3章 6話 一転
「改変…………《自爆》体力」
瞬間、
護は全身から真っ黒なオーラを放ち、
改変した自爆の能力を使い烈を対象にし発動した。
赤黒い線が烈に一瞬で触れる……
その瞬間、
「えっ…?黒?…なっ!……え……ぐっ……
ぐぁあああああああああああああっ!!!!」
烈が今まで感じた事が無い命を刈り取られる様な激痛が全身を駆け巡り……そしてドームに響き渡る叫び声をあげた。
「ぐふぅっ!……ははっ…どうだ…この野郎…
俺の…はぁ…この攻撃は…Sランクの魔物相手でも…
なかなか…効くんだぜ…痛えだろ!!
まぁ…俺は…結構慣れた…けどなあぁぁっ!!」
護はただでさえもうボロボロの状態だが、改変した自爆の能力を使い反動ダメージを受け片膝を付く。
その激痛に口から血を吐き出し鼻からは血を流す、
だが…護はその圧倒的な精神力で痛みを耐え……
そして立ち上がり護のすぐ近くに接近していた烈に…今も地面をのたうち回り苦しんでいた烈の胸ぐらを掴み無理矢理引き起こし…腹をおもいっきり殴り、回転を加えて蹴り飛ばしたのだ。
まるで先ほどやられた仕返しとばかりに同じように
攻撃を加えた。
烈は先ほどの痛みに耐えている途中に新たな痛みに襲われ腹を押さえながら地面に転がっている。
烈は身体強化を使い接近したが、護の自爆をまともに喰らいそのあまりの激痛に集中力が乱れ身体強化を解いてしまう。そこに護の追撃が加わり烈は今にも気絶しそうな程ダメージを受けていた。
「ぐぼぁぁ!あぐぅ……何が…起きた……
お前が……ごばぁあっ!はぁ…はぁ……お前が……
やったのか…進道、まもるぅうううっ!」
烈も口や鼻から血を流しそして血反吐を吐き、
自分を攻撃したのが護だと確信し激昂している。
「知らねえよ…自分で考えろゲス野郎!
さっさと気絶しとけよ…タフすぎるだろお前」
強い口調で烈を挑発したが護は内心焦っていた。
(まずいな……改変した自爆は強力だけど……
もう俺の命刻は今ので残り10しかない……
自爆を後5発使ったら……俺は死ぬ……
それに今の状態であいつに体力自爆を2回使ったらあいつを殺してしまう…いくら嫌なやつでも…人を殺すなんて俺には出来るわけない…
精神力自爆を使えば勝てるか?いや…耐えられた時は最悪だな…もう俺の命刻も残り少ない、
どうすれば最小限の犠牲であいつを倒せるんだ…
どうする……考えろ俺…どうすれば勝てる……
考えろ……考えろ俺………考えろ…か…………
そう言えば……昔よく言われたな…)
護は烈を倒す方法を必死に考えていた…
その時不意に前に働いていた会社の親方の印象的な口癖を思い出していた。
そして今も護の心に中に残る助言があった…
『護…分からない事があったらお前みたいにすぐに聞くのも今の時代悪い事じゃない、
だがな護、自分で考える事こそ一番大事な事だ。
考え、考え、そして行動する。
失敗する事を恐れるな、
失敗を知らないと人は成長しない、次はどうすれば成功するか、それを考えろ、自分の実力を過信せずきちんと見直し先の先を見越して段取りをしろ。
考える事を止めるなよ護、考えろ、考えろ…
そしてな自分の考えに考えた事がビシッと決まると
最高に気分がいいぞ~頑張れよ護!)
