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002 ゲームのシステムと迷惑な隣人 ①

永遠にも感じられたが、実際には数時間も経っていなかっただろう。俺は夢中で鑑定と捕食のループを繰り返していた。


巣の中にあるものは、少なくとも二回は鑑定した。


俺の卵の殻は完全に消え、光る苔もなくなった。古いグリフォンの羽根さえかじってみたが、鋼のように硬かった。


<グリフォンの羽根>:成体のグリフォンの翼から抜けた羽根。硬く、頑丈。低レベルの生物には消化不可能。


「低レベル、ねぇ?ご丁寧にどうも、システムさんよ」


だが、このレベル上げ作業は無駄ではなかった。確かな成果が出ている。


【名前:なし】

【種族:フェニックス】

【状態:雛】

【レベル:LV 1】

【HP:15/15】

【MP:20/20】

【経験値:45/100】


【スキル】


【鑑定 LV 2】:対象を鑑定し、基本的な説明を表示する。鑑定速度がわずかに上昇。


【火花 LV 1】


【フェニックスの叫び LV 1】


【蘇生 LV 1】


【スキルポイント:0】


【備考:【蘇生】スキル発動時、HPが半分の状態で復活する。

しかし、この欠損はモンスターを倒すことで補うことができ、通称「報酬倍加システム」が発動する。これにより、獲得するステータスポイントが二倍になる。このシステムはHPが全快するまで継続し、全快した時点で自動的に解除される。】


システムウィンドウのその備考を読んで、俺はぞっとした。


「不気味なほど面白いな。この情報はマジで役に立つ」


とはいえ、それに頼るのはごめんだ。メリットがあろうとなかろうと、死ぬという考え自体が怖い。


とにかく、【鑑定】をレベルアップさせた!大して変わってはいないが、説明文にある「わずかに」という言葉が、俺に一筋の希望を与えてくれた。


そして何より、あと55経験値でレベル2に到達する。


レベル2になったらどうなる?もっと強くなるのか?速くなるのか?新しいスキルが手に入るのか?それとも、今度は何か役に立つものを取得できるスキルポイントがもらえるのか?


考えるだけで、興奮でめまいがしそうだ。

これこそ、俺がよく知る中毒症状。数字が上がり、プログレスバーが満たされていく…俺はこれのために生きてきた。


だが、根本的な問題に気づいた時、俺の興奮は急速にしぼんでいった。

食料が尽きた。

巣は今や完全にきれいだ。他に食べられるものは何もない。そして再び、空腹が胃を刺すように痛み始めた。


俺は巣の縁から恐る恐る下を覗き込んだ。眼下に広がる広大な虚空に、めまいがする。

他の浮遊岩は遠すぎて、俺の頼りない翼では到底届かない。


そもそも飛べるわけでもないしな。後でどうにかして練習するかもしれないが。


つまり、俺はここに閉じ込められている。俺だけの小さな岩の島の囚人だ。


「これからどうする?親が餌を持ってくるのを待つか?」


一度も見たことのない、しかもおやつ代わりに自分の子供を食うかもしれない巨大なモンスターである可能性のある親に頼るという考えは、全く気休めにならなかった。

いや、誰にも頼れない。自分で方法を見つけなければ。


絶望的な考えに沈んでいると、音が聞こえた。

カリカリという、引っ掻く音。

巣の…下からだ。


俺はその場で凍りつき、息を殺した。音は繰り返され、今度はもっと近い。

カリカリ…カリカリ…そして、何かが岩を登ってくるような、かすかなパキパキという音。


俺の小さな心臓が、狂ったように鼓動し始めた。

グリフォンか?戻ってきたのか?

いや、音はずっと軽い。もっと小さい何かだ。


俺はゆっくりと巣の縁まで這っていき、下を覗いた。

何かが岩の側面を登っていた。家猫ほどの大きさの灰色の生き物で、六本の細い昆虫のような脚、光沢のある甲殻、そして絶えず動く一対の鋭い顎を持っていた。


【鑑定】!


<岩齧りトカゲ>

【レベル:LV 3】

【下層世界に広く生息するモンスター。鉱物や岩苔を食べる。脅威を感じるか、空腹時に攻撃的になる。】


レベル3!俺より強い!

そして、説明文の最後の部分が、俺の血を凍らせた。「…空腹時に」


こいつは景色を見に来たわけじゃない。俺の卵か苔の匂いを嗅ぎつけて、調査に来たんだ。


俺は急いで巣の中央に戻り、できるだけ静かにしようと努めた。

もし俺を見つけなければ、岩でも食って去ってくれるかもしれない。

そうだ、いい計画だ。隠れて待つ作戦。俺はそれが得意だ。


だがもちろん、事態はそう簡単にはいかない。


数瞬後、灰色のトカゲの頭が巣の縁から現れた。その小さく、表情のない黒い目が、辺りを見渡す。

そして、すぐに…俺の上で止まった。


一瞬、俺たちは二人とも固まった。

俺は恐怖で、向こうはおそらく驚きで。そして、その生き物は低い威嚇音を発し、針のように鋭い歯の列を剥き出しにした。


【岩齧りトカゲの状態:空腹、敵対的。】

ありがとうよ、システム。言われなくても分かってるっつーの!


