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2章 3話  困惑

『何だお前達は…何て貧弱な…』

魔物が言葉を発したのだ…

今までそんな話はまるで聞いた事が無い。

「嘘だろ…魔物が喋った…だと…」

修二はあまりの出来事に声が詰まる…


そして配信を観ていた視聴者も驚いていた。

【はぁっ?魔物が喋った???】

【どう言う事だよ、イレギュラーだからか?】

【イレギュラーは喋らないんですか普通?】

【魔物が喋るなんて聞いた事無いんだけど】

【この魔物…言葉を理解出来る程強いって事か】

コメント欄は一瞬で流れていた。

そしてイレギュラーが喋った事が(Z)と言うSMSで世界中に一気に拡がりそして物凄い勢いで視聴者数が増えて行く。

現在は400万人を超えまだまだ増え続けている。


(あれはかなり不味い…ぞ…

みんなあいつの殺気に呑まれてる…

どうすれば良い…俺のこの弱い力で何が出来る…)

護はこの危機的でも何か打開出来る方法を考える…

その時ゴブリン達が紅の魔物が放つ殺気に抵抗し、

ギイギイと鳴き出した。

『何だコイツらは……黙れ…消えされ』


その刹那

キイィィッッン…

金属と金属がぶつかった様な高音が走った。

そして数秒後…

数100体はいたゴブリン達は全て…胴体が別れ、

真っ黒に燃え尽きて霧になった。


「「「「「えっ」」」」」

皆が唖然とした声を出す。

それはそうだ魔物が魔物を殺したのだ…

それも一瞬で…


(何だこいつ同じ魔物を殺したのか?

どう言う事だ…もしかして…本当にゴブリンがうるさかったから殺したのか?

何でだ?

魔物はただ人を殺すだけじゃなかったのか?)

今までの魔物が発した言葉を整理し護は考えそして…

この状況を打破する為に行動に出た。


「な、何故ゴブリン達を殺したんですか?

もしかして…貴方は強い者と戦いたいのですか?」

護は魔物が放つ殺気を必死に耐え、紅の魔物になんとか話しかける。

その言葉を聞き魔物は少し驚いた顔を…

したのだろうか?歩いて護に近づいて来る。

そして……護の前に立ち見下ろした。


『何だお前は、ほぅ…この空間で少しだけだが動き

そして声を出せるとは…ふっ

そうだ、我は強き者との戦いを求めるだけだ。

お前は…どう見ても…いや隠しているのか?』

紅の魔物は不思議そうに護を見た。

「い…いえ…俺は弱いです………それも…この世界で俺は最弱ですよ…あっ……貴方の言う強き者は…ここにはいないと思います。

貴方はA-の力を持ってると思うので…最低でもAランクの権能者じゃないと…戦いにすらならないと…

俺が……もっと強ければ…良かったんですが…ね…」

護は今いる人達の強さを正直に伝えるしかないと思い魔物に話をしたのだ。

隠した所でこの魔物にはまるで意味が無い。

護は話を終えると自分の弱さに嫌気が差し、一瞬下を向いたがすぐに切り替えて顔を魔物に向ける。


『………そうなのか……それは残念だな…しかしお前…失う物が何も無い故か…お前は恐れを知らんな。

お前は確かに最弱だが…この周りの者達に比べ瞳が死んでいない…ふっ面白いやつだなお前』

魔物は本当に強者がいない知り少し落ち込んでいるのだろうか?そして護の事を面白がり魔物が何故か笑ったように護は感じた。


護が穏便に魔物と話をしていた…その時…

「俺に…俺に許可取らず勝手に動いてんじゃねえ!

勘違いすんじゃねえ!クランマスターはこの俺だ!

護っ、てめえだけその魔物に命乞いか?

ふざけんなよてめえ!この裏切り者がぁ!

その喋る魔物ごと…一緒にくたばれぇぇえ!!」


突然修二は青い光を放ち、全力の水の権能を…

魔物と護のいる場所に解き放ったのだ。

「水竜…爆撃っ!!」

修二が唱えた瞬間、修二の光の中から青い光を放つ水の竜が爆音を発し突撃していった。

「なっ有牙さん!」

護は一瞬で近づいてくる水の竜を見て…

すぐ死を覚悟した…そして何故か体が動いていた。


その行動に誰もが唖然とした、

そう護自信もだ…


護は何故か…紅の魔物を突き飛ばしたのだ…

それも……真横にだ。

皆その一瞬、ほんの一瞬だが思う事は同じだった。

前に押すならまだ分かる、修二の水竜が魔物に当たる可能性が上がるからだ。

だが…真横は意味が分からない…修二の渾身の一撃が当たらなくなる、意味が分からない。

それは紅の魔物もそう思っていた。

(『なっ!何だこいつは…何故正面じゃなく…何がしたいんだこいつは?我を庇ったのか?』)


そして護もそれは思っている…

(俺…何でこの魔物を…守る為に?バカ過ぎるだろ俺は…魔物を守って死ぬとか…でも…あの魔物を攻撃していたらたぶん…いや確実に皆殺されてたな…

じゃあ最後に誰かを守れたのかな?

まぁ誰かを守って死んだら意味無いけどな…ははっ)

護は自身の死が近づく中、思わず笑ってしまった。

そして護は近づいて来る水の竜を見て目を閉じた。


だがその時、護は凍える様な寒さを感じる。

体の芯まで凍る様な…

「これが死ぬ感覚なのか…」

そして小さく呟いた、そう呟いた瞬間…

透き通る様な…澄み切った透明な、しかしどこまでも冷たい…そんな声がする。


「まだあなた死んでないわよ?」


その声に驚き護は目を開ける。

そこには白銀の髪をなびかせた1人の少女がいた。

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