この前の鶴翼の陣の防御が効くはずだ。向こうが突出して来たら、俺の餌になる事に、敵の優秀な指揮官なら気付くはずだ。


 「ウーゴ。布陣はどうなっている」

 「出来てます。全艦がその軌道に乗ってくれてます」


 敵の陣を抜けきった先の俺たちの艦隊の航路を計算してくれた。

 しかもウーゴ君は、両大佐の分もやってのけたのだ。

 こっちも彼女同様天才だろうな。


 「よし。いくぞ。これで戦いを終わらせる。急ぎ。艦隊を、敵の裏に並べろ」


 ここからが本当の仕上げ作業だ。


 ◇


 俺たちは敵の背後に艦隊を並べることに成功した。

 俺の艦隊が敵中央の裏。トリスタン大佐の艦隊が敵左翼の裏。フローシア大佐の艦隊が、敵右翼の裏である。

 ウーゴ君が急造で出した運行データがあったとしても、それを即座に実行できる両大佐の軍の規律性は、明らかに少将が指揮している本営よりも素晴らしかった。

 やはり、二人もまた優秀な人であった。


 「イネス。両大佐には連絡しているな」

 「はい。我が艦の攻撃指示の時にだけ攻撃してくれとの指示を出してます」

 「ありがとう。それでいい」


 俺の作戦はこれにて完遂だ。

 

 「敵はどうなってる。ウーゴ」

 「あと、数分で敵艦隊の半分がこちらを向きます」


 敵後方が、俺たちを無視できなくなった。これで、警戒度マックスだろう。


 「よし。俺の予想が正しければ、これで終わりだ!」


 ウーゴ君の言葉で確信した。これで終わりだ。


 「いいか。絶対に攻撃するなよ。絶対だ! 我が艦隊で、もしビーム砲を放った奴がいたら、そいつは厳罰に処すと伝えろ」

 「了解です」


 イネスさんが返事をした後。

 カタリナさんが俺の隣にまで歩いてきた。


 「少佐。今がチャンスなのでは……ここから殲滅戦に移った方が?」


 情報分析をすれば、それが正しい。一番の正解だ。

 彼女は正しいことを正直に話す人でもある。


 「そうだね。でも駄目だ。それでは死力を尽くした戦いになって、両軍の犠牲はとんでもない数になる」

 「それのどこが駄目なのでしょう。こちらだって有利な状態なのです」


 結構粘るのね。頑固か?


 「いいかい。カタリナ君。俺の推測でもあるが、あっちの総大将は、俺とほとんど同じ思考をする人だ。だからこそ俺は分かるんだ。ここで引くとね。いいかい。今からを見てほしい。彼は俺たちの左翼から逃げ出していくからさ」

 「え?」

 「俺は連邦軍の左翼。トリスタン大佐の艦隊が少ないから、そっちをがら空きにしたんだ。だから、あそこから逃げ出してくれるよ」

 「なぜ? あちらも半分が振り向いて、戦う姿勢を見せているじゃないですか」

 「大丈夫。あっちも俺の意図をすぐに理解するはずだ。そういう人だと思う。それに・・・」

 「それに?」


 たぶん、敵の大将は、俺と同じゲーマーの思考をしている。

 自分が予想もしない手を相手が打ってきた時には、警戒して慎重になる。

 そして無理をしない。


 だって、今の戦場が、自分たちが完全有利状態から、五分五分の状態へとなったんだ。

 ここで悩みに悩むはずだ。

 そんで、俺がなにも攻撃しない事が、逆に他にも作戦があるんじゃないかと。

 無数の考えが頭にちらついて、何か隠し玉があるんじゃないかと深読みして、強引な戦闘をしないはずだ。


 そうだ。さっきまでの勝利の雰囲気を台無しにしたくもないし、このままいい所で幕を降ろせば、まだ勝ちの状態でいられる。

 ここで軍を引いて、兵力の温存を考えるはずだ。

 無駄な消耗を避けて、次を見据えるはずだ!

