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第15話 『私』との再会

 ポンポン! ポンポン!


 快晴の空に、空砲の音と白い雲がたなびく。

ミア王国で一番大きな公園には、国外問わず多くの人々が訪れ賑わいをみせている。

今日は、ミア王国で毎月行われる『動物の祭典』が開催される日だ。

そして、今回の祭典の取りまとめ役を任されたのは、まさかの私だった。


 数日前。

シヤン王国にいる偽物の私であるジュールを祭典に呼ぶために、私はメイドのリナに招待状を送らせた。

すると、ジュールから「招待をお受けいたします」という返事と共に、「早くジュール王子に会えることを心から願っております」という返事が速攻で返ってきた。


「ジュール王子も、もしかしたらこの祭典を利用してミア王国に帰ってくるつもりだったのかもしれないわね……。早く元の自分に戻りたいのはジュール王子も同じだよね」


 手紙を受け取った日の夜、クララが書いてくれた手紙の文字を懐かしく眺めながら、私はベッドの上にごろんと横になった。


「ニャ〜」


「カシス、見てごらん。もうすぐお前のご主人様が帰ってくるよ」


 ベッドに寝転んだ私の横に、黒猫のカシスが寄り添うように寝そべった。

私が見せた手紙に鼻を寄せたカシスは、クンクンと匂いを嗅ぐと、「ミャウ!」と鳴いて再びその場に寝そべり目を閉じた。

私は、寝始めたカシスを起こさないようにそっとベッドを降りると、聞き慣れた声が部屋の外から聞こえてきた。


「ジュールいるか? 俺だ。フランクだ」


 私が静かに部屋のドアを開けると、フランクが当たり前のように部屋に入ってくる。


「おい、フランク。今、カシスが寝始めたところなんだ。こんな時間に何の用なんだ?」


「ごめんな〜カシス。実は、次の『動物の祭典』なんだが、お前が取りまとめ役に決まったんだ」


 フランクは、寝ているカシスに声をかけると小さな声で私にそう言った。


「取りまとめ役? なんなんだ? それは」


「手っ取り早く言えば、祭典委員長だ」


「何? 俺が?」


 (ちょっと! 出来ないわよそんなの)


 ただでさえ、みんなに気づかれないように注意を払って生活しているのに冗談じゃない。


「医者からの提案らしい。今までのように民衆の前に立つことで、記憶が戻るかもしれないんだと」


 フランクは、不安そうな私の顔を見て面白がって笑っている。

私は、そんなフランクを思い切り睨みつけた。


「あはは。そんなに睨むなって。大丈夫だ。俺がお前のサポートをするよう言われている。お前がへまをしないよう、見張っててやるよ」


 (はあ? 余計に不安なんですけど?)


 そんなやり取りがあり、私は不安で暗い気持ちのまま『動物の祭典』の当日を迎えたのだった。


 招待状を持った来賓が、次から次へと私の元にやってくる。

私は、来賓一人一人と挨拶を交わしていた。

来賓が何か尋ねてきた時は、隣に立っているフランクがサポートをしてくれる。

少しずつ来賓との挨拶にも慣れてきた頃、私の前に使用人を連れた一人の女性が現れた。

女性は、私の前に立つと堂々とした声で言った。


「ご招待ありがとうございます。ジュール王子」


 私は、その声にはっとして顔をあげその女性を見つめた。


 (!!!)


 そこにはなんと本来の私の姿が……!

そしてそこにいる『私』も、私の顔を見ると驚愕したような顔で息をのんだ。


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