「考えろ……考えろか……どうすれば……
自分の実力を…見直す…か……よし。」
護は小さく1人呟き考え……自身の状態を確認した。
(進道 護)(24歳) (男)
権能(自己犠牲)固有権能 第三階悌
権能(改変)限定固有権能
固有能力(自己犠牲)
命刻(G)10/24 命の残量を可視化出来る
(残量が0になると即死)
(残量は時間経過で回復する事は出来ない)
(残量の消費量に応じて自身もダメージを受ける)
限定固有能力(改変)
(現在ある他の権能の能力を改変する)
(固有能力は改変する事は出来ない)
(改変後の能力は変更不可)
(自身では改変する事は不可)
能力(改変後)
身体強化.自己犠牲G魔力消費5
(1時間身体能力2倍まで上昇)
《限定改変》自爆G-魔力消費0
(命刻)を《1》2)つ消費する事で発動可能
対象の体力または精神力を最大値の
約1/《6》3程削る)
(自爆の能力を連続使用する事は出来る)
(自身よりも高ランクには使用《不》可)
献身G+魔力消費5
(命刻を2つ消費する事で発動可能)
(対象の体力を最大値の1/2程回復出来る)
《限定改変》自壊G魔力消費0
(命刻を《1》2つ消費する事で発動可能)
(対象を先に指定し《10》5分後に発動可能)
(対象の魔力を最大値の1/《4》2程削る)
(同じ対象には1度しか使用する事は出来ない)
(対象が魔力を支払えなかった場合精神力と体力の
両方を1/3程削る)
身体強度 40/20
魔力値 5/10
総合戦闘力評価-(G)
(あっ!何か新しい能力が増えている…
自壊?対象の…………なるほどな……これは使える、
……先の先を見越し、段取り……か……よしっ!)
護は自身の状態を確認した時に何故か新しい能力が目覚めていた事に気付きそして考え……
1人傾き…すぐ様行動したのだ。
そして………何故か一瞬上空の立体映像を見てすぐに
前を見据え膝を叩き自分に活を入れる。
「何だ……はぁ…はぁ…どうしたずっと…考えて…
何だ……もうネタが尽きたか…進道!
それにしても…お前…今の攻撃…お前…もしかして……固有権能持ちだな……?
Gランクの糞な権能者だと思っていたが……自爆技の固有権能者だったとはな…油断した。
だが…もう油断はしねえ、もうお前の自爆技は俺には効かないから…なっ!」
その瞬間先程とはまるで違う速度で護に迫り鋭い蹴りを放ち護を蹴り飛ばす。
護は一瞬で自分の前に迫ってきた烈に反応出来ずに
攻撃をまともに喰らい吹き飛んでしまう。
その攻撃でなのか護は口から大量の血を吹き出す。
護は一瞬黒いオーラを放ったがすぐに烈に攻撃されたからなのかオーラが消え去った。
「はははっ!雑魚が…見えもしねえじゃねえか、
自爆技なんてさせねえよ!
こんなんで……死ぬんじゃねえぞ!」
さらに追い討ちをかけるように蹴られ転がっている途中の護をボールの様に蹴り飛ばし、
護は地面に叩きつけられうつ伏せの状態で倒れ、
その倒れている護を見下ろすように烈は話し出す。
「可哀想だから答えを教えてやるよ進道、
お前の自爆技が俺に効かない理由をな!
それはな、俺の身体強化ランクはBの15倍
その意味がわかるか?
お前の自爆技を喰らっても回復速度が、お前と俺とではまるで違うんだよ!それに…見たら分かる…
お前もう自爆技をまともに使えねえな?
次使ったら死ぬかもな~、そして俺は耐えられる。
まぁお前の勝ち目は元々無いけどな!はははっ!
これで氷雨は俺の物…感謝するぜ進道!!」
烈は自分の強さに驕り、愉悦、そして自分の幸運を怖くも感じていた。
欲しくて欲しくて堪らなかった氷雨が手に入る。
その長年の思いが爆発していた、だがその時…
思いが爆発した人がもう1人……
「ひ……氷雨は…氷雨はお前の物なんかじゃねえ!
人を物みたいに言いやがってこのゲス野郎が!
