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第21話 愛される団長

 フランクの後ろをついていくと、とても広い部屋に案内された。

そこでは、何人もの団員たちが剣を交える練習をしていたり、腕立て伏せや腹筋をしながら自分でトレーニングをする団員など、さまざまな人々の姿があった。


「みんな、集まってくれ!」


 部屋に入ったフランクがそう叫ぶと、その場にいた団員たちが一斉にこちらを向いた。

そして私の姿を見ると、みんな嬉しそうに笑顔で私のほうに集まってきた。


「団長!!!」


「お身体はもう大丈夫なのですか? 団長!」


「団長が戻ってこられた!」


 (うわぁぁぁぁ!!!)


 大勢の大柄な騎士である団員たちに囲まれ、私はあたふたしてしまう。

フランクは、揉みくちゃにされている私をニヤニヤしながら眺めている。


「ちょ、おい、や、やめろ……フランク! なんとかしてくれ!」


 私がフランクに助けを求めると、やっとフランクは私を取り囲んでいる団員たちに声をかけた。


「お前たち、団長から離れろ! 少し話しておきたいことがある」


 フランクの言葉に、団員たちは何事かとざわざわした後、静かに私から離れた。

その場が静かになったことを確認すると、フランクは真面目な顔で団員たちを見据えた。


「団長のことなんだが、この通り身体の調子が良くなったため今日こうして王国騎士団に復帰した。しかし、みんなに言っておきたいことがあるんだ。実は、団長は現在、記憶喪失の状態にある」


 記憶喪失と聞いた途端、団員たちが再びざわつき始めた。


「記憶喪失? それは、騎士団のことも俺たちのことも覚えていないということでしょうか?」


 一人の団員がフランクにそう尋ねると、フランクは憂いを帯びた表情をしてうなづいた。


「そんな……」


 周りの団員たちが、一斉に私を見る。

私は、そんなみんなの視線を痛いほど感じたが、ジュールが騎士団のことをすごく気にかけていたのを思い出していた。

ジュールのために、身体が元に戻るまで絶対に騎士団を守っていかなければ……。


「こんなことになってすまない……」


 ジュールのことを考えていると、私の口から自然に言葉が発せられていた。

自分でもびっくりしたが、言葉が後から後から溢れてくる。


「今はまだ記憶が戻らないが、絶対に取り戻してみせる。それまで、こんな俺だがついてきてくれないだろうか……」


 最後は縋るような気持ちで、私は団員たち全員に深々と頭を下げていた。


 (お願い……)


「顔を上げてください、団長!」


「そうですよ! 俺たちは一生団長についていくって騎士団に入った時からそう誓ってるんです」


「団長がいないミア王国騎士団なんて、騎士団じゃないですよ!」


 頭を下げている私の耳に、ジュールに対する激励の声がたくさん届いた。


 (ジュール王子、みんなからすごく愛されているんだな)


 温かい言葉の数々に私がお礼を言おうと頭をあげると、再び団員たちから私に声がかけられた。


「団長、毎年行われている野外キャンプの時期がそろそろ来ます。そこで我々と一緒に剣の鍛錬をして汗を流しませんか? 記憶が戻るきっかけにもなるかもしれませんし」


 (えっ? 剣の、鍛錬、?)


 思わずフランクの顔を見ると、フランクは団員たちの言葉に納得したようにうなづいていた。


「それはいいアイデアだな。ジュールもそう思うだろ?」


「えっ? あ、ああ……」


 (剣なんて持ったこともないわよ!!!)


 焦る私に気づかず、フランクは団員たちと野外キャンプの話で盛り上がっている。

私は、そんなみんなを横目に見ながら溜息をついた。


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