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2章 1話  新時代

2030年

世界は5年前の悲惨な事件を糧にし前を向いて歩きだし、そして新時代が始まっていた。

  


東京都豊島区 

池袋駅前、鉄の門通称(鉄池)と呼ばれている。


進道 護もそこにいた。

門から現れる魔物達と戦う為に武器となる唯一の自前の剣を手入れしている。

「よしっこんなもんかな、今日の門は家から近くて良かったな。まぁ…それだけなんだけど…」

護の年齢は24歳、まだ普通に若いはずだが、

今の護は戦闘の疲れやGランクの無能と毎日知らない人にまでバカにされる精神的苦痛、その疲労により疲れきった顔をしており酷い時だとおっさんとか言われた事もある程だ。

「今日はまた鉄の門か…

鉄製の門は魔物がかなり強いんだよな…」


門の色で現れる魔物の強さがある程度分かる。

その強さは現在世界中で確認された5段階。

一番弱い木製の門、次に強いのは鉄の門。

それより強いのは銅の門、さらに強いのは銀の門。

そして1番強力な魔物が出る金色の門だ。


今回はこの門が開くのが分かっていたのだ。

何故分かるのか?

それはこの5年間で産み出された技術のお陰だ。

世界中の門の前には大きなタイマーが置いてあり、そのタイマーこそが未知のエネルギーを使い開発されたこの世界中でタイムボムと呼ばれる時計だ。

噂では日本の子供の協力で開発出来たとか…

眉唾物の疑わしいくだらない噂だ。

そのタイマーが0秒になると門が開き魔物が現れるのだ。タイムボムが出来たお陰で人々は戦いに備える事が出来、有利に戦えるようになった。


突如大きなサイレンの音と機械的な音声が流れた。

『池袋駅前アイアンゲート7回目のオーバーフロー残り時間10分を切りました。ソルジャーでは無い人達、戦闘許可が下りていないソルジャー、ソロ、クランは直ちに退避してください。

繰り返します、池袋駅前……』

放送は何回も繰り返した


駅前には50人はいるだろうか。

世界中でソルジャーと呼ばれる権能に目覚めた人達が門の前に集合している。

そして、中央にいる青い髪のいかにも柄が悪そうな20代半ばくらいの男性がいる。

その男性はカジュアルスーツを着こなしており、

いかにも金持ちの息子の様な見た目で、今から戦闘をするとは思えない格好だった。


「よ~し始まるぞお前ら身体強化を使え!

今回のこの仕事はうちの仕事…有牙ありが製薬のクラン、いや俺の…

(有牙 修二)ありが しゅうじのクラン(水狼牙)の仕事だ、失敗は許さねえからな」


クランとは…権能に目覚めた人達を集め、門から現れる魔物を効率的に倒し魔結晶を集め企業や国に売り渡しその金を分配するいわゆる会社の様なものだ。

多くのクランでは魔物を倒した貢献度により所属しているメンバーに分配する貢献制が普通だ。

強い者が多く金を貰い、弱い者は少ししか貰えない

多くのクランは弱肉強食の世界だ。


「お前ら死ぬ気で戦えよ、あと魔結晶を盗んだら…

有牙商事が敵になるからな?覚悟しとけよ。

おいっ進道聞いてんのかぁっ!」

護は疲れで寝そうになっていた。

それを修二が気付き怒声を放ち、顔を殴る。

「あぐぅっ!すっすみません!」

護は殴り飛ばされ、そしてふらふらと立ち上がりながら深く頭を下げた。

「てめぇみてえなGランクのゴミを雇ってやった俺の優しさを分かってんのか?

ったく落ちた魔結晶を拾うだけの雑魚がよ!

