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アップルティー
「がぶっ!」
そんな掛け声と共に、ミザールはこぐまの皮膚に牙を突き立てる。そこから少しばかり血が溢れだし、かなり痛いと思うが、こぐまは微笑みを絶やさない。乳飲み子にするように、彼女の背中をそっと撫でた。
「美味しいかい?」
「ふん! ふんふんっ!」
ミザールの赤い瞳には怒りが宿っているが、その小さな手は必死にこぐまの背中を掴んでいた。
ごくごくごく。
ミザールの喉はしきりに動く。明らかに血を飲んでいた。
ミザール・シェフィールド。
彼女は吸血鬼。
魔法使いを名乗る星影家が囲う、美しき人外の存在。──ただいま怒りながら、元気に血液補給中だ。
「ガゼボでアフタヌーンティーの用意をしてもらったから、飲み終わったらそこに行こう。今日のはね、はちみつアップルティーだよ」
「──アップル!」
一息に牙を引き抜き、興奮した様子でミザールは叫ぶ。彼女はアップルティーが大好きなのだ。
「こぐま!早く行きましょう!」
「分かった分かった」