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もはや遅い後悔
ひどく傷付いたような顔をして、こぐまにしがみついてきた。
「吐いて! 今ならまだ魔法が使えるはず! 早く吐いて!」
「そんなことしないよ。せっかく君が──僕を吸血鬼にしてくれるっていうのに」
こぐまが飲まされたのは、ミザールの血だった。
吸血鬼が人間を吸血鬼にする方法。
それは、人間が吸血鬼の血を飲むことで、変化する。
吸血鬼と魔法使いの間では、よく知られた方法だ。
「こぐま! ……なっ!」
必死に呼び掛けてくるミザールを、こぐまは強く抱き締める。
うっすらと汗をかきながら、ほんのりと苦しそうな声で、こぐまはミザールに告げた。
「君がそう、望むなら、僕は何でも……受け入れ……」
「こぐま! ……誰か! 誰か来て! 誰か!」
ミザールの声は、夜の森の中に吸い込まれ、誰の耳にも届かない。そうしている間に──こぐまの変化は始まった。
黒々とした髪は、毛先からゆっくりと白く染まっていく。
「やだ、こぐま……ごめんなさい、ごめんなさい!」