お前みたいなやつを俺はよく知っているよ…
人を物としてしか見れない、強い者には良い顔をし裏では弱者を食い物にする。
そして力に溺れ人を無慈悲に傷つける…人の心を無くした自己中心的な…魔物みたいなやつが…
俺は……お前らみたいなやつが……
死ぬほど嫌いなんだよ!!!
かかってこいよ……俺はソルジャーだ!
お前みてえな魔物は……俺がぶっ飛ばしてやるよ!」
護は体を無理矢理起こし立ち上がり、そして烈に対し激昂し怒鳴り付けた。
今までの人生でひたすら我慢に我慢をしていた怒りの気持ちがまるで噴火の様に爆発する。
「俺が……この俺が…魔物だとっっ!?
てめえぇぇっ!マジで殺してやるよ!!
もう勝ち負けなんか関係ねえ……
ぶっ殺してやる、生きながら俺の炎で悶え苦しみ……
そして死ねえ!
俺は最強のソルジャーだっ!てめえと違って……
この俺は……最強なんだよ!!!」
その瞬間烈の体は燃え盛る火炎に包まれ…
「死ぬまで躍り続けろ!炎竜演舞!!」
瞬間
炎の竜が現れ護を飲み込もうと迫ってくる。
「また…竜かよ!どいつもこいつも…くそっ…
有牙さんの竜より…確実に強い!
こんなの喰らったら即死だろ!くっ……くそ!」
護は全力で身体強化を使い炎の竜から逃げだしたが
炎の竜は地面を燃やしながら這い護を追尾する。
「追いかけて来るのかよ!
ふざけんな……死んでたまるかよ!」
護は右に左に縦横無尽に駆け、ギリギリのところでなんとか炎の竜から逃げ回る。
「ほらっ!もっと踊れ進道!
追い付かれたら丸焦げで死んじまうぞ~!
あはははははっ!ったくおもしれえな!
自爆技もどうせ使えねえし、使っても俺だけは回復しちまうしな~、ほら…惨めに逃げ回れよ!」
烈は必死に逃げ回る護を見て大いに笑う、その笑みはまるで悪魔の様に護は感じていた…
そして時間が過ぎ護は段々と目が慣れていき、上手く炎の竜の突進を躱せるようになってくる…
だがそこで突如護は嫌な予感がし烈を見る。
……烈はいつの間にか姿を消していたのだ…
「そう言う事かっ!どこまでもゲスなやつだな!」
護は上手く炎の竜から逃げていたのでは無く…
上手く…誘導されていたのだ、炎の竜は護の退路を断っており護は一瞬で炎の壁に囲まれてしまう。
「今さら気づいたかくそ雑魚、俺の事を舐めやがったお前を…この俺が楽に殺す訳ねえだろうが!」
護の正面には烈が立っており烈は強力な技を放とうと準備していたのだ。
烈が右手を掲げた瞬間、頭上に直径5mはある巨大な炎の玉が現れた。
「この技は俺の最強の技、B+能力…炎王…
この地獄の炎を喰らったら骨まで残らねえよ、
どうだ進道護…これが格の違いだ。
お前と俺との圧倒的な力の差だ!」
烈は完全に逃げられない護を見て悠々と自分の最強の技の説明をしていた。
護に最後の絶望を与えてやろうと息巻いている。
だが…護は烈を全く見ておらず…どこか他の場所を凝視していたのだ。
「俺の話を聞いていないだと?
どこまでもふざけた野郎だなお前は…まぁいい…
それももう終わりだ…
この炎王でお前の人生はしゅ…」
刹那
護は烈に向けて全力で駆け出していた、
その時体からどす黒い真っ黒なオーラを放ち出していて、そして烈との距離が縮まる。
「くそっ、自爆技かっ!だが…もう遅い!
これで終わりだ!死………えっ…」
烈が巨大な炎を放とうとした、
その瞬間
「お前が傲慢なやつで良かったよ…喰らえ…」
「……発動……………《自壊》」
辺り一面を黒いオーラが呑み込んだ…
藤堂烈は護を自身の最強の技、B+の巨大な火球…
炎王で焼き尽くしてやろうと考えていた…
だが突如…周囲が真っ黒に染め上げられる。
何が起きたのか?
