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2章 5話  解放

突如現れた紅の魔物は氷雨に大剣を振り下ろす。

「なっ!氷結剣!!くうぅっっ!」

だが氷雨は瞬時に剣を召喚し魔物の一撃をギリギリの所でなんとか防ぐ事が出来た。

「水神さんっ!」

護が気づいた時にはもう紅の魔物と氷雨の剣はぶつかりあっていた。

『ほう……今のに反応するか…やはりなかなかの強者だな女、面白い、なら次は手数で勝負といこう』


瞬間

紅の魔物は護の目には捕えられない程の速度で大剣をまるで小枝の様に使用し氷雨に剣戟の雨を絶え間なく振るう、だがその連撃に氷雨も負けていない。

その剣戟を全て弾きその剣速を上回る速度で氷の剣を振るい反撃までしていたのだ。

「あの不意打ちには少しびっくりしたけど、もうあなたが勝つ事は無理よ……私がどうして氷剣姫って呼ばれているか分かる?私…剣技の方が得意なのよ!」

氷雨は更に剣速を上げ紅の魔物を圧倒し、その速度は紅の魔物の目にも捉えられない速度だ。


『くっ…まだ剣速を上げるか、

速度では貴様の方が上…面白い…なら少々…我も……

……力を解放するとしようか!』

瞬間、紅の魔物の体が赤黒く燃え出していきその炎は徐々に暗く、黒くなっていき最後には暗い闇の様な炎を放っていたのだ。

「くぅ…!何その…黒い炎……本当にAマイナス?」

氷雨は焼けるようなあまりに強烈な熱力に攻撃を止め勢い良く後ろに飛び退き呟いた。

『これは炎では無い、ただの私の魔力だ、

これでもまだ押さえている方だがな…』

魔物の体はいつの間にか全身が黒くなっている。

そしてその後すぐに…大きな機械音が流れた……


『警告イレギュラー発生、ランク、Sマイナス

未発見の強力な魔物出現

直ちに低ランクのソルジャーは避難してください』


「「えっ!?」」

2人の声が重なった…通常、今までの門から出現してきた魔物は最初から最後までランクは変わらない…

はずだった…強くなるのは人間だけの…はずだった…

だがこの喋る魔物は違う、力を温存していた、

いや……完全に力を隠していたのだ。


『簡単に死なないでくれよ…あぁ…そうだ貴様も教えてくれたのだ、私も1つ教えてやろう』

黒い魔物はゆっくりと言う……


『我は剣を使わない方が…強い』


その刹那

……氷雨は駅の線路の上に転がっていた…


何故…答えは簡単だった…

黒い魔物が氷雨を殴り飛ばしただけ。

ただそれだけだが氷雨は吹き飛び建物を貫通し駅のホームに叩きつけられ、そしてそのまま転がり線路まで落ちたのだ…


「はっ?」

護は呆気にとられてしまった…何が起こったか分からなかった。それはそうだ、自分の何百倍も強い少女が魔物に攻撃されたのか、一瞬で消えた。

そして遅れて轟音が鳴り響き護は駅の方に勢い良く顔を向け呟いた……

「なっ…なんだよ…これ…」


駅ビルの一部分が完全に貫かれていた…

貫かれた穴の周りはまるで爆弾でも爆発したのかと思うほどに破壊されている。

「み…水神さん…は?」

護は慌てて氷雨を探す…

だがいない…そして嫌な予感が止まらなくなる。

「もしか…して…あの…穴…水神さんが…?

う…嘘だろ…そんなこと」

護は分かってしまった。黒くなったあの魔物が駅ビルを貫通する程の威力で氷雨を攻撃し氷雨を弾丸の様にし貫いたのだ。

分かりたくなくても、分かってしまった。

それはあまりにも非現実的な事実だった…


『ふむ…魔力の制御がまだ難しいな…

一瞬で終わってしまった…つまらん…んっ…

まだ生きているな、あの女…

少しは楽しませて貰った礼だ、楽にしてやるか』

黒い魔物は駅に向かい歩き始めた…


「水神さん…は…まだ…生きてるのか?」

護が小さく呟いた。

『むっ、変わった人間、まだいたのか、

あまりにも弱くて気付かなかったな…

そうだ、あの女はかろうじてだがまだ生きている。

だが今止めを刺しに行く所だ』

黒い魔物は当たり前の様に答える。

「ふ…ふざけるな!

