表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

2章 2話  不規則

この5年で生まれた世界で一番人気の配信アプリ

それが 『GLIVE』

ゲート(門)攻略や魔物の倒し方などの攻略動画、

実戦練習などソルジャー専用の配信専用アプリだ。

その使用率は脅威の全世界合わせて30億人以上の人々が使用し、その配信映像は世界中の門の攻略を見る事が出来る。

ソルジャー達は名前を売る為にも活用し、観る者はその戦いの光景に一喜一憂する。

そしてBマイナスのソルジャー、日本でも高位ランクの修二が配信するとなれば多くの人達が配信を観る

修二のチャンネル(水狼牙公式CH)

登録者は150万人もいる。

普段はどんなにクズな男でも世間に出る時はいつもと違う仮面を付けていたのだ。


「やぁみんな!また会ったね、有牙 修二だよ。

今日は池袋駅前のゲート、鉄池に来てるんだ、

正直僕にはちょっと弱いゲートだけど…

池袋の人達の安全の為に僕達、有牙製薬のクラン、

水狼牙が今回攻略に来たんだ」

まるで先ほどとは違い満面の笑顔。

護を殴っていた時の怒りの顔とは完全に別人だ。


(相変わらずホントに切り替えが早いよ、よくそんな嘘が簡単に出てくるよな。どうせ多くの人に注目されたいだけだろ…)

護は言葉には出さず心の中で悪態を吐いた…

本当の修二を知っているからだ。


だが世間、配信を観ている者達は違う。

【やっと始まったか】

【マジでずっと待ってた!】

【修二さん今日もその青髪ホントに綺麗】

【しゅーさんお疲れ様です】

【しゅーさん今日もド派手な技見せてくれー】

【修二君今日もガチカッコいい】

【そう言えば週刊誌の問題解決したんだ】

【確かにそんなのあったな、どんなのだっけ?】

【修二が10年前に誰かを○したとかww】

【あぁそうだそれ、人気者は恨まれるよなwww】

【修二さん可哀想だった…ホントに週刊誌最低】

など多くのコメントが確認出来ないくらい流れる。

どこに流れているか、それは飛んでいるドローンから空中に立体映像で視聴者がコメントしている画面が映りだされている。

そして現在の視聴者数は(8万人)