逃げ場はない。巣は狭すぎるし、隠れるのはもはや選択肢にない。戦うか、食われるかだ。


戦う。歩くのもやっとの鳥の雛である俺が、レベル3の装甲モンスターと。勝ち目は薄い。


でも待てよ…俺にはスキルがある。まだ使っていない。もしかしたら…もしかしたら、何かできるかもしれない。


トカゲは飛びかかる準備をして、わずかに身を引いた。

その瞬間、俺の脳はかつてない速さで回転した。

プランA:【フェニックスの叫び】。混乱させて逃げる。

プランB:【火花】。顔を狙って撃つ。

プランC:死んで【蘇生】を使う。


プランCは奇妙なほど魅力的だったが、恐ろしい。それを使う心の準備ができるまでは、最後の手段であるべきだ。


となると、プランAかBか。叫び声はもっと大きなモンスターの注意を引くかもしれない。残された選択肢は一つだ。


トカゲが跳んだ。


その瞬間、俺は小さなくちばしを開け、胸に集まるのを感じたマナのすべてを集中させた。


【火花】!


さくらんぼ大の小さな火の玉が、俺の口から飛び出した。それはみすぼらしく、かろうじて暖かい程度だった。あまりにゆっくりと空中を飛び、目標に届く前に落ちてしまいそうに見えた。


だが、そうはならなかった。

それは跳躍中のトカゲの顔面に、まっすぐ命中した。


プスッ!


爆発ではなかった。水でマッチの火を消すような音だ。だが、それで十分だった。

トカゲは甲高い苦痛の叫びを上げ、本能的に後ずさった。その小さな目は黒い煤で覆われていた。一時的に目が見えなくなったんだ!


【岩齧りトカゲに命中。HPを2喪失。】

【スキル『火花 LV 1』の熟練度が上昇しました。】


やった!ダメージを与えた!

だが、喜びも束の間。トカゲは今や怒り狂っていた。前脚で顔を引っ掻き、激しく威嚇音を立てている。


俺はこのチャンスを逃さなかった。

【火花】!【火花】!


さらに二つの火の玉を放った。一つは外れ、もう一つは甲殻に当たったが傷一つつけられなかった。俺のMPは急速に減っていく。


【MP:5/20】


これはまずい。

煤を目から拭い去ったトカゲは、純粋な怒りを込めて俺を睨みつけた。もはや慎重ではない。完全にキレている。


再び、今度はもっと速く飛びかかってきた。

別のスキルを使う時間はなかった。俺ができたのは、本能的に横に跳ぶことだけ。

だが、俺は遅すぎた。

その鋭い顎が、俺の頼りない翼の一つに食らいついた。


焼けるような、本物の激痛が、俺の体を駆け巡った。

俺は叫んだ。今度はくぐもった鳴き声じゃない。痛みと恐怖に満ちた、本物の悲鳴だった。


【【フェニックスの叫び LV 1】が自動発動しました。】

【スキル『フェニックスの叫び LV 1』の熟練度が上昇しました。】


甲高い音波が俺から放たれた。トカゲは突然の音に一瞬硬直し、翼を噛む牙をわずかに緩めた。

それがチャンスだった。

ありったけの力で、俺は小さなくちばしでその目をまっすぐ突いた。


強力な攻撃ではなかったが、正確だった。

トカゲは今度こそ本物の苦痛の叫びを上げ、後ずさり、俺の翼から血を流させた。


【クリティカルダメージ!岩齧りトカゲはHPを10喪失。】

【岩齧りトカゲの状態:負傷、恐慌。】


やった。本当にダメージを与えた。

だが、俺もまた負傷していた。翼は引き裂かれ、痛みは耐え難い。


【HP:6/15】


トカゲは俺を見て、それから背後の虚空を見た。一瞬、考えているように見えた。そして、決断した。

反撃してくる獲物との戦いは、割に合わない。

素早く向きを変え、岩を降り始め、視界から消えた。


俺は…生き延びた。

俺の小さな体は巣の床に崩れ落ち、痛みと疲労で喘いだ。

勝った。初めての戦いで、俺は勝ったんだ。


その時、頭の中に新しい通知が現れた。その通知は、一瞬、俺に痛みを忘れさせた。


【条件を満たしました。称号【不屈の者】を獲得しました。】

【称号効果:モンスターに対するダメージがわずかに増加。】

【経験値を100獲得しました。】


【レベルが2に上がりました。】

お読みいただきありがとうございます。


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