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2章 4話  氷剣姫

「まだあなた死んでないわよ?」


透き通る綺麗な声を聞き護は目を開ける…

そこには白銀の髪をなびかせた…美少女がいた。

その容姿はありきたりな表現だが、まるで新雪の様に純白で可憐、瞳は蒼く、まるで高価な宝石の様、

だが服装はこの場には似つかわしくない制服姿…

日本人場馴れした月の様に神秘的な美少女だった。


「き…君は!水の竜は…えっ!?」

護は話しかけられた少女を見る…

だがそれは一瞬、それよりも予想外の光景が目の前に広がっていたからだ。

「何だ…これ…水の竜と…魔物が凍りついてる…」

修二が全力で放った水の竜が一瞬で凍りついておりそして凍りついた竜は砕け散り、まるで一粒一粒が宝石の様な輝きを放ち霧散した。

それに対し魔物は凍りついたままだ…


「あなた…噂のGランクじゃない、それにしては…

良くこの魔物の殺気を喰らって動けたわね…

あなた…本当にGランクなの?」

少女は首を傾げ不思議そうに護を見る。

「あ…はい俺は進道護、本当にGランクです…

助けてくれてありがとうございました。

あの……あっあなたは水神さん…ですよね?」

護はあまりの少女の可憐さ一瞬言葉が詰まったが、すぐに頭を下げ助けられた事に感謝をする。

「良く知ってるわねあなた。

私は(水神 氷雨)みずがみ ひさめ

明鏡止水クランマスターのA+ソルジャーよ」


それはそう、日本人ならほぼ誰でも知っている。

日本最年少のA+ソルジャー。

世界でも指折りの財力を持つ水神グループ、その財閥の孫娘が水神氷雨だ。

水神グループは金融や自動車産業など幅広い事業を展開している日本一の大財閥。

そして5年前からポーション生成の為に新しい製薬会社を立ち上げ、そのシェアは日本一を誇る。

そして水神グループはクラン(明鏡止水)を設立しておりそのリーダーは弱冠18歳の氷雨だ。

テレビや配信、SMSに話題に上がらない日は無いくらいの超が付く有名人なのだ。


そして氷雨が助けに来てくれた事にGLIVEのコメント欄も一気に盛り上がっていた。

【氷雨ちゃんキターーーーー!】

【氷剣姫…めっちゃ可愛い~】

【助けに来てくれてありがとう氷雨ちゃん】

【氷雨ちゃんマジで……天使……】

【水神氷雨……ふっ…………好きーーー!】

【いや…コメント欄興奮しすぎやろ……可愛い…】

【でも氷雨ちゃんが助けに来てくれなかったら冷静に考えてかなりヤバかったよな…全滅してたぞ…】

護やコメント欄、水狼牙のクランメンバーはAプラスの氷雨が助けに来てくれた事に安堵していた。

やっと助かると……だが1人は違う。


「この氷の権能…くそがっ!邪魔するな水神!

俺があの魔物を倒して…俺は上位権能者になる所だったのによお!そんなに俺に追い付かれるのが怖いのかよ水神の娘がぁ!!」

修二は自身の攻撃を邪魔されたのが気に入らないのか護を助けた少女に八つ当たりし怒鳴り付ける。

「同じクランの人を一緒に殺そうとしたくせに…

まぁどちらにしても…あなたの今の水竜くらいではこの魔物に傷を付ける事など出来ないわ。

あなたも本当は分かっているんでしょ?」

氷雨は呆れた顔をし修二を小馬鹿にする。


「なん…だと、この糞ガキ…上から目線で偉そうに!

たまたま上位権能に目覚めただけのやつが!

進道の前にてめえから先にぶっ殺してやろか?」

修二は事実を突き付けられ怒りで我を忘れていた…

今は配信中なのをこの時は完全に忘れていたのだ。

イレギュラーが喋った事も拍車をかけ話題が更に広がり現在の視聴者数は1200万人を越えていた。

そして修二はその醜態を…いや本性を全世界に晒してしまったのだ。


【えっこわ!助けて貰ったのに…】

【あ~やっぱりこっちが本性か~知ってた】

【助けて貰って何言ってんだこいつ!】

【えっ、しゅーさん?口調が……えっ?】

【えっ……わかんないわかんない…二重人格?】

【やっぱり修二って仮面被ってたな…予想通り】

【修二さん……幻滅しました…登録解除します…】

【この性格…あの噂ってもしかして……】

コメント欄は修二が今まで隠していた本性を知り、皆怒り心頭し、そして幻滅し軽蔑する。


「あなた本当に何も分かってないのね…

あなたはこの魔物の恨みを買ってしまった事に気付いてないの?そもそもこのAマイナスの魔物を倒せないのに?私を殺す?あなた…魔物に殺される前に…

私に……消されたいの?」

その瞬間氷雨から凍える冷気と、強烈な殺気を纏う純白の光が溢れだし、その気配は先ほどの魔物が放つ殺気の何倍も濃密で息をするだけでも体の芯から凍り付く様な冷気だ。


「あ…あが…こ…こんなこと…

これが…Aプラスの力…こんなにも…差が…」

修二は氷雨の殺気を浴びただけで足が震え、言葉も呂律が回っていなかった。

「す…凄い威圧感だ…これが明鏡止水のマスター…

上位権能者…これが氷結の権能…氷剣姫なのか…」


(氷剣姫)

それは二つ名と呼ばれる最高峰の証。

Aランクソルジャーから付けられる異名、

国が認める程の強さの総称だ。


「はぁ、この程度で動けなくなるなんて…あなた…

本当にBマイナスソルジャーなの?Gランクのこの人の方がよっぽど強いわね…向いて無いわよあなた」

氷雨は徹底的に、その強烈な棘がある暴言を修二に浴びせ畳み掛ける。


「俺が…この俺が…このゴミより?

