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第39話 散歩のお誘い

 城に戻ったジュールは、心配しながら待っていた国王や王妃、そして二人の姉たちに迎えられていた。


「ロザリー、無事で良かった。全く、一人で盗賊団のアジトに潜入するなんて何かあったらどうするんだ?」


「そうよ。クッキーが知らせに来てくれたのと、ミア王国の騎士団のおかげよ。今後は絶対にこんなことはしないでちょうだい」


 心配するあまり、若干怒っている国王と、今にも泣き出しそうな王妃。

ジュールは、そんな二人を見て少しやり過ぎてしまったなと申し訳ない気持ちになっていた。


「申し訳ありません。今後はこんな無茶は致しません」


 頭を下げるジュールを見て、一番上の姉、ブリジットがその場を明るくするように微笑んだ。


「あら、でも私は記憶喪失になる前のロザリーがやりそうなことだって思ったわよ? 最近のロザリーは真面目すぎて全く隙がない優等生なんだもの」


 ブリジットに賛同するように、二番目の姉、エステルも楽しそうに笑った。


「本当ね。だんだん記憶が戻ってきたんじゃなくて? ねえ、聞いたわよ。騎士団の副団長が投げた剣をぱっと掴んで盗賊と対峙したんでしょう? 私も見たかったわぁ」


 姉たちの嬉々とした笑顔に囲まれ、ジュールは圧倒されつつも、こんなにもロザリーは家族から愛されているのだなと実感した。

ジュールがロザリーの家族の温かさに触れている中、ミア王国の騎士団が城に戻ってきたとメイドのクララが伝えにきた。


「歓迎の宴の準備は整っているか?」


「はい。すでに出来ております」


「では、団長のジュール王子と副団長のフランクくんは我々と食卓を囲んでもらおう。その他の団員たちは大広間で存分に食事を楽しんでもらいたい」


 国王はクララにそう言うと、すでに怒りは消えたようでニコニコしながら騎士団を出迎えるために部屋を出ていく。

それに続いて王妃、姉たち、そしてジュールもその後に続いた。


***


 私とフランクは、シヤン王国の王族たち……すなわち私の両親と姉たちと一緒に食卓を囲んでいた。

久しぶりに会う家族の姿に、私の涙腺が緩んで今にも泣きそうになってしまう。

しかし、自分は今、ミア王国のジュール王子として冷静に振る舞わなくてはいけない。

鉄仮面になりきらなければ……。


「ジュール王子。この度はうちの娘を助けてくれてありがとう。感謝してもしきれないほどだよ」


 懐かしい国王の声に、一瞬自分がジュールになっていることを忘れかけてしまう。

少しの間の後、ビクッと肩が揺れたがそれを隠すように咳払いをし、私は鉄仮面になりきって答えた。


「いえ。こちらも盗賊団の追跡を許可していただき感謝しています。ロザリー姫の勇敢な行動にも頭が下がる思いです」


 チラッとジュールを覗き見ると、ジュールは笑いを堪えるように下を向いている。

私は、恨めしそうにジュールを睨んだ。


 (今度、逆の立場にしてあげるから覚えてなさいよ〜)


 その後、和やかに食事は進んでいき、食後の紅茶を楽しんでいる時。

私の家族とすっかり仲良くなってしまったフランクが、静かに紅茶を飲んでいるジュールに声をかけた。


「あの、ロザリー姫。よろしければこの後、散歩にでも行きませんか?」


 (!? は?)


 私が紅茶を飲む手を止めて、思わずジュールのほうを見ると、ジュールも私と同じようにびっくりした顔で私を見つめた。

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