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第25話 男同士の付き合い方

 (シヤン王国のみんな! クッキー! また会いたかったよー!!!)


 必死に構えた剣を盾にするように、私はギュッと目を閉じてシヤン王国のことを思っていた。

半ば諦めかけたその時、私が構えた剣にコツンと何かがぶつかる軽い音がした。


 (……ん?)


 私は、今なにが起きているのかを確認しようと恐る恐る目を開けた。

すると、私の剣に自分の剣を軽く当ててこちらを見つめているフランクの顔があった。


「う、うわぁ」


 私が思わず変な声を出しながら後ろに下がると、それを見たフランクが、わざと悲しそうなフリをする。


「おいおい。その反応は無いんじゃないか?」


「お前がいきなり斬りかかろうとするからだろう!」


 私がそう抗議すると、フランクはいつものように笑顔になった。


「どうだ? 何か思い出したか?」


「は? 何も思い出さないが……」


「そうか……荒療治でもすりゃあ少しは思い出すかと思ったんだが、ダメだったか。みんな! 協力してくれてありがとな!」


 フランクが団員たちにお礼を言うと、団員たちは少し残念そうにまた鍛錬に戻っていった。


「なっ! お前たち一緒になって俺を騙していたのか?」


「そう怒るなって。みんなお前のことが心配なんだよ」


 フランクによると、私がこのキャンプに参加すると決まってから騎士団全員でこの作戦を立てたのだそうだ。

早く団長に記憶を取り戻して欲しい。

そんなみんなの思いはすごく伝わったけど……。


「みんなの気持ちは感謝するが、寿命が縮まる思いをしたのは確かだ。剣を構えたお前の嬉しそうな顔も忘れないからな、フランク」


 私がそう言って睨むと、フランクはすごく嬉しそうに笑っている。

久しぶりにジュールらしい嫌味が聞けたからだそうだ。


「はぁ……」


 ため息をついて見上げた空は、しだいにオレンジ色に染まっていき草原を優しく包んでいった。



 日が暮れてしまう前に剣の鍛錬を終えた王国騎士団は、麓の村まで戻ってきていた。

今日は、村の宿に泊まるのだ。

初めての体験ばかりで、私はもうくたくたに疲れていた。


 (シャワーを浴びて早く眠りたい……)


 宿で出された豪華な夕食を美味しくいただいた後、私は部屋に戻りシャワーを浴びようと考えていた。


「おい」


 部屋に入りかけた私の肩を、誰かが掴んだ。

何事かと後ろを振り向くと、そこにはフランクが立っている。


「またお前か。今度は何だ?」


「そんな嫌そうな顔するなよ。この宿には温泉があってな。一緒に入ろうと誘いにきてやったんだ」

 

「お、温泉!?」


「ああ。裸の付き合いって言っただろ? 団員たちもみんな待ってる」


 温泉だなんて冗談じゃない。

なにが裸の付き合いよ!

私は、肩に置かれたフランクの手を振り払った。


「俺はいい。お前たちだけで入ってくれ」


「なんだ、恥ずかしいのか? 近頃のお前はやたらと恥ずかしがるな。心配するな。男同士仲良くしようぜ」


 フランクは、拒絶する私を恥ずかしがっていると思っているようだ。

しまいには、私の腕を引っ張るようにして温泉に連れて行くつもりらしい。

その時、揉めている私とフランクの耳に女性の叫び声が聞こえた。


「きゃああああ」


 宿中に響き渡るその声に、私とフランクは顔を見合わせた後、一目散にそちらへ向かった。


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