烈は周囲を見て、急に嫌な予感がした…
だがその予感もすぐに烈は忘れ炎王を放とうと動き出すが…更に嫌な予感が迫って来る。
そして………嫌な予感は……もうそこまで来ていた…
突然烈が予想だにしていなかった事態が起きる。
「えっ!はぁ!?何だ?何で炎が消えて…
炎王も消えた?いったい何が起きたんだ!?」
烈が使用していた炎竜が消え、そして自身の必殺技の巨大な火の玉、炎王も一瞬で消え烈は混乱した。
ドサッ!
すると突然何かが倒れる音がした。
その方向を見ると護がうつ伏せで倒れていて、護はまるで血の海に浸かってるかの如く口や鼻から血を流して倒れていて、そして黒い世界も元に戻った…
「何だあいつ………いきなり倒れて…
それよりも…この気持ち悪さは……何だ?
もやもやする様な…っ!……鼻が………はっ?」
烈はいきなり倒れた護に少し驚いたが…
それどころでは無かった、自身の中から無理矢理何かを取られる様な、抜けて行く感覚…
そして鼻から何か垂れたような気がして鼻の下を指で触ってみた…
「血だ…何でだ?どこかぶつけたのか?
それとも…頭に血が上って?えっ?えっ!?
まさかあいつ…また能力を?鼻血が…出ただけ?
もしかして…失敗したのか!?
そう言う事かっ!くっはははっ!あいつ能力を使う途中に力尽きたな!これで俺の勝ちだ!
氷雨っ!!お前のお気に入りは死んだぞ!
残念だったな、お前がこんな雑魚を連れて…」
「それは違うわね…あなたの負けよ藤堂」
氷雨は話を遮り何故か烈の負けを宣言した。
「はぁ?…元々お気に入りじゃ無かったってか?
あぁ…そうか相手が死んだら負けになっちゃうんだったな~そう言うこ…」
「違うって言ってるでしょ
だから………あなたは護に負けたのよ。
それに………私を……軽々しく名前で呼ぶな……
あなた…今すぐ死にたいの?」
氷雨から心まで凍り付く様な殺気が飛ぶ、烈はすぐに下を向き目線を氷雨から外した。
本物の強者からの殺意に烈は耐えられず二度と軽々しく名前で呼ぶのは止めようと誓う。
だが氷雨は自分が護に負けたと言っている。
(どう見たって俺の勝ちだろ……)
烈は意味が分からなかった……この時は…
そしてそれは遂に…烈の肩に手をかけた…
「えっ…な…何だこれ…何だこの痛み…これは…
さっきの進道の能力の………違う!これは…この波は
さっきの比になら………」
「ぐっ…ぐぁぁぁあああああああああああっ!!!」
その痛みは先程の痛みとは比にならない程で烈はあまりの激痛に転がり回り絶叫した。
その痛みは絶え間なく襲い続け気が狂いそうになる程悶え苦しみ血反吐を吐く。
「あ………あがっ………ぐぅ………
だん…だよ……だぁんだんだ…ごの…いだみは……
ごばぁぁっ!……じらない……ごんなの……
やめ……でぐれ……が……ぐがぁあああああああっ!」
そして再度痛みが走る
それは心臓を二つに裂かれるかの様な…今までに魔物相手に一度も喰らった事の無い肉体的な痛みと精神的な痛みを混ぜ合わした様な想像も出来ない…
激痛と言うには生ぬるい程の痛みだった。
そしてどのくらい経ったのだろうか…
烈は永遠にも感じる程に苦しみ悶える。
その時には…烈は完全に…痛みで気が狂っていた…
そして不意に苦しんでいた烈を見下ろす様な人影が見えたのだ……それは護だった。
「ようっ…気分はどうだよ…
まぁ…良さそうには見えねえけどな」
護は血だらけで今にも死にそうな程の状況だったが烈に対して軽い口調で話をした
「じ…!じんどうっ!くっ……ぐるなーー!!」
烈は護を見るなり地面を這いずりながら遠ざかる。
その醜い姿は少し前までは誰も想像すら出来なかっただろう、その表情は恐怖に顔を歪ませている。
そして護は烈の肩を掴み自分の方に顔を向けさせる
「どこ行くんだよ…藤堂…
まだお前は気絶してないんだ、
この戦いはどちらかが気絶するまでだろ?