 俺だったらそう考えるから、あっちもそう考える可能性が高い。


 俺の作戦の最後の部分は、実は相手を信じるであったのだ。

 矛盾しているけど、敵を信じる。

 これが、最後の賭けである。


 「少佐。敵軍が移動を開始してます。我々の左翼から戦場を離脱するようです。攻撃はしてきません。おそらく攻撃停止の信号弾が放たれています」


 ウーゴ君の報告が終わる。


 「やはり退却を選択したな・・・・よし、こっち側だけは追撃するなよ。両大佐にも連絡をしてくれ。イネス」


 俺の指示を受けたはずのイネスさんが慌てた。

 緊急通信を受けたようだ。


 「しょ、少佐!? 通信が来ました。不明の信号です。だ、誰からでしょうか? ど、どうしますか?」


 来た。

 やっぱりな。

 俺と同じ思考を持つ者だな。

 相手が気になったか。


 「イネス、焦らなくていい。そいつは敵大将だよ」

 「え、は。はい」


 焦り散らかしてる。声がダブついていた。


 「少佐。え、映像通信で、おそらく録画映像です。どうしましょう」

 「そうか。開いてもいい」

 「う、ウイルスとかでは」

 「大丈夫。そんな小さな器じゃない。敵はそこで小細工はしない。メインモニターでいい。出してくれ」


 俺は腕組みをしてイネスさんに通信を開けと指示を出した。

 彼女が許可の操作を出すと、メインモニターに映像が映し出された。


 「アルトゥール・ライリューゲ・ドラガン殿」


 俺の名を呼んだ男は、覇気を纏っていた。

 赤い髪と赤い目が燃え滾る情熱を示していて、アルトゥールさん級の超絶イケメンだった。

 映像に映し出される姿でも威厳を感じる程だ。


 「録画の映像通信で申し訳ない。会って話がしたいと思っているが、今回は時間がないのが、実に残念だ……貴殿のような素晴らしい将と会えずにここを去るなんて、無念でもある」


 演技には見えない演説。

 俺はこの人の性格に面白さを感じた。

 これは、ライバルを求めている雰囲気がある。


 「私は貴殿のその勇気と知謀に感服した。私は、ようやく見つける事が出来た。私の宿敵となってくれる漢をだ。貴殿は、いずれもっと素晴らしい将となるだろう。楽しみにしている」


 あ、やっぱりな。

 赤劉さんと一緒だな。

 この人。負けたくねえ気持ちが前面にあるわ。


 「私の名はエデル・フォン・ポイニクス。この名をぜひ覚えておいてほしい。貴殿と再び戦場で会うために、私は今よりも精進しようと思う。ではまた会おう。アルトゥール殿! これにて失礼する」


 ゲーマーは、強いゲーマーに惹かれる。

 そして、次は絶対に負けたくねえと思うんだよ。

 こればかりは、戦争家にも当てはまるみたいだな。

 俺だって、次は負けたくねえ。

 この戦、ほぼ負けだったから、今度は勝ちたい。

 この男、エデル・フォン・ポイニクスにさ。



 ◇


 デルタアングル宙域戦。

 これが、銀河の戦乱の時代の幕開けとなる戦いであった。

 

 神聖フロリアン帝国が絶対的に優勢だった時代。

 今まで希薄な連携しかしてこなかった銀河連邦が、かろうじて対抗していた時代。

 二つの国の時代が重なると、いずれは帝国が完全に押し切る時代が訪れるはずだった。


 しかし、その劣勢だった銀河連邦に一筋の光の存在が現れる。

 それが、のちに銀河の三英傑の一人となる。


 『青天の竜』


 アルトゥール・ライリューゲ・ドラガンだ。

 

 彼の出現により、銀河は別次元の戦いへとなる。


 だがしかし、彼は彼ではない。

 偽りの彼が、彼を演じてる。

 偽者の英雄が、銀河の三英傑の仲間入りすることになるのだ。


 しかしそうだとしても、彼は本物の彼にも負けない戦果を挙げる事になる。

 坂巻新の第二の人生は、銀河の星々にも負けぬ力強い輝きを、自らの力で放つことになるのだ。





ここで、第一章の山場の一つを迎えました。

一旦ここで話が落ち着きます。


これからが、新の新たな人生のスタートです。


彼が英雄の一人になる。しかし中身は偽りの英雄。偽者です。

でも本当の英雄へと成りあがるのが、この物語の基本部分です。


元のアルトゥールの英雄部分は後に紹介しますが、次から少しの間だけ別の英雄の物語を出します。


こちらの銀河には、三人の英雄が登場するので、その一人を紹介したいと思います。

なので、これからも彼と同じようにそちらの方もよろしくお願いします。


それでは失礼しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