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黒き魔法使い
愛らしき白雪姫。
はしゃぐゴールデンレトリバーのリードを離さないよう必死に掴み、少しばかり引きずられるようにしてその後をついていく。
そんな様子を微笑みを浮かべながらついてくるのは、真っ黒な青年。
癖の付いた髪は黒く、肩に届くほどの長さをし、何か理由があるのか、左目を隠すように前髪を伸ばしている。
黒いワイシャツは細い身体にぴったり貼り付き、無地のベストもスラックスも、靴ですらも、どこもかしこも黒い色。
星影こぐま。
星影家の黒き魔法使い。
白雪姫を囲い守護することが役目だが、えらく興奮するオリバーを落ち着かせたりはしない。オリバーの好きにさせ、ミザールを困らせる。
「こぐま!」
約束の薔薇園に着くと、屋敷の使用人がやってきて、オリバーのリードを受け取り、彼と共にいなくなる。ミザールはこぐまを睨み付けると──勢い良く彼に抱き着いた。
「もう! もう! もう!」
そして、その愛らしき唇を、彼の首筋に近付けるのだった。