第24話 野外キャンプ
朝から太陽の日差しが眩しい。
ここは、ミア王国の北東部に位置する山岳地帯。
王国騎士団の面々は、野外キャンプをするため早朝からこの地を訪れていた。
毎年、この時期になると二泊三日で野外キャンプを行なっているが、今年はジュールの体調面を考えて一泊二日で行うことになった。
山の麓の村まで馬で向かい、そこからは徒歩で山の中腹まで移動をする。
普段、山など登らない私にとってこの移動は過酷なものだった。
いくら男性の身体になっているとはいえ、体力がついていかない。
「はあ、はあ、はあ……」
山の中腹の草原に到着すると、私は息苦しさで立っていられず、その場に倒れ込んだ。
「大丈夫か? やっぱりまだ身体が本調子じゃなかったか?」
「す、すまない……少し休めば大丈夫だ……」
息が上がり、返事をするのもやっとの私を見てフランクは草原の上にゴロンと横になった。
「ジュール、お前も寝転べよ」
「はあ?」
「いいから。ほら、空が高くて気持ちがいい眺めだぞ。おーい! お前たちも寝転べ!」
フランクが団員たちに声をかけると、団員たちもみんな笑いながら草原の上に寝転んだ。
私に気を使って、少しの間休憩させてくれるらしい。
そんなフランクに心の中で感謝しながら、私は寝転んで青い空を眺めた。
私の調子も戻り、休憩を終えると、団員たちは早々にその場で剣の鍛錬を始めた。
私は、フランクから渡された剣をそっと触ってみる。
(うっわ、大きい……それに重い)
こんなに近くで騎士の剣を見たのは初めてだった。
三姉妹の三女として育った私は、今までほとんど女性に囲まれて生活していたため、護衛の騎士たちとは特に親しくすることはなかった。
それが身体が入れ替わったことにより、今では男性だらけの、それも騎士だらけの生活。
本当に戸惑うことばかりだ。
「ジュール、久しぶりにどうだ?」
「何がだ?」
「何がって……一戦交えないかってことだが」
団員たちの鍛錬を見守っていたフランクが、私のところに戻ってきて自分の剣を構えた。
「は? おい、やめろ!」
(剣もろくに持てないのに、戦うなんて無理でしょ!!!)
すると、私とフランクの様子を見て団員たちが一人また一人と集まってくる。
みんな、私とフランクの練習試合に興味津々らしい。
「団長と副団長が試合をするらしいぞ!」
「団長の剣さばき、参考にさせていただきます!」
(いやぁ! 集まってこないで〜!)
そんな私の気持ちも知らず、フランクは剣を構えてジリジリと近寄ってくる。
私は、咄嗟に目の前にある剣を掴んだ。
不思議なもので、人間、窮地に追い込まれた時は想像もしないような力を発揮する。
見様見真似で、私はフランクと同じように剣を構えた。
「お、いいねえ。そうこなくちゃな!」
私が剣を構えたことが嬉しかったのか、フランクは満面の笑みで剣を振りかざし、こちらに向かってくる。
(斬られる!!!)
私は、身体が入れ替わったまま人生を終えてしまうのかと悔やみながら、剣だけは離さずにギュッと目を閉じた。