もう一回……我慢比べしようぜ……
最強のソルジャー……藤堂さん…よおっ!!」
護は烈を殴ろうとし、拳を振りかぶった…瞬間…
「い……いやだ……やべで……もう…やべでぐれ……
もう…ごうざんするがら…やべてぐだざい……」
烈は24にもなり人前で…号泣してしまう…
そして漏らしていた…あまりの恐怖で失禁したのだ。
その瞬間……烈の放っていた身体強化の炎の様な光は
完全に消えてしまった…
あまりの痛みに心が折れ戦う事を諦めたのだろう。
そして護に対して完全に降参していた……だが…
「やめろ?…ふざけんなよ…やめるわけねえだろ!
お前は人を…氷雨を自分の物の様に言うやつだ…
お前みたいなゲスな野郎は、徹底的に叩かないと…
どうせまた同じ事を繰り返すんだよ!
だから………
俺がお前を…分からせてやるよっ!!」
護は身体強化を使い、そして思いっきり振りかぶり渾身の力を込めて烈を殴り飛ばした。
「あがぁっ!……あぁ………………」
身体強化をしていない烈は護に殴り飛ばされ…
完全に意識を失い気絶した……
散々Gランクとバカにしていた烈だったが…
護の異常さに…そしてなにより…
自身の傲慢さと心の弱さにより…護に敗北した。
「ははっ…ざまぁみろ……最初から…俺をすぐに倒せばこんな事にはならなかったのに…
お前がどこまでも傲慢で痛みを知らない心の弱いやつで本当に良かったわ…
まぁ…どちらにしてもお前みたいなゲス野郎……
氷雨にぶっ飛ばされてたろうな…」
その場にいた全ての人の時が止まった。
見ていた人達は何が起こったのか分からなかったが
その最後に立っていた人物を見て…理解する。
そしてその光景を見ていた氷雨は話しだす
「そこまで……この勝負………進道護の勝ちとします。
そして勝利した進道護を……
明鏡止水の新たなメンバーに認めます!
皆、異論はありませんね?」
氷雨は勝利を護に伝え護を迎え入れた。
その戦いを上から見ていた多くのメンバー達や試験が気になり見に来た明鏡止水のスタッフ達。
さらには護の試験の噂を聞きつけ見に来た一般人やソルジャー達が観客のようにドームに駆けつけ…
いつの間にか何万人も集まっていたのだ。
「なっ……何だ……この人の多さ……何だ?何かこれから始まるのか?」
護は戦いに集中していたせいで上の段にいる人達には全く気づかなかったのだ。
そして皆が護に歓声を上げ拍手で讃えていて、その大喝采はドームの外にまで聞こえる程だった。
「す…すげえ……すげえよ!Gランクが勝った!」
「あの烈にGランクが勝つなんて…」
「スカッとしたぜ!ありがとう進道!」
「これが進道護の力…何て恐ろしく歪な力だ…」
「あのクズ野郎を倒してくれてありがとう」
「氷雨ちゃんのファンとして感謝するぞ護!」
「烈のビビり散らかしてる顔…最高だったぜ!」
「護君ホントにGランク?凄いカッコ良かったよ!」
「明鏡止水入団おめでとー、よくわからなかったけど凄かったよ!私これから護君を応援します!」
大喝采はまるで止まる事が無い、そして空中の立体映像で流れるGLIVEのコメント欄はまるで読めるスピードでは無い速度で流れていた。
更に凄いのはその視聴者数だ、
なんと…3000万人もの人が視聴していたのだ。
その視聴者数は明鏡止水の登録者数1000万人を軽く越える程の莫大な人が観ている。
最初に配信を始めた時も80万人というとんでもなく多い人達が視聴していたのだが…現在はその何十倍もの人数、3000万人という桁外れの人達が護と烈の戦いを視聴していたのだ。
コメント欄には海外の人と思われる人も多くいた。
GLIVEには全ての言語を変換する機能が備わっており、コメントは配信者の言語に変換される、
そして配信している人の言葉は全て自動で視聴者の言語に変換させる事が出来るのだ。
いわゆる超高度な言語変換ツールの性能もある。
護は周囲の大喝采に圧倒され…やっと気づいた…
「これ……俺の事を…俺が明鏡止水に入れたから喜んでくれてるのか、凄いな明鏡止水の影響力は……
うおっ!GLIVEの視聴者数…3200万人かよ!