そんな事…許すわけがないだろ!

絶対に行かせない…絶対に水神さんを殺させない!」

護は黒い魔物の前に立ちはだかり腕を広げて意地でも先に行かせないようにした。

『………』「………」

黒い魔物は沈黙し護の瞳を見る…

護も黒い魔物の瞳を強い眼差しで睨む…

そして沈黙が解かれる。

『お前は何なのだ?世界一弱いと言っていたな、

だが何故我の前に立ちはだかる?

人間…お前には恐怖心と言う物が無いのか?』

黒い魔物は護と言う存在に疑問に思った。

「怖いよ…怖いに決まってるだろ…

だけど…このまま行かせたらお前は確実に…

水神さんを確実に殺すだろ…

俺は水神さんを見殺しにしたくないし…お前に人を殺して欲しくない!何でかは分からないんだけどな…」

護は自身の思ってる事を正直に話す、

黒い魔物の瞳を目を逸らさずに見ながら。

『我に人を殺して欲しくない……だと?

…………やはり変わった人間だな…お前………

お前の考えている事は分からない…が…我も魔物だ、自分の獲物は殺す、お前に止められるものなら…

お前のその力で止めてみろ…人間』

黒い魔物は駅の方に駆け出した、それは氷雨に止めを刺す為にだろう。

「くそっ!!ふざけるなよ!

絶対にお前に水神さんは殺させない!」

護は身体強化を全力で使用し、黒い魔物を追うように駅の方に駆け出した。



✳✳✳


(ここ…どこだろう…駅…の…線路?

私…何でこんな所に居るの?

あっ…そうだ…魔物と戦っていたんだ…

それで……そうだ…魔物が赤から…黒くなったんだ…

あの黒くなった魔物…Sマイナスだったんだ……

そこからは…わからない…思い出せない…)

意識を朦朧とさせながら氷雨は今さっき起こった事を思い出していた。

氷雨は黒い魔物に攻撃され今は線路上に倒れており体の至るところからは血を流し全身の骨と言う骨は折れているのだろうか?

生きているのが不思議なくらいの状態だった。

(体は…動かない…言葉も)

「…………ヒュ……ァ……」

(出ない…意識も……今にも……

私……このまま…死ぬのかな?……嫌だな…

まだ…いっぱいやりたい事あるのに……

まだ……恋愛もしたこと……無いのに…

みんな……ごめんなさい……)

氷雨は声も出せずに涙だけを流した。


『安心しろ、今止めを刺してやる』

突如氷雨の目の前に黒い魔物が現れた…その姿はまるで自分の死を迎えに来た死神の様だった。

黒い魔物はどこからか剣を出して構える。

(あぁ……やっぱりこの魔物にやられたんだ

私にもっと力があれば勝てたのかな?

そういえば……あのGランクの人は逃げられたかな?

いや…あの人は逃げないで戦ったんだろうな……

すごく弱いけど……ふふふ♪変な人だったな)

氷雨はあの自分をただの女の子扱いしてきた変な男の事を思い出し笑みを浮かべる。

(この魔物の事悪いやつじゃない!とか言ってたな、ホントに変な人……でも……

真っ直ぐで優しい人だったな………)

そして氷雨はゆっくりと目を閉じようとした……


その瞬間…黒い魔物の背後に人影が見えたのだ。

(あっGランクの人……)



『終わりだ』

黒い魔物は氷雨の首を落とす一撃を放つ、

一瞬で切り落とせる……


はずだった…その声は突然聞こえる…


「改変……………《自爆》」


そう声が聞こえ………すぐにそれは押し寄せてきた…

次で2章は終わりです。

かなり付け足して書いてます。

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