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第45話 すれ違い

「どこから話せばいいのか」


 ジュールは、少し考えるように下を向くと、少しずつ事の経緯を話し始めた。


「実は、あれから国王様と王妃様……君のお父上とお母上がますますフランクのことを気に入ってしまってな。すぐにでも娘を嫁にやりたい、などと言い出して……。抵抗する暇もなく話がどんどん進んでしまったんだ」


「お父様とお母様らしいわね……」


「それから、フランクとの結婚を後押ししている人がいるのも、もう一つの理由だ」


「後押ししている人?」


 事もあろうに、フランクとの結婚を後押しする人がいるなんて……。


「君のお姉さんだ」


「へ?」


 お姉様!? 

 思ってもみなかった言葉が返ってきてポカンとしてしまったが、先日シヤン王国で散歩に出掛ける前のことを思い出して私は頭を抱えた。

あの時、姉のエステルがにこにこしながら言った言葉。


 (「でも、とりあえずお散歩に二人で行ってきたらいいんじゃない? ね、フランク様?」)


 嗚呼……エステルお姉様。

恋愛小説好きが高じて、妹に好意を持っているフランクを煽ったのね。


「エステル様は、フランクにいろいろとアドバイスをしているらしいんだが、それと同時に俺にもフランクとの結婚を進めてくる。正直、圧倒されっぱなしだ」


「なんとなくその場が想像出来るわ。エステルお姉様、本当に恋愛話が大好きなんですもの」


「エステル様の部屋にある恋愛小説の数を見れば納得だな。それと……」


 ジュールは、何かを躊躇するように黙り込んでしまった。


「どうしたの? 何か言えないことがあるの?」


「いや……君が気分を害したら申し訳ないと思ってな」


「私は何を言われても大丈夫。だから、全部話して欲しいの」


 フランクとの結婚を阻止するためにも、ありとあらゆる情報を知っておかなくてはならない。

私がジュールをじっと見つめると、ジュールは観念したように重い口を開いた。


「これはエステル様が言っていたことなんだが……。ジュール王子が……君が、俺に好意を持っている、と。ずっと君の様子を見ていたから間違いないと自信満々だった」


「え……」


 まさか、お姉様に全部バレている?

ううん。ジュール王子と入れ替わっていることには気づいていないはず。

もしかしてお姉様、私たち三人の関係を楽しんでる!?

どれだけ変愛脳なの! 冗談じゃないわ!

こうなったら、私の本当の気持ちをジュール王子に言ってしまおう。


「すまない。やはり、君の気分を害してしまったようだ。この話は忘れてくれ」


 黙り込んでしまった私を見て、ジュールは申し訳なさそうに頭を下げた。

私は頭を横に振ると、意を決してジュールに告白しようと彼の目を見つめた。


「全然気分を害していないから安心して。あのね、実は私、本当にジュール王子のことがす、好き……」


「おーい! ロザリー姫? そちらにいますか?」


 最後の「好き」という言葉をかき消すように、フランクの声が辺りに響き渡った。

ジュールは、はっとしてそちらに目をやると見つからないように小さな声で私に囁いた。


「これ以上、ここにいるわけにはいかない。君も見つからないように城に戻れ、いいな?」


「でも……」


「いいから、早く行け。ここは俺に任せろ」


 ジュールは、くるりと踵を返すとフランクのいるほうへ戻っていった。


 (またすれ違い……)


私は、ジュールの後ろ姿を寂しい気持ちで見送るしかなかった。

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