このGランクのゴミの方が強い……だと?

………コロス………殺す……殺すぞ糞ガキが!!」

修二は氷雨に徹底的に論破され、遂に一線を超えてしまう。懐に隠し持っていた短刀を構え氷雨を殺す為に駆け出していたのだ。

「だっ!ダメだ!」

護は氷雨に駆け出していた修二を止めようとした…


だがその時……


『その女は我の獲物だ、邪魔をするな…』

その瞬間…

氷雨の能力で氷漬けにされていた紅の魔物が周囲の氷を破壊し飛び出していた…

そして駆け出していた修二の横にいつの間にか立っており裏拳を放ち修二を殴り飛ばす。

「ごがぁっ…!?」

修二は言葉にもならない声を出し、そのまま轟音を立てかなり離れた向かいのビルに突き刺さり…

そのままビルの瓦礫の中に埋もれた。


「は?さっきの魔物が…有牙さんは?」

護は呆けた様に1人呟いていた…

「言葉を話すヘレティックオーガか…

なかなか強いわね…

そこの喋れる魔物!私と戦いたいんでしょ?

ならここにいる人達を安全に逃がしなさい。

そうしたら全力で戦ってあげるわ。

それが望みでしょ?こっちの望みも聞きなさいよ」

氷雨は今も殺気で動けないクランの人達を安全に逃がす為の提案を出す。

『………良いだろう、特別に逃がしてやる…

我の望みは強者との死闘のみ、邪魔だ行け』

魔物の殺気が溶けた瞬間、クランメンバー達は我先にと蜘蛛の子を散らすよう逃げ出しが…誰も修二の安否を気にする人はいなかった…


「哀れね、あの男…誰も助けてくれないじゃない…

さてと…邪魔な人達も居なくなった…から…

………って!あなた、何でまだ居るのよっ!」

氷雨は目を丸くし驚く。

護はなぜか逃げずに氷雨の後ろに立っていたのだ。

「いや…いくら水神さんが強いって言っても…女の子1人だけ残して普通逃げないだろ…

それに…この喋る魔物…そんなに悪いやつには俺は見えないんだよ…水神さんとの戦いに邪魔なら全ての人をあのゴブリンみたいに殺せば良かったのに…

あいつはそれをしなかった。

そんな魔物普通におかしいだろ?」


護は自分の意見を矢継ぎ早に氷雨に言い、少しだけ魔物と話をし何故かそう思ってしまう。

「それはこの魔物の気分でしょう?この魔物が良いやつ?笑わせないで魔物は全て…私が殺す…わ!」

その瞬間氷雨は一瞬で紅の魔物に接近し…

その鎧に触れる、そしてどこまでも冷たく冷静に冷酷に言葉を発する。

「終わりよ…氷天花」


すると紅の魔物は一瞬で凍り付き魔物の背後には巨大な氷の花が咲く、そして咲き誇る氷の花は巨大で美しいが実際は生命を一瞬で凍結させる魔性の花。

そして…魔物ごと砕け散り霧散した…


「これで終わりね、あのビルに突き刺さった男…

早くしないと死ぬわよ?まぁ別に興味無いけど。

じゃあ私は帰るわね、あぁそれと…あなたさっきA+の私を…1人の…女の子扱いしていたわね…

あなたやっぱり…ちょっと変わってるわよ…

ま…まぁいいわ、さよならGランクの人」


氷雨は何故か照れくさそうに…どこか少し嬉しそうにも見えながら護に軽く挨拶し立ち去ろうとした。

だがそれを護は氷雨の手を掴み止めた…

「何か…おかしい、まだだ…まだ終わってないっ!」

「なっ!ななな!何よいきなりっ!離しなさいよ!

何?もう終わったわよ、あの魔物は死んだわ!

やっと普通に学校に登校中だったのに、こんな朝の8時からいきなり緊急の救出依頼来るんだもの…私これでも学生なの!もう授業も始まっているし……」

氷雨は顔を真っ赤にし、いきなり手を掴み焦っている護を軽く突き飛ばす。

その後護に貯まっていた愚痴を全て言い、

そしてため息をつきトボトボと歩いていく。

だがそれを止める様に護は声を張り上げた…

「ダメだ魔結晶が落ちていない!

それにボスを倒したのにゲートも閉まってない!」


その刹那

突然、紅の魔物が氷雨の後ろに立ち大きな剣を勢い良く氷雨の頭を目掛けて振り下ろしていた…

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