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第14話 ミア王国からの招待状

 クッキーの散歩を終えて城に戻ったジュールは、メレーヌが言っていた話を思い出していた。


「ミア王国で開かれる犬の祭典か……」


 確かに、ミア王国では「動物と触れ合う」という国をあげての催し物を毎月開いている。

近隣各国からの招待客や観光客も多く、ミア王国の財政を潤している大事な行事だ。


「この手があったか。なんとかミア王国から招待状をもらえないだろうか」


 ジュールは、招待状を送ってくれそうな人物がいないかあれこれ考えてみたが、招待状を送れる権限がありそうな人物は国王か王妃か兄、そしてあの男くらいしか思い浮かばない。

あの男……フランクである。


「フランク。シヤン王国にあいつの知り合いがいればいいんだが、そんな話は聞いたことがないな。くそっ、あと一歩なのに……」


 恥を忍んで、メレーヌに頼んで一緒にミア王国へ連れて行ってもらうことも脳裏をよぎったが、ロザリーの名誉のためにもさすがにそれはやめておこうと思う。

下手に出れば、ますますあの女は調子に乗るだろう。


「何かいい案はないのか……」


 トントン


 ジュールが頭を抱えて思いを巡らせていると、ノックの音が聞こえ部屋にクララが入ってきた。


「ロザリー様、失礼いたします。実は、ミア王国の私の知り合いのメイドから手紙が届きまして。こちらなのですが、ロザリー様を催し物にぜひ招待したいと手紙に書いてあるのです」


「招待だと? ちょっと見せてくれ!」


 ジュールはクララから手紙を受け取ると、そこにはミア王国で行われる催し物のチラシと一緒に送られた招待状が入っていた。


 (なんていいタイミングなんだ! そうか、ロザリー姫も俺と同じことを考えていたのだな)


「ふふふ……あはは!」


 ジュールは、ロザリーからの思わぬ計らいに声を出して笑った。


「クララ、その招待お受けいたしますと返事をしておいてくれ」


「えっ? またミア王国へ行かれるのですか?」


「ああ。朝の散歩の時にちょうどその催し物の話を小耳に挟んでな。クッキーを参加させたいと思っていたところなんだ。な? クッキー? お前も参加したいよな?」


 ジュールが床に寝そべっていたクッキーに声をかけると、クッキーは尻尾をゆさゆさと大きく振って「バウ!」と返事をした。

クララは、あんな事があったのにまたミア王国へ行くのかと何度もジュールに確認をしたが、ジュールの気持ちが変わらないためにミア王国へ行くことを渋々受け入れた。


「では、返事をミア王国へ送っておきます。何かロザリー様から言伝はございますか?」


「そうだな。早くジュール王子に会えることを心から願っております、と書いておいてくれ」


 自分に会うことになるとは、なんとも不思議な気分だ。

ジュールは、床の上から起き上がり近寄って来たクッキーの頭を撫でながら、ミア王国へ帰れる日を心待ちにしたのだった。


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