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第16話 不思議な気持ち

「おい、ジュール! ジュール? おい! 聞こえているか?」


 私の隣に立っているフランクが、目の前の『私』を見つめたまま動かなくなってしまった私の腕を掴んだ。


「あ、ああ、すまない……」


「大丈夫か? あ、まさかお前、こちらのレディに見惚れてしまったのか? 確かに可愛いが。真面目すぎて女に目もくれないお前がねえ……。 あはは、こりゃいい」


 フランクは、いいものを見たと言わんばかりに私の顔を覗き込んで笑った。


「よせ。そんなんじゃない。お客様に失礼だぞ」


 私は小声でフランクを注意すると、冷静にならなければと息を整え、そして『私』に挨拶をした。


「お待ちいたしておりました、ロザリー姫」


 すると、『私』になっているジュールもその頃には冷静さを取り戻していたようで、着ているドレスの裾をつまんで軽くお辞儀をした。


「ロザリー姫? あの、ジュールと一緒に大階段から転がり落ちたっていう?」


 私と『私』のやり取りを見ていたフランクが、驚いた顔で私と『私』を交互に見た。


「ああ。あの事故はミア王国で起こったものだ。だから償いの意味を込めて、俺がロザリー姫を『動物の祭典』に招待したんだ」


「へえ。そういうことだったのか」


 私の話にフランクは納得したようにうなづくと、『私』の前にスッと立った。


「ロザリー姫。私、アントワーヌ公爵家のフランクと申します。以後お見知りおきを。よろしければこちらの会場をご案内いたしますよ」


 (フランク〜! 余計な真似しないで!)


 私がひやひやして見守る中、フランクが『私』に自分の腕を差し出すと、『私』は迷惑そうな顔をした。


「断る! ……じゃないな……お気遣いありがとうございます。でも私のことはお気になさらず。案内ならジュール王子に頼む……お願いしますので……」


 少ししどろもどろになりながら話す『私』を、付き添いのクララが慌ててサポートした。


「申し訳ございません。ロザリー様はまだ少し事故の後遺症がありまして……。言葉が多少おかしくてもお気になさらないでください、オホホホ」


「あ、そうなんですね。わかりました。ジュール、お前、あとでロザリー姫を案内して差し上げろよ。ご指名だからな」


 少しからかうようなフランクを横目に、私は『私』を見つめた。


「あ、ああ。ではロザリー姫、後ほどお迎えに参ります」


「よろしく頼む……よろしくお願いします……」


 早く二人きりになって今後のことを話したい。

お互いに軽くうなづき合うと、『私』はクララともう一人の少女と一緒にその場を去っていく。

私は、それをやはり信じられないような不思議な気持ちで見送ったのだった。


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