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吸血鬼と吸血鬼
屋敷の使用人を取りまとめる執事。彼が最初に目を覚まし──そして、それを目にした。
主であるこぐまを起こしに、彼の部屋へ向かう途中、ふと、窓から庭の様子を眺めた。
見事な白薔薇が咲き誇るその場所で──ミザールが踞っている。
いつの間に庭に、と焦りながら、執事が庭に向かえば、そこで初めて気付く。庭には、二体の吸血鬼がいたことを。
「おはよう」
両手に抱えるほどの白薔薇と共に、もう一体の吸血鬼は──星影こぐまだった者は現れた。
黒い寝巻き姿に、左目を隠すように伸ばした髪型。それらは変わらないのに、純白の髪が、深紅の瞳が、そこにいるのは吸血鬼だと訴えてくる。
「こぐま、さま」
名を呼ばれ、こぐまだった者は首を横に振った。
「僕はもう、星影こぐまじゃない。シェフィールドの吸血鬼として生まれ変わったんだ。ミザールに新しい名前をもらわないと」
ミザールは踞り、嗚咽と共に涙を溢している。
「ゆ、ゆるして。こんなつもりじゃ……」




