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第35話 囚われの姫

 盗賊団のアジトに潜入したジュールは、親方と呼ばれる盗賊団のリーダーとその手下であるコロンブの会話を聞くために身を潜めていた。

その時、ジュールの背後から誰かの手が静かに伸びていることにジュールは気づいていなかった。


「んんっ!!」


 眠り薬を染み込ませたハンカチで口を塞がれたジュールは、咄嗟に相手の顔を確認したがそれも束の間、すぐに気を失いその場に倒れた。


「何事だ?」


 物音を聞きつけ、部屋の中から盗賊団のリーダーとコロンブが不審そうに出てくると、ジュールの口をハンカチで塞いで眠らせた男が眉間に皺を寄せながらその場に倒れているジュールを上から見下ろしていた。


「なんだ、宝石商のバルブさんじゃねーか。どうしたんだ? ん? この女は誰なんだ?」


「ネズミですよ。どこから嗅ぎつけたのか。ここが公になる前にアジトを変えたほうが良さそうです」


 盗賊団のリーダーの問いかけに、宝石商のバルブは顔をしかめて答えると、はっとしたように倒れているジュールの顔を確認した。


「これは……ロザリー姫ではないですか!

なぜ、ロザリー姫がこんなところに……」


 バルブが驚いたように叫ぶと、盗賊団のリーダーとコロンブもジュールの顔を覗き込んだ。


「あ! こいつ、俺が盗みに入った茶屋の近くを犬と散歩してた奴だ! もしかして、俺の後をついて来ていたのか?」


 コロンブが散歩をしていたジュールとクッキーを思い出してそう言うと、バルブは焦ったように建物の外を見回した。


「な、なんですって? その犬はどこですか? ここが王室の者にわかってしまったら私たちは牢獄行きですよ!」


「そいつは困る。よし、俺たちが逃げ延びるまでこの姫を人質にしよう」


 盗賊団のリーダーは、眠っているジュールを柱にもたれ掛かるように座らせると、ジュールが逃げられないように何重にも縄で縛りつけた。


***


「う、う〜ん。頭がくらくらするな……。ここはどこだ? くっ、縛られているのか」


 目を覚ましたジュールは、自分の身体が柱に縛りつけられていて身動きが取れないことに気づいた。

ぼーっとする頭で辺りをしばらく眺めていると、ジュールはだんだんとここに来た時のことを思い出していた。


「そういえば、盗賊団の会話を聞いていた時にハンカチで口を塞がれてそこから何も覚えていない……しかし、俺が振り返った時に見た男のことははっきりと覚えているぞ」


 身なりのいい格好をし、指には高価な指輪を何個もはめていた。

あの男は盗賊団の一員ではなく、宝石商なのだろう。

メレーヌの屋敷に出入りし、安物の宝石を高額な値段で売りつけた男に違いない。


「俺としたことが、こんなところで捕まるとは不覚だった。クッキーが城にちゃんと戻って応援を呼んできてくれればいいんだが……」


 ジュールがクッキーに思いを馳せていると、コツコツと足音が響いて誰かがこちらに近づいてきた。


「目が覚めましたか? ロザリー姫?」


 笑みを浮かべながら、ゆっくり近づいてきたのは、宝石商のバルブだった。

ジュールは、バルブから目を逸らさずにはっきりとした声で言った。


「お前は、宝石商にも拘わらず安い宝石を貴族に高額な値段で売っているのだろう? 全てお見通しだ!」


「おやおや、元気のいいお姫様だ。自分が今どういう状況かわかっていないのですか?」


「もうすぐここに城の者たちが来る。こんなことをしてお前たちの罪はさらに重くなるだろう。覚悟するんだな」


 ジュールがそう言ってバルブを睨むと、バルブは心底楽しそうに笑い出した。


「ふふふ。大丈夫ですよ。いつまでもここに留まるつもりはございません。私たちが無事に逃げ切るまで貴方様にも人質として私たちに同行していただきますしね」


 バルブがそう言うと、その後ろから剣を肩に担いだ盗賊団のリーダーとコロンブがジュールの前に現れた。

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