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3章 3話 来客

「えっ!?」

護は氷雨の言ってる意味が分からなかった…

「あっあの…ど…どどどう言う…事?」

「だから、水狼牙クランは無くなったって、解散するに決まってるじゃない。あの人格の変わりよう、護や私に対する暴言や攻撃なんかをGLIVEで配信しちゃったんだから…

それも1000万人以上の人達にLIVEで観られたんだから…今なんて水狼牙のチャンネルは無くなったけど、ZとかSNSに動画流れてとんでもない大炎上してるのよ」


氷雨はとんでもない爆弾情報を護に投下した。

「それにあの…有馬のクランメンバーに対する暴力や恐喝とかありとあらゆる悪事がバレたらしいわ、

警察も動いているみたいよ、あの馬も終わりね…

そ…そう言う事だから…あ、あの…」

氷雨は護に説明した後、うつむき何かを言いたそうにもじもじと恥ずかしそうにしていた。


護の頭の中では有牙が捕まりそうやらの話は正直どうでも良かった…

いつか捕まるのは誰の目でも明らかだったからだ。

それよりもクランが無くなったのが1番の衝撃だった

「まっ…まずい…クランが無くなったのが1番まずい

今月の給料もまだ未払いだし…

何よりこれから魔物の討伐に参加出来ない…

俺みたいな弱いソロを雇う所なんか無いし。

ど…どうしよう…はあぁ~とりあえず帰ろう…」

護は独り言の様にロビーの自動ドア相手に話す…

そして諦めそのまま帰っていく…


「しょ…しょうがないわね…

と…特別にあなたをうちのクラン明鏡止水で雇ってあげても…良いわよ!か……感謝しなさいよね、

あっ…あれ?ま……護?」

俯きながら顔を少し赤くし、ずっと伝えたかった事を護に話した氷雨は顔を上げる、だがもうそこには護は居なかった…


「どこ行ったの?もしかして…わ…私が話をしてるのに聞かないで帰ったの!?

し…進道……護……あなた……絶対許さないわよ!

絶対………許さないんだから」

氷雨は小さな子供の様に癇癪を起こし護に怒ってはいるがその表情には怒りの感情だけでは無い、

違う感情もそこにはあった。

そして氷雨も出口に向け歩きだした…


✳✳✳


護が退院して2日後…

東京都豊島区にある駅からもそんなに遠くない、

ワンルームの風呂、トイレ付きの小さなアパート。

築30年の高畑荘、ここが現在護が住んでいる家だ

特に物は置いて無くテレビやソファーなども無い。

魔物討伐に必要な物、あとは生活に必要な冷蔵庫くらいだ、部屋は物が無く綺麗に見えてしまう。


そこで護は1人床に座りながらスマホ観ていた。

そのニュースLIVEに映るコメンテーター達の話題は有牙修二のクラン水狼牙の話をしていた。

護はスマホを見ながら独り言を言う…

「う~んやっぱり塩パンは最高だな~!

