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3章 2話 考察

護はゆっくりと目を覚ました…


「あれは…さっきのは…夢だったのか?

それに…ここはどこだ?どこかの…病院なのか?

いや…どう見ても…高級ホテル?」

護は寝てる状態から上半身を起こし周囲を見回す。

病院なのは分かっている、

頭の横には病院によくある心電図などを映しているモニターがあったからだ。


(何で病院にいるんだ?あの魔物に3発目を喰らわしたまでは覚えてる…その後すぐ気を失ったのか?

あの魔物は…いったいどうなったんだ?)

あの時は必死に戦っていたので護はあまりまともに覚えていなかったのだ。

たが…1つだけ分かっている事がある。

「俺…生きてるんだな…

あの戦いから生き残ったのか…良かった…

だけど…あの魔物…俺を逃がしてくれたのか?

3回もあんな攻撃をした俺を逃がすか?

今考えても何もわかんねえな………

そっ…そうだ!水神さんは!?」

護が氷雨の事を思い出し慌てたその時、


「あ~目を覚ましたんですね、良かった~

急患で運ばれてから5日も目を覚まさないから…

私心配していたんですよ~

でも何故か…護さんは運ばれた時に怪我は無かったんですよ?不思議ですよね~

誰かが治したんですかね~?」

ドアを開け現れたのは、天然…いや…不思議な喋り方をした白衣を着た白髪の小さな…女性?だった。

「あ…あのあなたは?」

「あっ、ごめんなさい~私ずっと喋ってしまって

私は(星野 照愛)ほしの ありあって言います~

ここNCL東京の医師です~」

小さな女性……は自分を医師だと言う…

どう見ても良くて中学生くらいの見た目だが…

こんな豪華な病院でふざける者もいないだろう。


そしてNCL東京とは…

この5年の間に権能者の力も借り早急に建てられた

東京の新宿に出来た超高層ビル、

国立権能研究機構 東京高度医療センター

を訳した名称だ。

国を挙げ権能を研究し新たな技術の発見などを目的とし、それと同時に権能による治療をしている国が所有する研究所付属病院だ。


「よろしくお願いします…星乃さん、あの…俺はよく覚えてないんですが…

俺はどうしてここにいるのですか?」

護はずっと気になっていた疑問を聞いた。

「どうして?と言われましても~

今の東京で~権能者が魔物によるケガや毒などになったら必ずNCLで治療しないといけないんですよ。

も~、進道さんも権能者なんですから…

ちゃんと戦闘以外も覚えないとダメですよ~

今の権能者の常識ですからね!」

照愛は頬を膨らませ子供のようにブンブンと腕を振り怒っている…

小さい小学生が怒っている様にしか見えなかった…


権能者の急患は必ずここ、NCLに運ばれる。

それは何故か、それは魔物と戦いケガや毒などをした場合現代の医療では治療するには限界があるからもあるが1番は未知のウィルスなどの拡散を防ぐ為に魔物と日々戦う権能者を1ヵ所で管理する為だ。


「す…すみません…いつも酷いケガをした時はクランから無理矢理ポーションを買わされていたので…

まぁ…俺が弱いのが悪いんですけどね…

それに…教えてくれる人なんか…

今の俺には誰もいませんよ…」

護は俯き照愛に謝る、その表情は辛い顔していた


「ご…ごめんなさい、進道さんの生い立ちとこれまでの事を私…資料で見たのに…軽はずみな事を…

ごめんなさい……本当に私…ってバカ…うぅ…グスッ」

照愛は自分の発言に後悔し座り込んで泣き出した…

その光景を見て護はあわてふためく。

「だっ大丈夫ですから!

全然気にしてませんから!ホントに全然っ!」

護はベットから飛び降り照愛の前に片ひざをつき、

またあわてふためく………

その時自動で閉まっていたドアがまた開く。


「護!やっと目が覚めた…の…ね…

護……あなた…照愛ちゃん…に何…してるの」

そこにはお見舞いの花を持った制服姿の氷雨がいたのだが…今の氷雨はその愛らしい人形の様な顔を能面の様な何故か恐怖心を感じる恐ろしい顔を護に向けていたのだ……


「み…水神さん!良かった…君も無事に生きていたんだね!本当に良かった…」

護はあわてふためくのを止めて氷雨の快復を自分の事の様に喜んだ…のだが…

「そんな事は今はどうでも良いわよ!

せっかく私がお見舞いに来てあげたのに…

あなた…照愛ちゃんを泣かして何してるのって私は聞いているのよ!」

氷雨は何故か怒り心頭で護は命の危険を急に感じてしまっていた…


「いや…これには事情があって…

もう解決したから大じょ」

「進道さんに…許して貰えるなら…

グスッ…私…何でもしますから…」

護が誤解を解こうとしたのだが…

照愛は未だに泣きながら…火に油を注いだ…

「護…あなた…死にたいみたいね…」

氷雨は冷酷で射殺す様な瞳を護に向け…

ゆっくり護に歩いて行った…

「ちっ違う!俺は何もしてない!何も…」


氷雨の腕が消えた…様に見えた…そして…

護の意識はまた一瞬で闇の中に落ちていった… 



✳✳✳


そしてその数10分後……


「誰が悪いと思ってるんだ!