かなりの人が水狼牙CHを観に来ていた。


「みんな待っててくれてありがとう、あの週刊誌の問題は解決したよ。週刊誌に嘘のたれ込みをしたのが前に僕のファンだった人だったんだ…

その人がコメントをした時に僕がコメント読まなかったのが許せなかったらしいんだ。

それで僕に嫌がらせをしたんだ…

僕がもっとみんなのコメントに気を使ってれば…」

修二は下を向き項垂れる

【マジでファンの恥やん】

【酷すぎるよ...可哀想修二さん】

【逆恨みもそこまで行くとヤバイな】

【修二さんは悪くないよ】

【いつも通り町の人を守ってください!】

【ずっと応援してるぞ、頑張れしゅーさん】

修二はコメントを見て軽く涙を流し袖で拭いた。

「ありがとうみんな!僕はこれからもみんなを守りそしてみんなを楽しませる為に頑張るよ!」


修二が視聴者と会話していると…


『オーバーフローまで残り1分』

再度サイレンの音と機械的な音声が流れた

「そろそろ時間だね、さあみんな……武器を構えていつでも権能使える様にしてね、始まるよ!」

修二はクランのメンバーに優しく命令を出す。


護も急いで立ち上がる、修二に殴られた頬はまだ痛むが今はそれどころでは無い。

「よしっ、権能に絶望してても何も変わらない、

今はただ1体でも魔物を倒す事に集中だ…」

護は唯一の自分の武器の剣を構えて深呼吸した。

そして……


『池袋駅前アイアンゲード開門します

戦闘に備えてください、開門まで3.2.1』


『開門』

鉄の門が大きな音を立て開く。

その瞬間門の中、渦の中から大量の緑色の小鬼…

通称ゴブリンが大勢現れた。

「よしっ、まずはロングレンジ隊撃て!」

修二が指示を出すと10人くらいの人が同じ権能を使い攻撃しだした

「「「「水流弾!」」」」

一斉に放たれた水の塊がまるでレーザーの様に突き進み現れたゴブリン達を次々貫通し倒していく。

その統制が取れた遠距離攻撃を見て、コメント欄はまた一気に盛り上がる。

【相変わらず凄い統制だよな水狼牙クランって】

【いやマジでそれ、どうやってるんだろ?】

【マジで軍隊みたいだよな…】

【修二の力で支配してるんじゃね?】

【悪い言い方止めてください、通報しますよ】

【メンバー達との絆があるからに決まってるだろ】

【だけど修二って戦闘だと人変わるよな】

コメント欄は修二の統率力に圧倒されていた。


だが現実はコメントでもあった様に修二の圧倒的な力で支配しているだけ、やらないと暴言を吐かれ殴られる。クランを辞めようとしても家族の弱みを脅されお金の弱みを握られ辞める事が出来ない。

皆まるで奴隷の様に働くしかなかった……


「ロングレンジはそのまま撃ち続けろ!

撃ち漏らしたゴブリンどもが来るぞ!

ショートレンジ隊、突撃してくるゴブリン達を近づけさせるな!」

そう修二か指示を出すと遠距離部隊以外の残りの人達は皆権能を使い出す

「「「「「水剣」」」」」

すると皆、水の剣を召喚し近づくゴブリンを切り裂き次々と倒していく。


「近接戦が始まった、俺も行かないと」

護は身体強化を使い駆け出した。

この死ぬ気で鍛えた5年間でDランク程のソルジャーとまでは行かないがゴブリンくらいなら普通に倒す事が出来る様になっていたのだ。

「はぁぁっ!おらっ!」

護はゴブリンに駆け寄り回転切りを喰らわしそしてもう1回転し横にいたゴブリンも斬り倒す。

「よしっ!とりあえず2体倒した…

このまま次のゴブリンを倒す…ぞ…」


護は次のゴブリンを倒しに行こうとした瞬間。

何故か足が急に止まってしまったのだ。

その理由は強烈な殺気…

鉄の門に居ていい存在ではない者の殺気だ。

突如それは門の中から現れた…

2メートルは越える長身で紅の鎧を着ている。

鎧の隙間から見える筋肉質の赤い肌、

炎の様に赤い…いや本当に燃えている長髪、

肩に担いでいる異様な大剣、

そして般若の様に恐ろしい顔、まさに化物だ。


その魔物が現れた瞬間、人もゴブリン達も皆止まってしまったのだ。それは圧倒的な殺気を放ち動いた者は確実に死が待っていると感じたからだ。


「「何だ…こいつ…」」

皆赤い魔物に目を向けた…

その瞬間、再度機械的な音声が流れた。


『警告イレギュラー発生

Aマイナスランク、ヘレティックオーガ出現、

直ちに低ランクのソルジャーは避難してください』


(イレギュラー)

それは高ランクの魔物が、何故か極まれに低ランクの門から現れる事だ。

通常あり得ない事故みたいなものだ

ここ池袋駅前アイアンゲードで出るボスのランクは

通常D+からCまでのボスだ。

それがA-のボスが現れてしまったとなれば…

ここにいる者全ての死が確定したようなものだ。


『イレギュラーが出現した為…

最上位ランクを召集します。最上位ランクが到着するまでの間、低位ランクのソルジャーは退避行動を速やかに行ってください』

機械的な音声が最上位ランクの緊急招集を要請し、

低ランクの権能者を退避をするように促している。


「何でここでイレギュラーが現れんだよ…

くそっ…それにAマイナスとか…

討伐安全ランク…俺より4段階も上じゃねえかよ」

修二は内心かなり焦っていた…


ランクとは魔物と人とでは少し違う。

BのソルジャーとBの魔物、

それぞれが1対1で戦うと高確率で魔物が勝つ。

B+の人とBの魔物が戦えば確率は五分五分。

そしてこの場で間違いなく1番強いのは修二、

そのランクBマイナス、そして魔物はAマイナス。

五分五分で戦うにはAランクのソルジャーが必要で、

まともに戦うなど不可能なランクのボスだ。


全ての者が止まっている時…

そこにいた者達、配信を観ている者達は驚愕した。


『何だお前達は…何て貧弱な…』


突如魔物が声を発していたのだ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