あぁ~やっぱり捕まったのか有牙さん…まあそりゃ捕まるよな、裏でもどんだけ悪い事してんだよあの人

はぁ~これからどうするかな…

クランの仕事も無くなっちゃったし、

俺みたいなソロじゃ討伐に参加させて貰えないし、

魔物を倒す前に仕事してお金稼がないと……」

護は昨日の夜に大量に買った塩パンを食べながら、

これからの事を考え朝から憂鬱になっていた。


そして時刻は午前9時

突然家のチャイムが鳴った、

「おっ?誰だこんな時間に?はーい今開けます」

護は急いで立ち上がりドアを開ける。


そこには赤い炎の様な髪で黒いスーツ

黒いサングラスを付けた異様な雰囲気を放つ筋肉質な20代後半だろうか?1人の大男がいた。

「あ…あの…ど…どなた…ですか?」

護はその大柄の男性のオーラに圧倒されてしまい言葉がつまってしまった…

「いきなりすみません…

私は警視庁第一魔物対策課、隊長…

(不知火 旭)しらぬい あさひと申します。

進道 護さんで間違いありませんか?」

化物みたいな大男は見た目によらず優しい声で丁寧に護に確認を取る。

「そ、そうです…

あっ!もしかして池袋の取り調べですよね?」

護は旭の優しい声に安心し話し出した。

「取り調べ……いえ私はあの魔物と戦った進道さんに直接お話を聞きに来ただけです。

深い意味は何もありません、少し時間を頂いても宜しいですか?」

護は旭の真剣な眼差しを見て旭を誠実で信用に足りる人だと確信していた。

「わかりました、自分に分かる事があるなら…

あっ…特に何も無いんで…お茶くらいしか出せなくて申し訳ないんですけど…

どうぞあがってください」

護はこの家に誰か来るなんて初めての事だったので何も準備しておらず焦って旭に頭を下げた。

「いえお構い無く、なるべく手短に済ませます。

それではお言葉に甘えて、失礼致します。」


✳✳✳


護は旭を家に上げあの時の出来事を旭に説明した。


「なるほど……

進道さんと水神さんをなぜ殺さないで帰ったのか…

話を聞き、私もその2人が強くなった時に刈り取る様に…また現れる説は正しいと思います。

あの魔物は進化か隠していたのかは定かではありませんが…あの強さを持ちながら誰1人として殺さないで帰る…それは単純に強い者と死闘したかっただけなのかもしれませんね…」

旭は護の話を聞き納得したかの様に矢継ぎ早に自分の考えを話していた。

「あっすみません、進道さん、少し考えをまとめていたので…私はすぐに本庁に戻りイレギュラーの対策を上に掛け合い対策を取ります。

今日は貴重な意見をありがとうございました。

では私はこれで…また会いましょう進道さん」

そして旭は護が挨拶をする前に凄い勢いですぐに帰って行ってしまった...


「あの人…1人で納得していきなり帰っちゃったよ…

何かあの人猪突猛進みたいな人だな~

まぁ、悪い人じゃないけどさ…」

護は嵐みたいな旭の事を思い、1人呟く。

「でも…あの魔物…強いやつと戦いたいなら俺じゃなくてもいっぱい他にいるだろ…

あいつやっぱり変わった魔物だったな~」

あの鬼の様な魔物を思いだし護は寒気がした。

そして1人悪態をついていた…



そのすぐ後、ピンポン!

またチャイムが鳴る

「また誰か来たのかよ!引っ越してから3年になるけどこんな人来た事無いぞ…

もしかして不知火さんかな?何か聞き忘れたか?

今出ます………あっすみま……せ…」


護は言葉がつまってしまった…

そこに居たのは…

このボロアパートに120%似合わない、

白銀の髪をなびかせ、白いワンピースを着て優雅に佇み微笑みながら少し殺気を放っていた…

水神氷雨が玄関の扉を開けたらそこに居たのだ。


「なっ!!水神!?何で…お前がここに!?」

護は今まで生きてきてここまで驚いた事は無いんじゃないかと思う程に驚いてしまった。

「ふふふっ……やっと見つけたわよ護!

あなたこの前私が大事な話をしていたのに…

何も聞かないですぐ帰ったわね!」

氷雨は微笑みをすぐやめ能面の様な不気味な怒りの表情をし小言を言い出した。


「いや…あんまりあの時の事覚えてねえんだよ…

クランが無くなったって聞いて頭真っ白になっちゃったんだからしょうがないだろ……

まぁ…色々して貰ったからな…悪かったよ水神」

護は素直に話を聞かなかった事を謝る。

「まっ…まぁ今回は許してあげるわ

それと…水神水神って…氷雨って呼びなさいよ!

この前言ったでしょ!」

氷雨は頬を赤く染めながら護に対して怒っていた

「わっ…わかったよ、ひ…ひさ…………水神…」

護も実際は恥ずかしかっただけだった。

(こんな美少女を名前で呼べるわけないだろ!)

護は頭の中でも悶絶していた……


「なっ!この護の…根性無し、へたれね……

あなただからモテないのよ」

氷雨は護の恥ずかしがって名前を言えない姿を見て護に徹底的に毒づいていた。

「しょっ!しょうがないだろ!

