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本当の気持ちは?
「飽きるって感情が分からない」
「はっ」
ミザールの返答を、エイプリルは笑い飛ばし、
「染まりまくってんな、シェフィールドの吸血鬼」
どこか嘲るようにそう口にした。言われたミザールは特に気にすることもなく、用意された紅茶を口に運ぶ。
穏やかじゃないのは、こぐまの方だ。
ミザールが外に出ようとしないことを、こぐまはどうにも許せなかった。
庭の花の手入れを業者に任せ、オリバーを家族に加え、ミザールが外に興味を持たせるように仕向けてきた。
品がないだのと言いながら、何度も何度もエイプリルの訪問を受け入れ、もてなし、次も来るように伝えている。
彼女は気付いていないのか。
時折じっと、窓の外の景色を見ていることを。
本当は外の世界に興味があるくせに、ミザールは積極的に外へ出ようとしない。だって彼女は──シェフィールドの吸血鬼。
外へ出ることは許されない、魔法使いに囲われた吸血鬼なのだから。そのように諦めてしまっているから。




