序章 3話 開戦
旭は近くの女性に襲いかかる緑の魔物を全力の力を込めて殴る。
「グゥッ!グギャ?グギャャアアアアアッ!!」
魔物は殴られ軽く10mは吹き飛び…
その後すぐに真っ赤に燃え、そしてすぐに真っ黒に燃え尽きたのだ…
「えっ!?」
1秒も経ってないだろう。
あっという間に旭は魔物まで接近し攻撃したのだ。
まるで自分は超人にでもなった様な圧倒的な高揚感
「これが身体強化…凄いなこれは…」
事実、旭は身体強化を使えば人並みを大きく越えたまさに、超人になっていたのだ。
その旭の力、紅蓮の権能は圧倒的だった。
近くの魔物達を次々と燃やし尽くした…
他の赤い光を纏う者が放った火の玉は着弾しても燃やし尽くすまではいかない。
旭の炎が異常な火力を持っていた。
そしてそこから人々の反撃が始まる…
光を放つ多くの人達が魔物を圧倒しだしたのだ。
火の玉を放つ者、水の矢を放つ者
風の刃を放つ者、土の塊を放つ者
そして白い光を放ち傷を癒している?人もいる。
また、稲妻を放ちながら雷の剣なのだろうか?
それで狼の魔物を切り裂き焼き尽くす女性もいた。
皆誰に言われる訳でも無く、次々と魔物達を倒していくのだった。
そして……
その場で一番異質な存在…異常だったのはあの少女?
たぶん青年だろうか……?
その青年は身長程はある虹色の刀身の大太刀を振るい次々と魔物を切り捨てていく。
「何て……何て強さだ…あの大太刀…あの強さ…
まるで…鬼神の様だな。」
青年はこの戦場では確実に一番強いと旭は感じる。
自分の強さに少し酔ってしまっていた旭はその青年の桁外れの力の差を無意識に感じたお陰なのか冷静さを取り戻していた。
「これは、負けてられないな!」
旭も負けじと紅蓮の炎を放ち魔物を倒していく。
このまま全ての魔物を倒せると誰もが思う。
しかし
『グォオオオオオオオオオッ!』
残っていた最後の魔物、
赤い1つ目の巨大な化物が吠えた。
一緒に居た魔物達がやられたのが気に入らないのか
凄まじい殺気を纏う咆哮を放つ。
「くっっ!」
目眩がする程の咆哮、しかし最初の時程の恐怖は感じなかった。
それ程までに魔物を倒し皆、興奮状態になっていたのかもしれない。
『グオオッ!』
化物が巨大な大剣を肩に担ぎ戦闘体制を取る。
圧倒的な腕力、圧倒的な体躯、銃弾も効かない。
「だが…今なら…今なら戦える!」
旭は皆を鼓舞する様に叫ぶ
「この未知の力に目覚めた者達!後はこのデカブツを倒すだけだ!
友達や家族、人々を守る為に一緒に戦ってくれ!」
旭は先ほどまで一般人だった人達に協力を頼む。
そこには警察官としてのプライドも何も無い。
ただ目の前の敵を確実に倒す、それだけだ。
すると…
「うおおぉぉ!俺はやるぞ!」
「僕でもやれる!」「私も戦います!」
「暑苦しいわね…全く…」「いつでも行けます!」
多くの人が声を張り上げる。
雷を使っていた女性は嫌な顔をしているが…
他の人達はまるで自分を鼓舞する様に声を上げる。
「よし!」
旭は眼前の化物を見る、そして…
「行くぞ皆!」
「「「「おおおおぉぉぉっ!」」」」
旭は人々の先を駆ける。
「行くぞっ!紅蓮槍!」
紅蓮の様に猛る炎の槍が化物に向かい放たれる。
それを見て化物も巨大な大剣を振るう。
そして…
この渋谷での最後で…
最初の戦いが始まるのだった…