21/38
いつまでも貴方は
ミザールはエイプリルに任せ、こぐまは料理長と共に、美味しいアップルパイの店がある国へと、魔法で移動した。そして、店の従業員を一人捕まえると人気のない場所に連れ込み、魔法を用いて料理長にアップルパイの作り方を伝授させる。
材料にその国で作られている林檎が必要だそうで、そちらも購入する必要があった。ミザールが求めれば、何度もこの国を訪れることになるだろう。
──本当は。
必死にメモする料理長の横で、こぐまは俯きながら思案する。
──本当は、ミザールを直接この国に連れてきたい。
吹く風には林檎の甘いにおいが含まれている、気がする。この地を彼女はきっと気に入るはずだ。
彼女が願えば、こぐまは喜んで連れ出すというのに。
ふいに肩を叩かれる。
料理長だ。
「こぐま坊っちゃま。ついでに、林檎ゼリーやムースケーキのレシピも教わりましたよ」
朗らかな笑みを浮かべる料理長に、苦笑混じりにこぐまは言う。
「坊っちゃまはやめてくれよ」




