ep7 新生
コピーバンドながら、ライブハウスでは大盛況していた。
帰りの電車でむーちょがちょっと文句っぽく言った。
「ウチらも含めてのバンドなのに、名前にウチらのイニシャルがない」
「それなら、どうせなら、コピーバンドからオリジナルソングのバンドに変えない?」
ふーにゃも新しく無茶振りしてきた。
4人で会議するために、喫茶店に入った。
「たしかに、むーちょの言うことも私もわかるよ」
「改名かぁ。ちょっとリスキーだと思う。だって、今のお客さんはあくまで、R/Nのお客さんだし」
私はむーちょに同意した。
れれまるはリスキーだという。
それならとふーにゃが提案してくれた。
「名前を大幅に変えず、この計算式に答えが出たってことで、R/N=M×Fとかどう?」
「いいかも!!」
このふーにゃの案に全員同意した。
「次はふーにゃの案のオリジナルソングのバンドだよね」
「あー!! R/Nの4人だ!!」
そこに声をかけたのはいつもれれまるのギター・ボーカルを先頭で釘付けになっているファンの2人だ。
「どうも」
「私、ファンなんです!! ちなみにれれまるガチ勢です!!」
「あ、ありがとう」
れれまるがファンの握手に応じた。
「あの……」
ファンの一人、ちょっと影のうすそうな方が声を出した。
「ほら、ベガが言い出したんだから、ベガがしっかりいう」
活発そうな金髪の女の子がべがさんに向かっていった。
私達はなんのことかわからなかった。
むーちょがふーにゃにきっとサインだよ、サインと言っていた。
「私達を裏方のメンバーで入れてください!!」
「は?」
「確かに裏方がいるとライブがもっとテンポよく回せるよね」
などとメンバーの反応は様々だ。
「その、さっきのオリジナルソングの話が聞こえてきて、趣味でやってるDTMが役に立つといいなぁとおもって立候補したんです。
すいません、ただの一ファンが出すぎた真似を」
私達4人は顔を見合わせた。
確かに、オリジナルソング作るにもどうするか、と話し合っているところだった。
DTMができるなら、それは大歓迎だ。
「ちなみに、あたしは歌詞つくれるよ!! まぁ、ポエム程度の腕だけど」
これは願ったり叶ったりだ。
この2人を裏方として採用した。
名前は、「べが」「かまこ」だった。