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軽はずみな覚悟
「……最後に、もう一回訊くわ。こぐまは、私の意思を無視して、まだ、私を外に連れていこうとするの?」
「僕は、君が認めない君の意思を尊重する為に、君を外に連れ出したいんだ」
「……分かった」
月を隠していた雲が去っていく。
森は再び、木々の隙間から月光を受け入れ、こぐまはミザールの顔を目にする。
笑っていた。
人形のように、美しく整った笑みだった。
「こぐま、魔法を解いて。私、自分の足で森を歩きたいの」
「やっと認めてくれたのかい?」
ミザールが頷けば、こぐまは満面の笑みを浮かべ──すぐに魔法を解除した。動けるようになったミザールは、まずは手をグーパーと開いて、足を片方ずつ回す。そして真っ直ぐに、こぐまを見つめた。
「こぐまは、私の一番の理解者。いつだって私の味方。私に尽くし、私の傍にいてくれる」
「死ぬまでそうするつもりだよ」
「……そう、死ぬまで、ね」
笑み。
こぐまの目は、確かに、彼女の笑みを見つめていたが──。




