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後任
魔法使いがいなくなってしまったことにより、星影こぐまの後任は速やかに選出された。
星影美空。
星影分家の中でも上位にある家の一つ、その末娘。
魔法の才能が他の兄弟姉妹よりも優れているものの、当主が愛人との間に作った娘であり、その立場故に実力をなかなか認められなかったが、このたび後任として、ミザールのいる屋敷へと迎えられた。
使用人達は誰しも温かく歓迎し、実家との違いに少し泣きそうになりながら、美空はこの屋敷に囲われる──これから守護していくことになる吸血鬼と引き合わされる。
案内された部屋のソファー、そこに深々と座る青年吸血鬼と、そんな彼にだっこされている、不機嫌そうな少女吸血鬼。執事は彼らを紹介してくれた。
「こちらがミザール・シェフィールド。そしてあちらが」
語る執事を手で制し、青年吸血鬼は名を名乗る。
「──ウルサ・シェフィールド。よろしく」
星影こぐま。
その名を持っていた者は、もう、どこにもいない。