凄いな…これが日本屈指の大クラン…明鏡止水か…」
護はその異常な盛り上がりに思わず呟いたが…
完全に護は勘違いをしている…
最初に烈に対し改変の力を使った瞬間からその異常な光景がZやSNSなどに上げられ…
瞬く間に大バズりし拡散され、海外にも話題が広まり爆発的に視聴者が増えた。
そして護が…Gランクの護がB+の烈を倒す、
最弱がB+の強者を倒す、その完全なる逆転劇…
ジャイアントキリング、大番狂わせ、大金星…
GLIVEを観ていた人達は大いに盛り上がっていた。
【マジかよ…あいつやりやがったwww】
【あいつの権能って雑魚じゃ無かったのか…】
【GがB+を倒すとか…進道…面白えやつだなww】
【あのクズを懲らしめてくれてありがとう!】
【散々こけにしたやつに負けるとか……だっさ…
ねえ今どんな気持ちなの烈君www】
【あの男の権能は何なんだ?】英語】
【噂では知ってたがGランク初めて見たよ】英語】
【ランクの強さは世界共通では無いのか?
もしかして…あの日本人が特別なだけか?】英語】
そのコメントは止まる事を知らなかった。
「ははっ…良かった…勝てて………良かっ……あれ?」
緊張の糸が解けた護はいきなり仰向けに倒れる、
しかし…
その背中を優しく受け止められ寝かされた。
「いきなり倒れないでよ護、
私が来なかったらあなた頭を打って死んでるわよ!
まったく…心配させないでよね…バカ…」
護は見上げる、そこには頬を少し膨らませ怒っている白銀の髪の少女…氷雨がいた。
氷雨は護が倒れそうになった瞬間に全力の身体強化を使い護を背後から受け止めていたのだ。
「あぁ……だな~」
護は大歓声を聞きながら氷雨と話す。
「俺さ、氷雨が言ったように…俺誰よりも……
いや…違うな…俺は…この変わっちまった世界で…
どんな理不尽をも跳ね返せる様に…大切な人達を守れるように……俺…これからも頑張る…よ……氷雨………」
「そ……そうね!頑張りなさい護、
そうよ護、ずっと聞きたかったのよ、
あなたのあの能力はいったい何な…………」
氷雨は護が使ったあの謎の能力について聞こうとし
たが…護は……気絶するように眠っていた…
「あなたいつも私の話を最後まで聞かないわね、
はぁ、まぁいいわ…今はゆっくり休みなさい…
………あなたは誰よりも強くなれるわ…
力が全てのこの世界で…誰よりも…それにね…
………あなたには私がついている…のよ……
今はゆっくり休みなさい護…私の………………」
そして護はまた闇の中に落ちていく、
だが前とは違い…何故か心地よい気がしていた………
これで3章は終わりです。
3章最後の話だったので長めに書いたんですけど、
1話10000文字はなかなか難しいですね。
呼んでくれてる人がいるかはわかんないですけど、
長すぎるのもダメなんでしょうかね?
どうなんですかね??