お前みたいな…こんな…」

その時予想もしていない人に突然話を遮られた


「どうしたの護ちゃん?怒っていた声がしたんだけどね…あれま…その綺麗な子は……

護ちゃんの彼女さんかい?は~~こんな綺麗なお嬢ちゃん、あたしは見た事無いね~」

そこには1人のお婆さんがいた。

「「ちっ違います!!」」

2人の声は完全にシンクロしていた、

「全く…もう…護、このお婆様は?」

氷雨は顔を真っ赤にしながら話を反らす為にこのお婆さんの事を護に聞いた。


「あぁこの人はこのアパートの大家さんの

(高畑富子) たかはた とみこさん。

富子さんは俺が借りる家無くて困ってた時に快く部屋を貸してくれた恩人みたいな人だよ。

時々ご飯作ったのお裾分けしてくれるし、控えめに言って富子さんは……俺の救世主だ」

護は腰に手を当て自分の事の様に話す。


「恩人だなんて大袈裟だね~護ちゃんは…

あたしは世間様が護ちゃんの事を悪く言うのが許せなかっただけ、さてとあたしは出かけますかね…

今日は町内会の集まりがあるんだよ、嫌だね~

あぁ……護ちゃん…

彼女さんと仲良くしなきゃダメだよ~またね~」

「「違いますから!」」

またもシンクロしていた…

そして富子お婆さんは話を聞かずに歩いて行った。


「もう…何よあのお婆様…」

「ところで…お前…文句だけ言いに来る為にうちを調べてここまで来たのか?」

護は氷雨に気になっていた事を伝えた。

「ちっ違うわよ、この前伝えようとした大事な話があるから調べて来ただけよ!」

氷雨はまだ頬を赤く染めて怒りながら話す。

「そ…そうなのか……まぁこんなところで喋ってたら近所迷惑だから、とりあえず家の中で話を聞くよ。

まぁ…お嬢様には狭くて汚いかもしれないけどな」

護は氷雨を特に何も考えず家の中に招いた。


「なっ!…………おっ…お邪魔…します」

今の氷雨は先程の怒りを納め、

借りてきた猫の様に大人しくなっていた…


✳✳✳


「案外…あなた綺麗にしてるのね、もっと部屋が汚いイメージだったのに」

氷雨は家に入るなり悪態をついていた…

恥ずかしがっていた少し前とは全然違っていた。

「うるさいわ、それに…物がないだけだ……

とりあえずそこ座れよ…ったく」

護は悪態をつく氷雨を軽くいなし先に床に座る。


「敷物くらい用意しなさいよね、まったく…

今度私が持ってきてあげるわ。

私、男の人の家に来たの初めてなのよね♪

あっベットの下に何か隠すのよね?男の人って、

でもここベット無いわね…どこに隠してるの?

