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第27話 メレーヌのお茶会②

 ある昼下がり、シヤン王国。

グロンダン公爵家の当主グロンダン公爵とその娘であるメレーヌは、屋敷に出入りしている宝石商の男が持ってきた宝石の数々を手に取りながら談笑していた。


「まあ、これなんて素敵じゃなくて? お父様」


 メレーヌが緑色に光るエメラルドを手に取ると、宝石商の男は満面の笑みを浮かべた。


「メレーヌ様、さすがお目が高い! こちらは最近ミア王国から入ってきた一点物のエメラルドです」


「ほう。さすがは私の娘だ。多くの宝石の中からこのエメラルドを選ぶとは。やるではないか、メレーヌ」


 グロンダン公爵と宝石商の男に褒められ、メレーヌは上機嫌で他の宝石にも念入りに目を向けた。

その時、ふと脳裏にあることを思いついた。


 (そうだわ。ロザリー様はきっと宝石には詳しくないはず。この間のお返しをして差し上げないと……。私に恥をかかせた事を後悔させてあげますわ!)


 先日、お茶会で提供したミア王国王宮御用達の紅茶が偽物であるとロザリーに指摘され、招待した他の客たちの前でメレーヌは大恥をかかされた。

その仕返しに、次はロザリーに恥をかかせようとメレーヌは考えたのだった。


「ふ、ふふふ……」


 ロザリーの困り果てた顔が見れると思うと、思わず笑みがこぼれる。

メレーヌは、その時を楽しみにうきうきとしながらまた宝石を選び始めた。


***


「まあ! どれも素晴らしい宝石ばかりですわね!」


「さすがはメレーヌ様がお選びになられた宝石の数々! 素敵ですわ!」


 メレーヌの屋敷では、メレーヌの取り巻きたちがたくさんの宝石を前に感嘆の声をあげている。

ジュールは、メレーヌからまたお茶会に招待されていた。

先日のこともあり丁重に断りを入れたが、見せたい物があるのでどうしても来て欲しいというメレーヌの申し出に渋々今回もお茶会に参加したのだ。

屋敷に到着するや否や、ジュールは屋敷の中でも一番豪華であろう部屋に案内された。

すると、部屋の真ん中に置かれたガラスのテーブルの上にたくさんの宝石が並んでいるのが目に入った。


「皆様、今日はよくおいでくださいました。実は、先日お父様が新しい宝石を購入したのでぜひ皆様にも見ていただきたくて」


 メレーヌはそう言うと、ご機嫌な様子でジュールのほうを見た。

実は、ここにある宝石はあのミア王国から宝石商に入った一点物のエメラルド以外はそれほど価値が高くない物なのだ。

ジュールがエメラルド以外の宝石に興味を示した時、メレーヌはその事を招待客に明かしてジュールを笑い物にしようとしていた。


「ロザリー様。ロザリー様はこちらの宝石の中で気になるものはございますか?」


 ジュールは、テーブルの上の宝石を一通り見るとそこに緑色に光る宝石があるのを見つけた。


 (これは……エメラルド)


 先日、茶屋の老婆に見せてもらったエメラルドを思い出し、ジュールはそれを興味深く見つめた。


「このエメラルドが気になる」


「えっ……?」


 メレーヌは、まさかこのエメラルドが選ばれるとは思っていなかったため、焦ってしどろもどろになってしまう。


「こ、このエメラルドを、え、選ばれるなんて……。ロザリー様、宝石を見る目もおありなのですか? ほ、ほほほ」


 自分の顔がひきつっているのを扇子で隠しながら、メレーヌはほぼ開き直って高笑いをした。

計画を知っている取り巻きたちは、このメレーヌの様子を固唾を飲んで見守っていた。


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