004 レベル上げと、予期せぬ出会い ③
洞窟は不気味なほど静かで、その静寂を破るのは、俺の息遣いと雪鴉の雛のそれだけだった。
巨大な狼の死骸が空間のほとんどを占め、血の匂いは一層強くなっていた。
二度のレベルアップの光が俺を包み、HPとマナが再び流れ込み、最大値まで回復した。
疲労は消え、痛みも霧散した。
《HPが100%に到達。【倍加ボーナス】システムを解除します。》
俺はその通知を見た。
なるほど、これが俺の考えていた「ハイリスク・ハイリターン」というやつか。
HP半分の状態で復活したが、その弱った状態で狼を倒したことで経験値が倍になり、一気に2レベルも押し上げてくれた。賭けだったが、成功した。
だが、勝利に浸る間もなく、新たな通知が頭の中に現れた。
それは普通の通知ではなかった。淡い赤色をしており、明らかな警告の響きを帯びていた。
《警告:【蘇生】スキル使用後、残りのHPが尽きた場合、再度の蘇生機会はなく、確実な死が訪れます。》
俺はその場で凍りついた。
警告をもう一度、そして三度読み返した。
つまり、このスキルにはやはりリスクがあったのだ。
思っていたような「どんな状況でも助かる切り札」ではなかった。
それは切り札ではあるが、諸刃の剣だった。
HP半分で復活した後、全快する前に再び死んでしまったら…それが本当の「ゲームオーバー」になる。復活も、二度目のチャンスもない。
今、理解した。【蘇生】スキルはセーフティネットではない。絶望的な状況での最後の押しの一手なのだ。
誰かを守るための最後の手段として、あるいはレベルを大幅に上げるための計算された渇望として、本当に必要な時にしか使ってはならない。
そして蘇生した後は、HPが半分の状態で敵と戦い、打ち倒さなければならない。もし強さを増し、HPを全快させたいのであれば。
この条件を満たせず、残りのHPが尽きてしまえば…俺の運命は、二度と戻れない死。
炎の鳥であるにもかかわらず、体中に冷たいものが走った。
俺は永遠の死から、たった一撃の距離にいたのだ。もし狼がほんの一瞬でも速かったら、俺は今ここにいなかっただろう。
俺は雪鴉の雛に目をやった。
そいつは大きな青い瞳で俺を見つめていた。その瞳から恐怖は完全に消え去り、代わりに尊敬に似た何かが宿っていた。
再び「キュ!」と柔らかな声を上げると、足を引きずりながら俺に寄り添い、優しく体を擦り付けてきた。
結局のところ、俺はこいつのために命を懸けたのだ。それだけの価値はあったのか?
純粋に論理的な観点から言えば、否だ。愚かで感情的な決断だった。
だが、得られた2つのレベル、手に入れた新しい称号、そして今、俺の隣に立つこの小さな仲間を考えれば…それほど悪い決断ではなかったのかもしれない。
俺はため息をついた。
「新しいステータスを確認しないと」
【名前】:なし
【種族】:不死鳥
【状態】:雛
【レベル】:5
【HP】:40/40
【マナ】:50/50
【経験値】:45/500
【ステータス】:
筋力:8
生命力:10
敏捷:12
知力:15
魔力:20
【スキル】:
【鑑定 LV 3】
【火の粉 LV 2】
【不死鳥の叫び LV 2】
【隠密 LV 1】
【蘇生 LV 1】
【称号】:
【不屈なる者】
【弱者の守り手】(新規!):自分より弱い仲間を守るために戦う時、全てのステータスが一時的に微増する。
【スキルポイント】:200
全てにおいて、飛躍的な向上だ。
俺のステータスはほぼ倍になった。基本スキルはレベル2に上がり、驚くほど有用な新しい称号と、投資すべき200のスキルポイントも手に入れた。
だが、何よりも重要だったのは、別のものがあった。
俺は巨大な狼の死骸を見た。これが俺の最初の大きな獲物だ。
【鑑定】!
<岩鎧狼の死骸:大量の生命エネルギーを含んでいる。捕食することで経験値とステータスを大幅に増加させることができる。【魔物の核(小)】を含む。>
魔物の核。
これは重要そうだ。
ためらうことなく、俺は死骸を突き始めた。気分の良いものではなかったが、戦いの後の空腹は本物だった。
数分間の骨の折れる作業の後、俺は探していたものを見つけた。
胡桃ほどの大きさの小さな結晶が、狼の胸の中で淡い灰色の光を放って脈打っていた。
俺はそれをくちばしで取り出した。
【鑑定】!
<岩鎧狼の核(小):魔物のエネルギーの真髄。吸収することでステータスを恒久的に上昇させることができる。>
ステータスの恒久的な上昇。
これこそ大当たりだ。
俺はくちばしに咥えた結晶を見て、それから好奇心に満ちた目で俺を見つめる雪鴉の雛に目をやった。
こいつは俺を助けてくれた。こいつがいなければ、俺は文字通り、今頃死んでいた。
俺は不意に決心すると、くちばしで核を二つに割った。
硬かったが、なんとか割れた。俺は半分をそいつの方へ押しやった。
そいつは半分を見て、それから俺を見て、首を傾げた。
「キュ?」
俺は頷いた。「食え。お前の分だ」
そいつは一瞬ためらったが、やがて核の半分を突き始めた。
そして俺も、同じことをした。
自分の分の半分を飲み込んだ瞬間、エネルギーの爆発が体を駆け巡るのを感じた。
《魔物の核の半分を吸収しました。》
《筋力+1》
《生命力+2》
《雪鴉の雛が経験値を獲得。レベルが2に上がりました。》
《雪鴉の雛がスキル【痛み耐性 LV 1】を獲得しました。》
俺たちは見つめ合った。もはや、ただの絶望的な生存者ではなかった。
俺たちは、チームになったのだ。
そして、血と死の匂いが充満するこの洞窟は、俺たちの最初の作戦基地となった。
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