だから俺は何もやってない誤解だって言ったろ!」

「だからさっきから謝っているじゃない、

護、あなた細かい事気にするとモテないわよ…」


護はかなら怒っていた…

それはそうだ…氷雨は護が何かしようとして照愛を泣かせていたと勝手に誤解していたのにいきなり平手打ちをし護を気絶させた…

照愛の癒しの権能で目覚めた時には、もう照愛が説明しており誤解は解けていたが氷雨はすぐに謝らず護の責任にしていたからだ。


「誰がモテないんだよ!全く…今はそんな事関係……

って俺の事ずっと護って…」

「べ…別に良いじゃない!減るもんじゃないし!

しんどうって言いづらいし…それだけよ!

それに私自分より弱い人にはさん付けしない主義だから!あとあなたもひさめって呼んでいいわよ、

私も呼び捨てで言うんだから。

それに敬語もやめなさい、特別に許してあげるわ」

氷雨は少し恥ずかしがりながら腕を組み、護と目線が合わない様にしながら話をしていた。


「自分より弱い人って…多すぎだろ…お前…氷結の権能じゃなくて、傲慢…まぁ…いいや、そんな事より…そうだ、あの後…俺が気絶した後…何があったんだ?

何か分からないか?」

護は氷雨の傲慢さを諦め真面目な顔をし、あの駅の戦いの続きを聞いた。


「私も分からないわ…あの魔物にやられたもの…

でもあの…えっと…あ…ぁ…有馬っ!

有馬って男のドローンがあの駅前のゲートを映していたんだけど…あの黒くなった魔物が何故かゲートの中に戻って行ったみたいよ…

何で何もしないで帰って行ったのかしら…」

氷雨は口元に手を当てあの不自然な映像を思い出す

「はぁ!?帰って行った?魔物が?誰も殺さず?

何がしたかったんだ…俺ら2人も殺されてないし」

護は驚きで目を見開き早口で言葉を喋る。

「それに…1番不思議なのは…護…あなた…

あの魔物に治療されている事よ」

氷雨は衝撃的な事実を護に打ち明けた。

「えっ…俺が?あいつに…治療?どう言う事だよ」

「それは私が説明しますね~」

照愛が話に割って入る、そしてそれまでのおっとりしていた雰囲気とは違い真面目に話を始めた。


「進道さんはあの時氷雨さんの話では魔物と相討ちになりかなりのダメージを負っていたと思います。

ですが…救急隊が到着した頃には…進道さんには傷の1つもありませんでした…

そしてあの場には気絶した氷雨ちゃんとあの魔物しかいません、それに…」

照愛が一呼吸置きまた話し出す。


「死の間際だった氷雨ちゃんのケガも死なないギリギリまで回復されていました、話を聞くに…あの魔物は自分を殺しかけた進道さんを気に入り、少し自分を傷つけた氷雨ちゃんを…

少し気にかけたのではないですか?」

その話を聞き護の頭は混乱していた。

なぜ自分を快復までしたのか…まるで分からない…

何度考えても答えは出なかった、その時、


「あの魔物はただ戦いを求めていただけよ、

それも自分を殺すかもしれないくらいの死闘をね。

護はあの魔物を殺しかけた、快復させたのは…

お礼なのかしら?それか…護に力をつけさせまた死闘をしようとしているのかもね。

護、あなた確実にマークされたわね♪」

氷雨は笑みを浮かべ軽く物騒な事を言う…


「ふ…ふざけんなよ、あんなのとまた戦うとか…

確実に死ぬわ俺、はぁ…もうどうにでもなれ。

とりあえず体はあいつに治して貰ったのか知らないけど…すこぶる調子いいから良かったな…

ってじゃあ何でお前は元気なんだよ、死にかけじゃなかったのか?」

護は氷雨に対しての疑問を口にした。


「私?それは私が強いからよ。

私はA+の権能者よ、私の身体強化は通常の30倍。

回復力も30倍になるのよ、凄いでしょ!

まぁ結構照愛ちゃんに治して貰ったけどね」

護は愕然としてしまった。

A+の権能者の異常な力に…

「30…倍…俺は…2倍…それは強い訳だ…」

「今頃分かったの?ふふんっ♪」

氷雨は胸を張り自信満々な態度をしていた。

(こいつ意外に胸…大きいな…あと…結構ちょろい)

護は一瞬邪な事を思ってしまったがすぐ忘れる…


「そうだ星乃さん俺もう家に帰りたいんですが、

退院の手続きもしたいんですけど…

あと…ここの個室…1日いくらするんですか…

俺…5日も泊まっていたんですよね…

またクランから前借りしないと……」

護は途端に表情を暗くし照愛に話し出したが…

それは杞憂に終わった。

「あっそれは大丈夫ですよ~

進道さんはあの町が滅びるくらいのレベルの魔物…

Sマイナスの魔物を退けたんです。

ここは国が持つ病院ですから免除ですタダです!