氷雨は興味津々で何か面白い物が無いかと護の家の中を漁っている。

棚にある本の裏を見たり、部屋の角にたたんである布団の下を覗いたり……その体勢はかなり際どく氷雨のワンピースは少し捲れ上がっており……

護の位置からは色々見えそうで…護は少しだけ氷雨を見て……急いで氷雨から目を背け一言……

「いいから座れよ…」


護はマイペースの氷雨にかなり疲れており、氷雨は氷雨で初めての男の家を楽しんでいた。

「でっ…大事な話って何だよ」

単刀直入に護は氷雨に聞く。

「もう、あと少しで見つかりそうだったのに…

まぁいいわ…護…あなた…

うちのクラン、明鏡止水に入りなさい!」

氷雨は立ち上がり腰に手を当て堂々と言う、

その内容に護は唖然としてしまう。


「は?俺が明鏡止水に?冗談だろ…

俺は最弱のGランクだぞ?明鏡止水って言ったら日本で5本の指に入る大クランだよな…

どう見ても俺…不相応だろ」


確かに護の言う通りだった。

明鏡止水は氷雨がクランマスターの大クラン、そのメンバーは日本中合わせ100人を越える。

そしてメンバーは最低C-から最高A-まで揃う日本でもかなりの強者達の集まりだ。

極めつけは水神グループの孫娘、氷雨だ。

弱冠18歳にして抜群の戦闘センスを発揮し、A+のソルジャーにまで登り詰める。

完全実力主義の水神グループのクラン明鏡止水、

そのAマイナスの前マスターを氷雨は一瞬で倒し新たなマスターの地位を奪い取る。

この話題は多くの人達の注目を集めた。

だがそこに最弱のGランクの護が加入する……

どう考えても場違いだろう。


「わ…私が入りなさいって言ってるのよ、何故断るのよ!私はクランマスター誰にも文句は言わせない、それに貴方は強いわ、クランに入りなさい護!」

氷雨は護に承諾をさせる為なのかそれ以外の意図があるのかは分からないが強引に説得をしていた。

「いや…だから…

誘ってくれたのは今の俺の状況を冷静に考えて見てもかなり有難い事だけど…

俺みたいなのを誘ったお前は絶対叩かれるだろ……

俺はそれが1番嫌なんだよ……」


護は本音を話す。

誰かを守りたい、ただその一心で戦ってきた、それなのに護のせいで誰かが傷付く…

護にはそれが耐えられないと思ってしまった。

だが氷雨は護に強烈な一撃を喰らわした。


「護…貴方は誰かを守れる様になる為に強くなろうと必死に努力していたんじゃないの?

明鏡止水に入れば貴方は絶対に強くなれるわよ、

この私が保証するわ!それに…」

(あの時の護…かっこ良かったもの…)

氷雨は護が必死に努力していたのを分かっていた。

護を探すために護の生い立ちや人柄、水狼牙クランでの酷い扱いなど…

目にしたくないような事も知ってしまった。

同情したのかもしれない、

だがそれよりも護の強さを氷雨は理解していた…

そしてあの時の自分を守る姿に憧れた。


その氷雨の言葉を聞いた護は衝撃が走った、

そして…うつむき呟いた。

「俺…まだ弱いから…必死にはやるけど……

お前に絶対迷惑かけるぞ?それでも…いいのか?」

「構わないわ!

それに文句を言う人を私は実力で黙らせてきたの

あなたにはクランの誰よりも、いえ…この世界で誰よりも強くなれる才能があるわ。

だから…私と一緒に…わ…私のクランに入りなさい」

氷雨は少し恥ずかしそうに護の瞳を見て答えた。

そこには護の為を思う純粋な優しい気持ちしか感じなかった。


「……わかったよ…俺…自分自身の為にも…

お前の為にも…いや……

氷雨の為にも俺、頑張ってみるよ!」

護は氷雨の目を真剣に見つめ、両手包み込み握りしめてクランに入る決心を伝えた。

「手っっっ!わっ、わかったから!

もう…って…今……

やっと名前で呼んだわね!ふふっ♪」

氷雨は護に手を握られあわてふためき顔を真っ赤にしながらさっと護から離れた。

そして護に初めて名前を言って貰ったのが嬉しかったのか、氷雨は微笑みいつも他人に見せている月の様な笑みでは無く、今は太陽の様に眩しい笑顔を護に向けていたのだ。

(こんな笑顔も出来るのかよ…ったく……俺も一応男だぞ……こいつ自分の可愛さ度分かってんのか?

男も女もあの笑顔で殺せるぞ……)

護は氷雨の方を見るのをやめ雑念を払おうと頑張ってはみたがまるでダメだった……

「それじゃ…すぐに行きましょうか、

こうなると思って外に車を待たせてあるの」

氷雨は嬉しそうにドアの方に歩き初めていた。

「はあ?俺も?急にどこ行くんだよ」

「え?そんな決まってるでしょ」

「私のクラン…明鏡止水に行くのよ」

「えっ?今から行くの?」

氷雨は傲慢で……マイペースだった……

1話の話を3000文字以上にしようと頑張っているんですけど……

今回は6000文字なんですよね、

そこまでだと多いんですかね?

普通はどのくらいなんでしょうか……

わからんです……(;_;)

タイトルもなかなか思い付かないし……

ネーミングセンス0なんですよ自分……

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