クビにする前に魔物の餌にでもすんぞ」

修二はゴミでも触ったかの様に護を殴った手を拭き

そして何事も無かったかのようにまた話し出す。


(何でこんな…)

護は5年前渋谷で力に目覚めてから3年勤めた鈴鹿工務店を辞め今に至るまで魔物と戦っていたのだ。

家は…Gランクの護をバカにしイタズラが絶えずまともに住む事が出来なくなり…売り払った。

今は池袋駅から歩いて10分くらいの場所、

東京都豊島区の小さなアパートに住んでいる。


(こんな俺みたいな最低のランク…Gランクを雇ってくれた有牙さんには感謝してるけど…

これじゃあ…まるで奴隷だな…毎日怒鳴られ

気に食わない事があれば殴る蹴るの暴力…

挙げ句には有牙さんが大ケガをした時の肩代わりをさせられているとか………

どうして俺には力が無いんだよ、自己犠牲の権能って何だよ…そんなんでどうやって戦うんだよ…)

護は1人下を向き心の中で呟いた。


今の時代魔物と戦うには国が許可を出したクランに所属する権能者(権能に目覚めた者)しか魔物と戦う事は通常出来ない。

そしてどこのクランにも所属していないソロは臨時でクランに雇われ戦うしかない。

護は戦う力を付ける為に多くのクランに頭を下げたがGランクと言う悪評が広まっており、どこも護を雇わなかったのだ。

そして水狼牙の面接に行った時、周二の口車に乗せられ誰にも喋っていなかった権能の力、

自爆、ではなく献身の能力を喋ってしまった。

(あの時、献身の能力を喋らなければ良かった…

俺があの時有牙さんに喋らなければ……

このままだと…俺…殺されるよ有牙さんに……)

有牙は護の能力を聞き直ぐ様護を雇ったのだ。

そして自分が死にそうになると護に献身の力を使わせて回復し、さも自分は不死鳥のごとき加護があるように周囲に知らしめた。

実際は護の命刻、命を消費し回復していただけだ。

(命刻は1年に1しか増えないし……

使うと死にそうなくらいの痛みに襲われる…

水狼牙を辞めたくても話すら聞いてくれない…

辞めた所で魔物と戦う事すらさせて貰えない。

俺……どうすればいいんだ…こんなんで……

誰を守れるって言うんだよ……)


この5年間はひたすら自分を鍛え、死に物狂いで必死に戦った。

魔物を倒すと魔力値が増え能力が強化される。

そしてクランに所属する人の魔力値はDで平均175を越えるくらいだが護の魔力値は…

5年前は19、現在は24

5年間辛い思いも沢山し努力を重ね戦いの研究も独学でしたがその成果はたったの5増えただけ。

そして身体強化ランクや新たな能力など…

何も護は成長しなかったのだ。


(ははっ…これがGランク…世界最弱の権能か…

こんなんじゃ今の世の中誰も守れない…

このままあの人の身代わりになって死ぬのか?

俺の…俺の5年間は無駄だったのかな…)

護は1人下を向きながら涙をこらえた。

そして時間が経つ…


『オーバーフローまで残り5分』


「さっさと終わらして今日も遊び行くか~

いや~俺最強だからモテてしょうがねえからな!

あはははっ!金も使いきれねえし、権能様々だぜ」

警告音が鳴り響くこの場所で有牙修二は

クランメンバーに聞こえないのを良い事に高笑いをしていたのだ……

実際は聞こえているのだが誰も口答えが出来ない。


この5年間で世界は力のある者が正義になっている

そしてこの有牙修二 27歳

有牙製薬の社長、有牙 政男の息子(次男)だ

有牙製薬は魔結晶を使い生み出された人のケガを治す霊薬、ポーションを生成していた。

その売上は日本業界2位の売上を誇りそして息子の修二は有牙製薬が所有するクラン、

水狼牙のマスター(代表)だった。

自社で魔結晶を取得してポーションにする方が何倍も利益が出る、それは悪評を隠してもだ…

そしてクランメンバーを脅し逆らえなくしていた。

そんな横暴を何故出来るのか…

それは修二がかなり強かったからなのだ。

修二のソルジャー世界共通強さランクはB-、

Cランクで上位と呼ばれるこの世界でBマイナスは

日本では30人しかいない。

ランクは1つ上がれば100%勝てないと言われるくらい力の差がありメンバー達は良くて2人がC-

他50人弱はDかE…逆らえる訳が無かった。


「よ~し今回もこの俺の強さを日本中に見せてやるとするか~、おいっ!

長谷川、配信ドローンを飛ばせ。

それ値段超高いから壊したらぶっ殺すからな」

修二は長谷川と呼んだ男性を脅し圧をかけ…

「はいっ、しょ、承知致しました!」

長谷川はビクビクしながらドローンを飛ばす。


そして配信を開始した。

この話からが本編みたいなもんです。

(* ̄∇ ̄*)

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