でも…目が覚めたのが分かったらその内事情聴取は取りに来ると思いますよ~

あの怖い警視庁の魔物対策課さんが~」

照愛は先程の真面目に話をしている時とは違い今は護を怖がらせるように悪戯っ子の様に話しをした。


「魔物対策課?って…何ですか?」

護はキョトンとした顔をし尋ねた。

「えっ!?あなたそんな事も知らないの?

護あなた本当に日本人?この5年間…

戦って寝るだけの生活でもしていたの?」


……事実だった…護は反撃の言葉が出なかった…


「はぁ…警視庁魔物対策課は門の管理、企業やクランなどに門の魔物の討伐依頼を出したり門の調査、

新たな魔物の情報収集や開門しそうなゲート周辺の避難などを主にしている……

いわゆる元締めみたいな物?なのかしらね?

だから今回世界で初めて現れた喋る魔物…

そしてランクが変わる事態、魔物対策課が事情聴取に来ない訳無いわ、私の所にも昨日来たもの」

氷雨は淡々といつもの冷静な表情をし説明した。

「なんだ、ただ話を聞きに来るだけか…ありがとな

何か監禁されて話をするのかと思ったよ…

とりあえずこの病院の費用がタダで良かった。

星乃さん俺家に帰りますね。

色々ありがとうございました!

戦う力はあの光に貰ったんだ…俺また明日から頑張って戦って強くならないと………」


護は照愛に感謝し拳を握りあの光に授けて貰ったあの改変の権能を使いこなせる様になる為にこれからも戦い続けるのを自身に誓った。


「はい、手続きは私が今してきますよ~

進道さんは帰る準備しておいてくださいね~

それでは~また~あっ氷雨ちゃんもまたね~」

照愛は笑顔で手を振りドアまで歩いて行く。

どう見てもその姿は小学生だが…

「ありがとうございました」

「うん、またね照愛ちゃん」

2人は照愛を見送った。

その時照愛が振り向いて話し出した、

「あっちなみに私…前に…

進道さんを治療した事あるんですよ~ではまた~」

そして照愛はスキップしながら出ていった。


「えっ?俺を治療した?いつの事なんだ?」

護は考えても思い出せなかった。

「照愛ちゃんに感謝しなさいって事よ、

じゃあ私先にロビーで待ってるから」

そう言って氷雨も出ていった。

(いや…何で待ってんだよ…帰れよ)

心の中で悪態をつくがとりあえず護は置いてあった新品の服に着替えてこれと言ってないが片付けをしロビーに向かった


✳✳✳


「あっやっと来たわね、

私を待たせるなんていい度胸じゃない」

氷雨はジュースを飲み、ロビーの椅子に座りくつろいでいた…変装用なのか、黒いサングラスを付け…

「いや…待ってくれなんか言ってねえけどな…

それに…そのサングラス意味ねえから…あっあの置いてあった服…お前が用意してくれたのか?」

「そうよ、あなた病衣に着替えさせられていたから

服は血だらけでボロボロだったんじゃない?

だから私が…揃えてあげたのよ、感謝しなさい」

氷雨は少し照れくさそうに言う。


「あぁ、やっぱりそうなのか…ありがとう、

お前意外に良いやつだな」

護は皮肉交じりに感謝を伝えた。

「なっ!意外にって何!?本当に失礼で変な人、

変な人を超えて……変態ね」

「変態じゃねえよ!

まぁいいや…とりあえず色々助かったわ…

またどこかで会えればいいな、またな、俺は帰って明日からまたクランに復帰して…もっと強くなる為に鍛えるんだ…」

(そういえば有牙さん…生きてるのかな?)

護は氷雨に軽く手を振りそんな事を考えながら玄関に歩きだした…


「何言ってるのあなた?

あの…あ…あわ…あま……あっ!有馬!

そう、あの有馬がクランマスターの水狼牙…

あのクランとっくに解散しているわよ?」

氷雨は出口に向かっている護に話す。

「お前さっきも間違ってたけど…有馬じゃなくて有牙な、全く…何回間違え…」

護は氷雨に向き直し間違えを訂正させようとした、だが言葉は止まっていた…

「今何て言った?」護は氷雨に聞く。

「だから…水狼牙クランはとっくに解散したって…

だからあなたこれからどうするのかなって」

時が止まっていた……護の時だけだが…

「はぁっ!?」

護君無事無職になりました(* ̄∇ ̄*)

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