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外の世界を知る者、外の世界を見つめる者
「……お前ってさ、あたしに何か期待してるのか?」
「……っ」
別にそんなことは。
そう口にすべき場面だというのに、こぐまは何も言えずに、静かにエイプリルを見つめ返した。
「いつもお前があたしに向けてくる視線には、ありったけの懇願が含まれている。大方、ミザールの……引きこもりのシェフィールドのことだろう?」
「……」
「あいつもあいつで、あたしの話をキラキラした目で聞いてくるくせに、これまで一度も外に連れ出してほしいと言ったことはなかった。一度もだぜ? 十年二十年の付き合いでないにも関わらず」
「……僕にも、言ってくれません」
エイプリルは鼻を鳴らし、疲れたような顔をして、こぐまから視線を逸らす。
「あいつは絶対に言わない。あたしが来なくなっても、お前が死んで、別の魔法使いの比護下にあっても、絶対に口が裂けても言わないだろうぜ。──外の世界に出てみたいだなんて」
「……」
「あたしに期待すんな、自分でどうにかしな」




