第20話 王国騎士団
ジュールがシヤン王国に帰って数日が経った。
私はあの日以来、ジュールと約束した通りに毎日の生活を頑張っていた。
ジュールも頑張っているんだから私も頑張ろう。
一人ではないと思うだけで、私の心は強くなる。
そして、ジュールが今までこなしていた本来の生活にも少しずつ取り組んでいこうという気持ちになっていた。
「王国騎士団に復帰する?」
「ああ。かなり時間が経ってしまったが、いつまでもお前に任せっきりなのはいけないからな。まあ、記憶が曖昧だからまだ迷惑をかけるとは思うが……」
「そうか。いいんじゃないか? また改めて団員たちのことを覚えていけばいいさ」
朝、騎士団の様子を知らせに来たフランクと一緒に朝食を取りながら、私はフランクに自分の気持ちを伝えた。
「すまない。これまで団長代理として迷惑をかけてしまったな。ありがとう」
「ははは。お前から礼を言われるなんて初めてかもしれないぞ。記憶が戻らないほうがいいんじゃないか?」
「なっ……! お前、言っていいことと悪いことがあるだろ!」
私がフランクに詰め寄ろうと席を立つと、フランクは楽しそうに言った。
「おっ、ジュールはやっぱりこうじゃないと! さて、その調子で騎士団のみんなのところに行こうぜ!」
「何? 今からか?」
「思い立ったが吉日っていうだろ? ほら、行くぞ」
こうして私は、フランクによって王国騎士団の団員たちが待つ屯所に連れて行かれたのだった。
***
ミア王国の王国騎士団は、古くからの歴史ある騎士団らしい。
団長のジュール、副団長のフランク。
そして、数百名にものぼる団員で構成されている。
城に隣接するように建てられた大きな建物。
(ここが王国騎士団の屯所……)
私はその大きな建物を見上げながら、もしかしたら自分がとんでもないことを言い出してしまったかもしれないと後悔していた。
(なんで王国騎士団に復帰するなんて言っちゃったんだろう)
考えれば考えるほど、不安で押しつぶされそうになる。
すごく不安なのが顔に出ていたのか、フランクが私の顔を覗き込んだ。
「やっぱり覚えていないか……。団員たちには本当のことを話したほうがいいな。お前もそのほうがいいだろ?」
「あ、ああ。そうだな……」
シヤン王国にいた時、ミア王国の王国騎士団のことを少し聞いたことがあった。
団長がとても頼りになる人で、この人が率いる騎士団であれば国は安泰だと。
まさに、その人とはジュールのことで。
(あー、団員たちがこんなふうになってしまった団長を見たら騎士団にいるのが嫌になっちゃうかもしれない……どうしよう)
「そんなに心配そうな顔するなよ。こっちだ。みんな待ってる」
フランクはそう言うと、建物の中にどんどん入っていってしまう。
私は、慌ててその背中を追いかけたのだった。




