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本音?
なんだ、それは。
こぐまの言葉が何度もミザールの頭の中で回る。回って、回って、気付いた時には──彼の身体にしがみつき、その首筋に牙を埋めていた。
「……んんっ」
「はっ……!」
いつもはこれくらい、これくらいしか飲まない。
そんな決めごとはミザールの頭から消え、やがてはこぐまの身体を押し倒していた。彼はされるがままだ。
それが、吸血鬼を囲う魔法使いの宿命だから。
「……シェフィールドの吸血鬼は」
牙を引き抜き、ミザールは告げた。
「──私は! どこにも行きたくない! ここであなた達と一緒にいるの! ずっとそうやって繰り返してきたんだから!」
「僕はそんなの、い」
やだ。そう返したかったこぐまの声を、再び牙を突き立てることでミザールは遮る。
そして、
「ずっと一緒にいて! それが私の望みよ! ……外の世界は楽しくないわ。疲れるのよ、体力の面でも、気持ちの面でも、とっても、疲れる……」
吸血をやめると、静かにこぐまにしがみついた。




