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第41話 三人で散歩!?

 散歩をするジュールとフランクの後ろから、少し距離を空けてその様子を心配そうに見守る私……。


「なんでお前がついてくるんだ?」


 とても不服そうにそう言ったフランクをなだめ、二人の邪魔はしないという約束で私は散歩に同行している。

シヤン王国の街を、散歩がてら案内してほしいというフランクの要望に応えなくてはいけないが、ジュールはまだシヤン王国のことをそれほど知らないだろう。

何かおかしな展開になる前に、私がフォローしなくちゃ!

気合も十分に、私はなるべく二人の会話が聞き取れる距離まで近づいて聞き耳を立てた。


「ロザリー姫は博識でいらっしゃるのですね。とても勉強になります」


「私の話などつまらなくて眠くなるのではありませんか?」


「とんでもない。私もこれからはもっといろいろな知識を身につけ、騎士団を引っ張っていくつもりです」

 

 普段からフランクのことを知りつくしているジュールは、自分を見て爽やかに微笑むフランクに引いているようだ。

きっと、すごく難しい話をしてフランクから嫌われようとしているのに、それが全く伝わっていないのだと思う。

先行きが不安で、私は頭を軽く押さえた。

すると、またフランクの声が聞こえてくる。


「ロザリー姫、少し休憩をしませんか? この辺りに良い店があるといいのですが……」


 キョロキョロと辺りを見回すフランクに、ジュールはどう答えればいいか迷っているようにじっと顎に手を当てて考え込んでいる。


 (もう! 見ていられないわ!)


 私は、白白しい態度で二人の近くに歩いていき、何かを考えるフリをした。


「あー。どこかで休憩するか……あ、そういえばあの角を曲がったところにあるカフェ。この間、雑誌の記事で見かけた気がする。確か、期間限定のスイーツがあるとか」


 私が独り言のようにそうつぶやいているのを聞いたフランクは、ジュールに少し待っていてください、と言いながら私のほうにやってきた。


「おい、ジュール。今の話、本当か?」


「ん? カフェの話か? 本当に決まっているだろう」


「そうか。では、俺とロザリー姫はそのカフェに行く。お前は後から来い」


 良いことを聞いたと嬉しそうに戻っていくフランクの後ろ姿を、私は複雑な気持ちで見つめた。


 (私、何やってるんだろう……。これじゃ、二人をくっつけようとしているだけじゃない)


 笑顔でスイーツの説明をしながら、ジュールをカフェに連れて行くフランクに嫉妬心を覚える。


 (城に戻ろう……)


 途端に自分が惨めに思えてきて、私は二人がカフェに入るのを確認すると、足早にその場を後にした。


***


「こんなところにいたのか?」


 城の裏庭のベンチに座っていた私の後ろから、聞き慣れた声が聞こえた。

振り向くと、そこには少し怒ったような顔のジュールが立っていた。


「あ、おかえりなさい……。散歩は終わったんですか?」


「ああ。ずっとフランクに微笑まれていて散々な散歩だった。途中で急に君がいなくなったから心配したんだぞ」


 私の横に座ると、ジュールはひどく疲れたように、うーんと背伸びをした。


「ごめんなさい。なんか、うまく言えないんですけど虚しくなってしまって……」


「君は心配するな。フランクがロザリー姫を諦めるように俺がなんとかするから」


 そうじゃない。私の気持ちは……。

ジュールと話していると胸が苦しくなってつい口から本当の気持ちが出てしまいそうになる。

でも、この気持ちは自分の中にしまっておかなくてはいけない。

明日の朝には、私は騎士団の団長としてミア王国に戻る。

それまでは、こうして何も考えずにジュールの隣にいさせてほしいと心から願った。

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