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記憶を無くした時の対処法

うーーん、なんだか温かいなぁ。

ほのかに薄ら明るい陽射しが顔を照らし、ゆっくりと目を開ける。

真っ白なシーツに包まれて、誰だか記憶にない人物が腕枕をしてくれいている。


「ん?誰だ?」

昨日は呑みすぎて、途中から記憶が無い。

えーっと、こういう時は記憶をたどって…

いや、さっぱり思い出せない。


お世話になってしまった事は確かだろう。

きっとタクシーにも乗れないくらい私がダメだったんだ。

素直に謝って感謝して去ろう。

こんなに泥酔することは最近は無かったんだけどな。


若い頃は、まぁありましたよね。

30歳を目前にして、このお酒の付き合い方は良くない。

ここはいつもの方法で、起こさないようにそーっと出るのが一番いい。

何より後腐れがない。


まずは、この腕の中からゆっくりすり抜けなければ。

頭を持ち上げて少しづつ腕から体を離していく。

肩の上にある腕も少しづつ持ち上げて、脱出成功と思った瞬間、目の前の人物の眠そうな瞼が開いた。

あっ、起きてしまった。


「ご迷惑をおかけしました。大変申し訳ありません。」

「えーっと、あのー記憶が欠如しておりまして、どちら様でしょうか。。。」

「眠い」

こちらが謝罪している間に目の前の人物はもう一度目を閉じて寝てしまった。

サラサラな髪に潤いのある透き通る肌。

きっと自分より相当若くて、こんなことどうでもいい事なのかもしれない。

服も昨日のまま着てるし。おそらく何事も無かったはずである。

とはいえ、おそらく吞み代を立て替えてもらっている可能性もあるから、メモだけ置いて行きますか。


「090-○○-□□ 花梨(かりん)(仮)」ホテルのメモ用紙に電話番号と名前だけ書いて腕にそっと置いた。

フロントにまだ連れが寝ていることを伝え、宿泊代だけ払ってホテルを出た。


この時代に電話番号って、よっぽどのことがなければ電話してこない。

こんなところで過去の性分が出てきてしまうんだよなぁ。

ホテルを出てすぐに大きく腕を伸ばして朝の陽ざしを浴びた。

7:00か、帰ってもう一回寝よう。


腕にメモを置かれた人物がそれから起きたのは昼過ぎだった。

「(仮)って、何?」くすっと笑って、何事も無かったようにその場を後にした。

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